煙、湯けむり、ばんえつ路。~秋の残り火 冬の気配 1日目②~

国道の貝掛温泉入口

バスに揺られること20分ちょっと、今宵の宿である貝掛温泉入口バス停に到着。バスの乗車前にお宿にお願いすればここから送迎してもらえるのですが、前回歩いてみてとても景色が良かったので、今回ものんびり歩いていくことに。

貝掛橋より望む清津川と雪化粧の山
貝掛坂という急坂を降りれば、そこは清津川の刻んだ谷。交通量が多く、大型車もたくさん行き来する三国街道の騒音もどこへやら、深山幽谷の雰囲気に包まれます。

途中の清津川にかかる貝掛橋からはこの眺め。うっすらと雪化粧した山並みと、早くも暮れようとしはじめた空。モノクロームの世界にぽつんとひとり佇めば、アクセスがとても良いことも忘れてすっかり秘湯気分に。

奥湯沢秘湯貝掛温泉玄関
バス停よりのんびり歩くこと10分足らず、1年半ぶりの『貝掛温泉』に到着。木造旅館の持つ渋い佇まいに、これから過ごす時間への期待が高まります。

奥湯沢秘湯貝掛温泉本棟2階客室
前回はリフォームされた1階のお部屋でしたが、今回は明治2年築という本棟の2階のお部屋に通されました。前回のモダンな雰囲気も素敵でしたが、この芯から落ち着くような和室もまたいい。やっぱり温泉は和室に限ります。

奥湯沢秘湯貝掛温泉明治時代建築の渋い建物落ち着いた廊下
早速浴衣に着替えお風呂へと向かいます。明治時代に建てられ移築されたこの建物。梁や戸は飴色に輝き、建物が刻んできた歴史が伝わってくるよう。

奥湯沢秘湯貝掛温泉趣ある階段
そして前回は眺めるだけだったこの渋い階段。一歩一歩と下りれば、足元に重厚な木の感触が伝わります。貝掛温泉はお湯とお料理がいいのはもちろん、この雰囲気あってこそ。レトロ調ではない本当の良い古さが館内を包み込み、ここにいるだけで落ち着く。やっぱり木造旅館、好きだなぁ。

奥湯沢秘湯貝掛温泉湯上がりに冷たいビール
1年半ぶりに味わう貝掛温泉の世界感に酔いつつ楽しむ湯浴み。久々に味わうぬる湯の感触に、気分はもう最高潮。そして湯上りはもちろん冷たいビール。あぁ幸せだ。これがあるから温泉旅はやめられない。文字通りの至福の瞬間が、喉を駆け下りる感覚を味わいます。

奥湯沢秘湯貝掛温泉ぬる湯の大露天風呂
ビール片手に本を読み、落ち着いたところでもう一度お風呂へ。晩秋の日暮れは早く、もう辺りは闇に包まれています。その漆黒の世界の中、ぼんやりと灯る提灯。その温かみのある光が、夜の露天風呂を一層趣深いものにしています。

奥湯沢秘湯貝掛温泉大浴場内湯
きりりとした空気の中ぬる湯の大きな露天風呂を楽しみ、今度は内湯へ。こちらには掛け流しのぬる湯と加温された適温の浴槽があり、好みの温度で貝掛の湯をのんびり楽しめます。

奥湯沢秘湯貝掛温泉大浴場内湯で味わう眼の湯
新鮮なお湯がどぼどぼとたっぷり掛け流されるぬる湯。静かに身を沈めれば、いつしか湯面は穏やかになり、味わい深い湯屋を鏡のように映します。

夜の帳の中、ひとり静かに味わう貝掛の湯。体中にびっしりと付く泡が心地良く、熱くもなく冷たくもなくの独特な温度に包まれ感じる浮遊感。この唯一無二のお湯に浸っていると、頭の中まで空っぽになるかのような感覚に襲われます。

そして貝掛温泉といえばの洗眼を。眼の湯とも呼ばれるこのお湯を掬って眼を洗えば、眼球の芯からほぐれるような爽快感を味わえます。本当にこの感覚は不思議。浸かってよし洗ってよしのこの温泉は、実際ここに来て体験してみないとピンと来ないかもしれません。そして一度味わってしまったら、忘れられない。だからこうして、また来てしまうのです。

奥湯沢秘湯貝掛温泉夕食
不思議な力を持つ温泉に体も眼も心も芯からほぐされたところで、お待ちかねの夕食の時間に。テーブルにはたくさんの美味しそうな品々が並んでいます。

まずは前菜、合鴨のケチャップ煮と山里の吹き寄せを。ほどよく甘みがありつつケチャップの旨味のみをまとった鴨は、もう日本酒にピッタリ。早速利き酒セットを頼みました。

奥は眼に良いとされる虹鱒のお刺身。新鮮で程よい脂と歯ごたえが美味しく、日本酒が進みます。隣のとうもろこしのすり流しは風味が良く、手前の秋刀魚の酢漬けは秋刀魚の持つ旨味が凝縮され美味。

そして見た目は地味だけれどおおっ!と驚く旨さだったのが、小鉢に入った芋茎の荏胡麻和え。強い食感の芋茎にコクのある荏胡麻がよく絡み、これは旨い!山の滋味あふれる味わいに、南魚沼の酒がピッタリと合ってくれます。

奥湯沢秘湯貝掛温泉鶏と茸の味噌風味と別注の岩魚刺身
こちらはチェックイン時に注文した、別注の岩魚のお刺身。前回も食べましたが、相変わらずの美味しさ。川魚のじんわりとした穏やかな旨味が、新鮮なコリッとした身に詰まっています。これは生きている岩魚を捌き立てで食べるからこその美味しさ。臭みなんてものは全くありません。

手前の器は、鶏と茸の味噌風味。地元の越の鶏やきのこ、かぶにお味噌が掛けられています。このお味噌がとても美味しい。香りやコクが強く、甘辛のバランスも絶妙。そのお味噌に具材から出たエキスが合わさり、口の中に旨味が溢れます。

奥湯沢秘湯貝掛温泉頭から食べられる岩魚の塩焼き
そして焼きたて熱々が運ばれてくる、岩魚の塩焼き。食堂前のいろりでじっくり、じっくり焼かれているため、頭も骨もまるごと食べられる柔らかさ。余分な水分油分が落ち、凝縮された岩魚の旨味と食感。炭火の香ばしさがそれを一層引き立て、もう説明不要の旨さ。

奥湯沢秘湯貝掛温泉名物薬膳玄米粥
素焼きの土鍋では、貝掛名物の薬膳玄米粥がふつふつと湯気を立てています。玄米といっても硬いということは全くなく、自分で擦ったごまと合わせれば心地良い香ばしさを味わえます。そして中に入っているのは、それぞれ眼に良いとされる食材。とうもろこしやクコの実などの自然な甘みがじんわりと体に浸みわたります。

奥湯沢秘湯貝掛温泉揚げ物籠盛
続いては揚げたての籠盛が運ばれてきました。素麺でできた籠には帆立真薯や真菰、さつまいもが盛られ、少し濃いめの餡が掛かっています。素麺を崩しながら食べれば、サクサクの部分と餡を吸った部分のふたつの食感を楽しめます。

奥湯沢秘湯貝掛温泉湯葉入り豆乳鍋
もうここまででもボリュームたっぷりなのですが、更にお鍋まで。湯葉入りの豆乳鍋はまろやかでありつつくどくなく、具材の美味しさを引き立てる丁度良い塩梅。お腹一杯ですがついつい食べ進んでしまいます。

奥湯沢秘湯貝掛温泉南魚沼塩沢産コシヒカリ
美味しいお料理の数々にもう満腹。ですが、ここへ来たらやっぱり食べたい、〆のご飯。つやつやと輝くお米は南魚沼塩沢産。去年訪れたときもその美味しさに驚きましたが、やっぱり今日も本当に美味しい。日本人にとっての究極のご馳走は、やっぱり美味しいご飯なのかもしれません。

奥湯沢夜のお供に雪男ワンカップ
こちらのお宿のお料理は本当に美味しい。前回に引き続き大満足の夕食に、もうお腹ははちきれんばかり。嬉しい悲鳴を上げています。

満腹のお腹を落ち着けたところで、いよいよ本とお酒、お湯の時間。そんな夜のお供に選んだのは、南魚沼塩沢の青木酒造が造る、雪男純米酒ワンカップ。スキー姿の可愛い雪男の絵につられて買いましたが、すっきりとした辛口の味わいも僕の好みど真ん中。後で調べてみたところ、僕の好きな鶴齢を造っている蔵元だそう。美味しいはずです。

奥湯沢夜のお供に巻機
続いては、こちらも南魚沼の高千代酒造が造る、巻機純米吟醸。辛口でありながらお米と水の良さを感じるような味わいで、これまた好み。

新潟のお酒は重たいというイメージがあり、辛口の東北や北陸のお酒を好んで飲んでいましたが、前回訪れそのイメージはきれいさっぱり消え去りました。やっぱり新潟は酒処。多種多様の美味しいお酒がたくさんある。今日一日で一体何種類のお酒を味わっただろうか。これこそが、日本を旅する醍醐味。酒好きにとって旅に地酒は欠かせません。

夜のしじまの中味わう、お酒と本。気が向けばお風呂へと向かい、独特の浮遊感に心ゆくまでもてあそばれる。前回は連泊だった。やっぱりここは連泊が良い。この夜が一夜だけで終わってしまうのがもったいないほどの貝掛の魅力を、思う存分に愉しむのでした。

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