青に抱かれ見果てぬ夢を。~ブルートレインで北へ 3日目 ②~

秘湯ランプの宿青荷温泉

虹の湖から旅館の送迎バスに揺られ、憧れの地へ。途中の林道には、細い道を走る車に対する注意の数々が津軽弁で書かれた看板が点在しており、運転手さんがひとつひとつ意味を教えてくれながらの道中。

グングン上って行ったかと思うと、最後のほうは急な下り坂で谷底へ。周りには何も無い、本当の一軒宿。そんな道中を楽しみ到着したのが『青荷温泉』、言わずと知れたランプの宿です。

秘湯ランプの宿青荷温泉離れふるさと館

ランプの灯る帳場で受付をし、案内されるまま今宵の部屋へ。一人での利用だったため本館の部屋だとばかり思っていましたが、ついて行くとなんと離れの部屋だとのこと。

このふるさと館には4つの部屋があり、それぞれ障子で仕切られています。中には4部屋共同のトイレも完備されているので便利。表には古い農具が飾られており、農家のお屋敷といった雰囲気。

秘湯ランプの宿青荷温泉離れふるさと館ランプの灯るホール

玄関を入ると、この宿の象徴でもあるランプが早速お出迎え。広いホールを囲むように、角部屋が4つ設えられています。

ふるさと館の名の通り、建物自体は新しそうなのですが、柱時計や囲炉裏テーブルなどが置かれ雰囲気満点。どこかの田舎に来たかのような落ち着きを感じます。

秘湯ランプの宿青荷温泉離れふるさと館客室

通されたお部屋は、渓流青荷川や吊り橋、本館を望む部屋。窓がとても大きく、障子を開ければこぼれんばかりの緑が広がり、その色が部屋の中まで溢れてくるかのよう。新緑萌えるこの景色を独り占めできる。なんと贅沢なことでしょうか。

秘湯ランプの宿青荷温泉客室に灯るランプ

お部屋にはすでに、この宿の主役であるランプが灯されていました。ほやはきれいに磨かれ、ピカピカに輝いています。この優しい灯りが、これからの僕の憧れの一夜を照らしてくれるのです。そのことを考えただけで、もう胸が一杯になりそう。

秘湯ランプの宿青荷温泉混浴露天風呂

宵闇はまだまだ先。ランプに絆される心を落ち着けようと早速お風呂巡りへと出かけます。まずはふるさと館のすぐ横にある混浴露天風呂へ。

秘湯ランプの宿青荷温泉混浴露天風呂広い湯船

かなり大きい石造りの浴槽に、これでもかと源泉が掛け流されています。露天と言っても混浴を意識してか、よしずと屋根に囲われた半露天タイプ。

渓流側は緑溢れる青荷川の爽やかな景色が開け、落ち着いた浴場から眺めるその光景は、まるで光に溢れる生の絵画のよう。開放的な露天だけが良い露天ではない。そのことを再認識させてくれるかのような、渋い風情あるお風呂です。

秘湯ランプの宿青荷温泉滝見の湯

続いては露天風呂の向かいにある滝見の湯へ。こちらは男女別の内湯と露天を備えています。露天も滝見の湯も自室から徒歩30秒以内。何とも良い場所に部屋を取ってくれたものです。

秘湯ランプの宿青荷温泉滝見の湯内湯

こちらの内湯は、大きな窓越しに滝が見える落ち着いた雰囲気。もちろんランプも備えられ、窓からの光が届かない場所を、ほんのり優しく照らしています。

秘湯ランプの宿青荷温泉滝見の湯露天風呂から眺める滝

続いてその先の露天へ。こちらはぬるめで、新緑に包まれるようにして落ちる竜神の滝を、湯に浸かりながら飽きることなく眺められます。

優しく包まれるような浴感の単純泉に身を任せ、風が新緑をなでる音や滝の水音に耳を澄ます。この贅沢は、山の湯宿でしか味わえない、今の季節限定の幸せです。

秘湯ランプの宿青荷温泉新緑の緑が溢れる中湯上がりのビール

ランプに絆されていた心は、すっかり山の温泉の風情にも絆されてしまいました。湯上りに帳場の向かいの売店まで行き、冷えたビールを買って自室へ戻ります。

この宿は冷蔵庫や非常灯などの電力は自家発電で賄っているそう。こうやってランプの宿の風情を味わいながら、しっかり冷えたビールを楽しむこともできます。

窓に溢れる緑を前に、プシュッと缶を開けてひと口ゴクリ。喉を伝う冷たい刺激が、火照った体と心をクールダウンさせてくれます。

秘湯ランプの宿青荷温泉津軽弁が温かい宿の利用案内

手元には、握って充電する懐中電灯と宿の利用案内。ビールのお供にページをペラペラめくると、地元の言葉で書かれた青荷の決まりごとが。

ついつい面白く、何度も読み返してしまいました。東北と言っても方言は色々ですが、この津軽弁は他とはまた違った独特な感じと温かさがあります。

秘湯ランプの宿青荷温泉ランプ小屋

湯上りの火照りも落ち着いたところで再びお風呂へ。ランプの宿なので夜間は十分な照明が無いため、明るいうちにそれぞれの浴場の雰囲気を楽しんでおきます。

吊り橋を渡り本館への入口の脇には、ランプの手入れをするランプ小屋が。宿の中に無数に散りばめられたランプを全て手入れするのは、それは骨が折れる作業でしょう。それでもこの形を守り続けていてくれるからこそ、僕らはランプの宿を楽しめるのです。本当にありがたいことです。

秘湯ランプの宿青荷温泉ランプの灯る本館廊下

外はまだまだ明るいですが、館内はすでにランプの灯りが活きはじめていました。周囲をぼんやり照らす、オレンジの揺れる光。笠が広げる円状の影が、天井に不思議な模様を映します。

秘湯ランプの宿青荷温泉健六の湯

本館の廊下を抜け、隣接する健六の湯へ。こちらは総ヒバ造りで、浴槽から床から壁から、何から何まで木で作られています。このときは先客がいたので、室内の写真はまた後ほど。

内湯のみの浴場ですが、大きな窓から吹き込む爽やかな風と青荷川の川音がとても心地良いお風呂。木に囲まれた渋い雰囲気の中眺める新緑は、また格別の美しさ。露天好きの僕ですが、この宿の中で一番気に入ったのはこのお風呂かもしれません。

この後、やはり木造りが落ち着いた雰囲気を醸し出す、こじんまりした内湯に立ち寄り自室へと戻ります。

時刻はもう17時過ぎ。段々と陽の光が弱まり、反比例するかのように存在感を増しつつあるランプの灯り。そんな移り変わりを、飽きもせず延々と愉しむのでした。

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