心ゆくまで、岩手。~秋の陸中逗留記 8日目 ①~

大沢温泉湯治屋自炊部中舘客室から眺める紅葉と菊水館茅葺屋根

6泊7日を過ごした大沢温泉。自分史上最長の湯治、最後の朝がやってきてしまいました。6日間眺めた、この窓からの眺め。これでしばらく見納めだと思うと、胸が切なく締め付けられます。長く居ればいる程、もっと居たい。僕にとって大沢温泉とは、そういう場所。

大沢温泉湯治屋自炊部6日間お世話になった部屋を掃除し旅立つ

いつも通りの時間に起き、いつも通りの大沢の湯で頭を覚まし、いつも通りの納豆ごはんで朝食を。こうして6日間繰り返してきた朝の時間を過ごしていると、今日も何事もなく一日ここで過ごせそうな気さえしてきます。

それでもやはり、時は過ぎ去ってしまうもの。大沢温泉の象徴とも言える大沢の湯で最後の一浴を終え、帰り支度を始めます。

6日間、僕の居場所となった布団を上げ、ほうきで室内を掃き掃除。前回も、前々回もそうでしたが、やはりこの瞬間が一番切ない。こうして支度をしていると、本当にここを去らなければならないんだという実感が、否が応でも襲ってきます。

去り際にもう一度振り返る大沢温泉湯治屋自炊部江戸時代からの木造建築

こうして幕を閉じた、僕の6泊湯治。これまでよりも2泊も長いと思ってここへ来ましたが、いざ過ごしてみると、その時の流れの速さに呆気にとられてしまいます。

どうしてこれほど居心地が良いのか。自分ちでも、実家でも、親戚の家でもない。それなのに、心身の芯から落ち着きほぐされる。ただただ、不思議のひと言。

ここへ湯治に来るまでは、どうして湯治をする人は毎年同じ宿に行くのかが不思議で仕方ありませんでした。それがいざ自分で体験してみると、何となくその理由が垣間見える気がするのです。

全国津々浦々、様々なお湯や宿と出会う、言うならば一期一会のような旅もものすごく楽しい。でも、本当に心底休みたいというときに、自分と相性の良いお湯や宿はきっとそう多くは無いのでしょう。

その人々の信頼を裏切らず、昔から変わらず人々を出迎え、想いを受け入れてきた歴史のようなものが、この宿にはとてつもなく強く感じられるのです。

たった3回目で何を分かったようなことを、と自分でも思ってしまいますが、休みをやり繰りして、他にも行きたいところがあってもそれすら差し置いて、短期間で3度も訪れてしまう。僕のように感じる人が多いからこそ、この宿はこうして今でも湯治場として賑わい続けているのです。

疲れたら、また来よう。疲れていなくても、また来よう!

6泊になんて手を出してしまった。どうしよう、もう2泊や3泊では物足りない体になってしまったかもしれない。来れば来るほど、また次に来たくなる。その本能の赴くままにまた来ることを誓い、紅葉を背負った江戸の湯宿に別れを告げるのでした。

秋の盛岡駅

大沢温泉山水閣の玄関から『送迎バス』に乗り、花巻駅で東北本線に乗り換え、盛岡駅に到着。この旅で3度目の盛岡となります。

北上川河原に描かれたとふっち

まだお昼の時間までは少しあったので、駅前周辺をのんびりぷらぷら。北上川の河畔では、大きなとふっちを発見。わんこきょうだいは、こうして色々なところでいわて国体を盛り上げています。

盛岡駅前じゃじゃ麺HOT JaJa

程よくお腹も空いたところで、盛岡名物でお昼を楽しむことに。2日目は冷麺を食べたので、今日はじゃじゃ麺をと決めていました。

たくさんあるじゃじゃ麺屋さん。どのお店にしようか悩みましたが、僕が初めてじゃじゃ麺を食べ、前回は酔っぱらっての訪問で味の記憶が曖昧であった『HOT JaJa』にお邪魔することに。かなり有名なお店で、駅前という立地もあり、観光客もたくさん訪れるお店です。

盛岡駅前HOT JaJaじゃじゃ麺

早速じゃじゃ麺を注文し、ビールで一服。じゃじゃ麺は注文を受けてから太い麺を茹でるので、あらかじめ時間の余裕を持って食べに行かなければいけません。

待つこと15分程、お待ちかねのじゃじゃ麺が運ばれてきました。注文時にお店の人が、「お店おすすめのスパイシーな味付けにしますか?」と聞いてくれるので、今回はそれでお願いしました。

肉味噌の上には、すでににんにくやラー油がお店おすすめの分量でトッピング。熱いうちに手早くぐちゃぐちゃに混ぜ、早速ひと口。やっぱりじゃじゃ麺、旨いなぁ。このベトベト感、もったり感が堪らないのです。

普通うどんといえば、茹でてつゆで食べるか、こうして汁なしで食べる場合は水で洗って〆るか。でもこの茹でたままの澱粉質な感じが、肉味噌や調味料を一層麺に纏わせ一体感を演出するのです。

肉味噌はまったりしすぎず、濃すぎずで、最後まで飽きの来ない適度なあっさりさ。ラー油やにんにくの量も丁度良く、その後あまり調味料を足さずに平らげました。

初めて食べた時はあれ?と思ったじゃじゃ麺も、回を追うごとにどんどん美味しくなってくる。第一印象とその後の印象では全く違う顔を見せる、不思議な麺。

観光客の僕が言うのも何ですが、じゃじゃ麺は二度三度と食べなければいけない料理。一度食べたきりで「思ったより美味しくない・・・」という人もいますが、そんな評判が独り歩きして欲しくない。本当は凄く美味しい、クセになる麺料理なのだと、僕は声を大にして言いたい!!

東京では中々お目に掛かれないじゃじゃ麺との再会に、思わずそんなことを思いながらあっという間に完食。もちろん、〆のちーたんたんまで美味しく頂きました。

この旅を動機付けた6泊の湯治を終えてしまい、何となく燃え尽きた感もある、盛岡での昼下がり。

でもここで燃え尽きる訳にはいかない!僕にはまだ、これから訪れる、まだ見ぬ場所がある。ずっと行きたかった、初めての三陸滞在に向け、この旅の第2ステージが幕を開けるのでした。

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心ゆくまで、岩手。~秋の陸中逗留記~

秋の大沢温泉山水閣豊沢の湯色とりどりの紅葉一幅の絵のような眺め
2015.10 岩手

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