心ゆくまで、岩手。~秋の陸中逗留記 9日目 ④~

国道から眺める三陸鉄道安家川橋梁

三陸の漁村の空気を全身に浴び、今宵の宿に向けて歩き出します。本来ならお宿に頼めば送迎もしてくれるようですが、今回はそれほどの距離でもないので、歩いて向かうことに。駅前を走る国道45号線を北上します。坂を登りきると、前方に大きな橋梁を発見。

安家川橋梁上に一旦停車する三陸鉄道単行列車

高さ33mもあるという、三陸鉄道の安家川橋梁。よくよく見ると、橋梁上には単行列車が。三陸鉄道有数の絶景ポイント。どうやら、しばらく停車してその眺めを楽しませてくれているようです。

国道の安家川橋梁上から眺める大海原

警笛一声響かせて、三陸鉄道はガラガラと発車してゆきました。その長閑なローカル線の眺めを見据えつつ歩けば、自分も安家川の河口に架かる国道の大橋上に差し掛かります。

歩道の無いこの橋梁。工事の大型トラックも多く通るので、事故の無いよう気を付けて歩きます。それにしてもこの眺め。車のいない隙を狙い、この大海原から吹く風を心地よく全身で受け止めます。

国民宿舎えぼし荘南部曲り屋

国道を歩くこと20分程、左手に大きなピンクの河童が見えたら、そこを左折。急な坂を登ってゆくと、南部曲り屋がお出迎え。ここまでくれば、宿はもうすぐ。この曲り屋の隣には、有名な野田村の塩を作る工房も併設されています。

国民宿舎えぼし荘

曲り屋の裏手の坂を登り切り、今宵の宿である『国民宿舎えぼし荘』に到着。国民宿舎に泊まるのはかなり久しぶりですが、お部屋からの眺めを期待し、宿泊を決めました。

国民宿舎えぼし荘オーシャンビューの客室

チェックインし、早速部屋へと向かいます。扉を開けると、そこには文字通りのオーシャンビュー。海が見えるところに泊まるなんて、本当に、本当に、久しぶり。この眺めだけでも、ここへ来た甲斐があります。

国民宿舎えぼし荘海を見ながら湯上がりの冷たいビール

早速浴衣に着替え、お風呂へと向かいます。こちらのお風呂は人工温泉。大浴場からも、そして露天風呂からも、もちろん海を望めます。

海を見ながらの露天風呂なんて、これまた本当に久しぶり。緑や紅葉、雪に囲まれた露天も最高ですが、やはり大海原を目前にした露天もまた、最高。胸のすくような開放感が堪らない。

そして部屋と戻り、もちろんビール。部屋に居ながらにして海を眺められる。そして冷たいビールがあれば、もう何もいりません。

国民宿舎えぼし荘客室から眺める夕闇の大海原と輝く月

ここ数年、足が向くのは山の温泉ばかり。でもこの眺めを見てしまうと、やっぱり海沿いの宿も捨てがたい。そんなことを思いつつ、飽きることなく海を眺めていると、すでに日は落ち月の輝きが目立つ時刻に。そろそろ夕食の時間です。

国民宿舎えぼし荘夕食

レストランへ向かうと、テーブルには美味しそうなお料理が並んでいます。

お刺身は特に帆立が美味しく、添えられた貝ひものこりっとした食感と磯の香りが印象的。天ぷらもさっくり上がっており、さばの味噌煮はコテッとした味噌が美味しい。たこの酢の物や数の子の山海漬け、小鉢とともに、冷酒を楽しみます。

国民宿舎えぼし荘牛の陶板焼き

陶板焼きは牛と野菜を焼きたてで頂きます。海沿いに来るとどうしても海の幸ばかりを食べがちなので、お肉が出てくると嬉しいもの。

国民宿舎えぼし荘銀だらの西京漬け

続いて、焼きたての銀だらの西京漬けが運ばれてきました。ふっくらとした身からは西京漬けの香りがふんわりと漂い、お酒にもぴったり。

国民宿舎えぼし荘釜めしとぶりのあら汁

国民宿舎にはこれまで二度しか泊まったことが無く、今回もそれほど高い値段でも無かったので、想像以上のお料理のボリュームにビックリ。

ここまででも結構お腹一杯になっていたのですが、食卓で火を点けて炊きあがった釜を開けると、そこには炊き込みご飯が。一緒に出されたお味噌汁はぶりのあら汁で、あらと身がたっぷりと入っています。

おこげの美味しい炊き込みご飯とぶり汁でもうすっかり満腹。満足な気持ちで部屋へと戻ります。

野田村の夜のお供に千両男山特別純米酒フェニックス

一杯のお腹を落ち着け、夜の海原を見ながらの露天風呂へ。そして風呂上りには、今夜のお供を開けることに。

前の日に、宮古の酒屋さんでおすすめしてもらった、宮古の菱屋酒造店が造る、千両男山特別純米酒フェニックス。香りも味わいも穏やかですっきりと飲みやすく、それでいて酸味や旨味も感じる、しっかりとした味わいの美味しいお酒。

このお酒は、以前にも飲んだことのあるお酒。不死鳥の名を冠し、ラベルには復活から再生へ、のメッセージが。幕末創業というこの酒蔵も、大震災で流されてしまったそうですが、新しい蔵を建てて、こうして美味しいお酒をまた醸しています。

そんな力強さが、メッセージからも、そして味からも伝わってくるお酒。それを片手に、今日見た宮古の今、浄土ヶ浜の美しい景色、そして野田村の大海原、それぞれを反芻するのでした。

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心ゆくまで、岩手。~秋の陸中逗留記~

秋の大沢温泉山水閣豊沢の湯色とりどりの紅葉一幅の絵のような眺め
2015.10 岩手

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