深き白に染められて ~厳冬の八甲田へ 2日目 ①~

厳冬の青森雪の市場通り

きりりと冷えた空気の中朝風呂を楽しみ、ご飯を終えてチェックアウト。これからバスまでの時間、雪に包まれた青森の街をのんびり歩きます。

ホテルのすぐ近くには、のっけ丼で有名な青森魚菜センターをはじめとする市場がひろがります。初めてのねぷたの帰りに食べたのがつい先日のことのよう。そんなことを考えながら、風情ある市場の裏路地を進みます。

厳冬の青森雪の善知鳥神社鳥居

大通りへ出て雪から守られたアーケードを歩き、到着した善知鳥神社。青森市発祥の地とされる由緒ある、青森総鎮守のお社だそう。雪に清められた真っ白な参道を、雪を踏む音を聞きながら進みます。

厳冬の青森善知鳥神社拝殿

大きな屋根が印象的な拝殿でお参りを。きりっと冷えた空気が、身も心も引き締めるよう。海鳥である善知鳥を模した社紋が、古くからこの港町を見守ってきた歴史を感じさせます。

厳冬の青森雪のうとう沼

本殿の横には小さな池が。うとう沼と呼ばれるこの池は人工のものでは無く、昔は周囲20km以上もの大きな池だったそう。それが時代を経て次第に干拓され、ここだけが残ったもの。

そんな青森市ができる遥か前からここにある沼を泳ぐ二羽の鴨。雪国の水鳥は寒くないのだろうか。見ている方が寒さを感じます。

厳冬の青森日本橋から始まる日本最長国道4号線の終点

善知鳥神社を後にし、県庁のそばを抜けて国道4号へ。東京の日本橋から、日光街道、奥州街道と名前を変えつつ延々と北を目指す国道4号線は、日本一の延長を誇る国道なのだそう。

東京とここが一本の道で繋がっている。ここ終点に立ちそのことを想うと、何とも言えぬ感慨があります。

厳冬の青森りんごが並ぶ市場の軒先

青森の街をぐるりと回り、再び古川界隈へと戻ります。アウガの横には商店が並び、ちょっとした市場のようになっています。

そしてこの時期、店頭には様々なりんごが並べられ、冬の青森の街を彩ります。青森を強く印象付けるこの光景。聞こえてくる津軽弁が一層旅情を掻き立てます。

厳冬の青森味の札幌大西

時折吹きつけるように降る雪ですっかり冷えたところで、お待ちかねのお昼をとることに。今回お邪魔したのは、『味の札幌 大西』。初めてその存在を知ってから、気になって仕方なかったあの麺に、もうすぐ逢えるのです!

味の札幌大西青森名物味噌カレー牛乳ラーメン(バター入り)

そう、その麺とは、青森のご当地ラーメンである、味噌カレー牛乳ラーメン。初めてテレビで見た時は、無理やり作ってしまった、やっちゃった感のあるご当地グルメだなぁ、という印象でした。

でも実は無理に作ったのではなく、お客さんからの要望でできたらしい。それが今でも食べられ続けているということは、もしかしたら美味しいのかもしれない。そう思い始めるにつれ、食べてみたくなってきたこのラーメン。そして今回、やっと食べる機会に恵まれました。

初めての味噌カレー牛乳ラーメンバター入りとのご対面。見た目は思っていたよりも濃くなさそうで、カレーの良い香りがすでに鼻をくすぐってきます。まずはスープをひと口。んっ!?想像とは全く違う味。優しいぞ!これが僕の抱いた第一印象でした。

名前だけ見れば、個性の強いもの達を寄せ集めたような大雑把な印象。でも実は、それぞれが決して主張することなく、絶妙なバランスの上に成り立つ調和のとれた優しさ。ラーメンという枠を超えて、もう全く違う完成されたひとつの料理。強いて言えばポタージュスープのようでもあります。

中華スープがベースでしょうが、牛乳とバターがまろやかさとコクをプラス。でも、全くミルク臭くない。味噌も塩分を補完する程度の丁度良い濃さで、カレーはスパイシーで辛味もしっかりとありながら、しつこくない程度の存在感。もやしやわかめ、メンマといった一見ミスマッチにも思えてしまう具との相性もピッタリ。

麺は札幌ラーメンと同じ黄色く太い縮れ麺。もっちり感とコシの強さ、そしてつるっとしたのど越しが、この美味しいスープと良く絡みます。いやぁ、これには脱帽。またもや名物に旨いものはあり、と言いたくなる逸品に出会えました。

最近乱立する、無理やり創造されたご当地グルメとは一線を画する地元の味。優しい美味しさに溢れたスープを飲み干せば、もうまた食べたくなっている自分に気が付きます。飽きの来ない美味しさだからこそ、長きに渡り愛されているのでしょう。

JRバス東北はやぶさ色の酸ヶ湯温泉行き

このブログで、文の長さと感動具合は比例します。ということは、味噌カレー牛乳ラーメンの旨さのほどが分かって頂けるはず。東京では食べられない。そのことが悔しくもあり、だからこそ旅先で味わえる喜びを感じられるのでもあり。

個人的に感激してしまった未知の味に舌鼓を打ち、いよいよこの旅を動機付けたあの宿へと向かいます。

予約制の宿の送迎バスに乗れば無料で行けるのですが、今回はちょっとでものんびり過ごしたかったので、『JRバス東北』の運行する路線バスに乗車。春から秋まではみずうみ号として運行するこの路線も、冬季は区間が短縮され本数も激減するので、お出かけ前には要チェック。

次第に吹雪が激しくなる中、はやぶさと同じ色を纏ったバスが颯爽と到着。雪に頬を打たれながらバスへと乗り込みます。

JRバス東北の車窓を覆う吹雪

どんどんと激しさを増す吹雪。天気予報通りの荒れた天候に変化し、これが雪国の怖さなのだと思い知らされます。この吹雪がもう少し早く来ていたなら、青森の街を歩くこともままならなかったことでしょう。

JRバス東北に乗り豪雪の地酸ヶ湯へ

これから目指すは、過去に全国一となった豪雪の地。視界は雪に奪われ、方向感覚すら危うくなってきます。

幾重にも重なるカーブの数々。視界が悪く、先頭に座っている僕は、雪壁に向かって突き進んで行くかのような感覚を覚えます。こんな中大型のバスを運転する運転士さんは、まさに職人技。乗客に不安を全く与えることなく、確かな舵取りで吹雪の山道をどんどん登ります。

どんどん激しさを増す吹雪と、深さを増す雪。道は八甲田の懐へと入り、いよいよ待ち焦がれたあの湯との対面が近付きます。

深き白に染められて~厳冬の八甲田へ~

呼吸をするかのように冬の海に佇む海峡の女王青函連絡船八甲田丸
2015.2 青森

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