金沢発、飛騨経由、信濃ゆき。~やりたいことを結ぶ旅 6日目 ①~

奥飛騨温泉郷新平湯温泉藤屋朝食

奥飛騨での爽やかな朝。あいにくの天候ですが、朝から冷泉と温泉の交互浴を楽しめば、そんな憂鬱な気分もどこかへ飛んでいってしまいます。朝風呂をしっかり楽しんだ後は、もちろんお待ちかねの朝食。昨日と同じ立派な座敷で頂きます。

囲炉裏の切られたテーブルに並べられる品々。鮭やしらすおろし、冷奴といった定番はもちろん、朴葉味噌やにたくもじといった飛騨の味が並びます。

にたくもじとは、漬物を塩抜きして味付けしなおして煮たもの。これもテレビで見て以来食べてみたかった品ですが、実際食べてみると美味しいこと。

漬物の持つ旨味はそのままに、塩分や酸味が程よく抜かれています。しなおした味付けもまた丁度よい塩梅。これと朴葉味噌だけでいくらでもご飯が食べられてしまいそう。

濃飛バス飛騨高山駅行き

個性的な冷温の交互浴と、とっても美味しいお料理で楽しませてくれた藤屋。冷たくも力を感じるような冷泉と、忘れえぬ味のクマ鍋の余韻を胸に、『濃飛バス』へと乗り込みます。

アルプス街道平湯パノラマ大浴場

昨日来た道を戻ること約15分、平湯温泉バスターミナルに到着。と、ここでいきなりのゆの文字入り暖簾の登場。

本当ならば、バスを乗り継ぎ目指す上高地へと急ぐ旅だったのですが、もうターミナルの外観を撮るのも嫌になるくらいの強い雨。これでは上高地の散策もままならないだろうと、急遽ターミナルに併設された『アルプス街道平湯パノラマ大浴場』で時間調整することに。ああああぁ~、初めての大正池が・・・。

アルプス街道平湯パノラマ大浴場濃厚な平湯温泉

こうなったら仕方が無い、腹を決めて平湯の温泉をしっかり体験してみることに。それにしても、ターミナルに立ち寄り湯が併設されていて本当に良かった。

中へと入ると、おお、と思うくらいの大きな浴槽。加水はしていますが加温なしの源泉掛け流し。何とも言えぬ褐色をしたお湯がドボドボと流れ込んでいます。

そっと浸かってみると、加水していてこれなの?と思うほどの熱さと濃さ。カルシウム・ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉という長~い泉質が示す通り、色々な成分がギュッと詰まっているのでしょう。そして源泉名は、その名も「バスターミナルの湯」。そのまんま!

浴感はすっきりとしていますが、長湯は出来なさそうなグイッと芯まで来るような印象。すぐ近くの藤屋とは全く異なる印象の温泉に出会え、思いがけないめっけもんをしたような嬉しさを覚えます。

雨の弱まった平湯バスターミナル

本当ならば新平湯のお湯しか知らずに去るはずだった飛騨路。強い雨のおかげで、平湯温泉まで楽しむことができました。

はっきり言って最初はバスターミナルに併設された温泉だったので期待などしていませんでしたが、体にズン、と来るような濃い温泉に一気にご機嫌。僕の心が晴れゆくように、山々を隠していた靄もだんだんと晴れてゆきます。

雨上がりの上高地バスターミナル

平湯温泉から低公害バスに乗り、一気に上高地バスターミナルへ。当初の予定では大正池で下車して河童橋を目指すつもりでしたが、この雨じゃぁしょうがない。実際、車窓から見えた大正池は茶色く濁り、増水していました。同じ茶色く濁っているなら、やっぱり温泉にして良かった良かった。

初の上高地初夏の雨上がり

早速バスを降り、梓川河畔を目指します。木々の茂る中歩けばすぐに梓川が見えてきます。そしてその先には、雄大な日本アルプスの眺めが。

ずっとずっと来てみたかった上高地。これが僕の初上高地。天候の悪さに期待はしていませんでしたが、生でこの眺めをバッと見せられたとき、想像以上のその雄大さ、力強さ、美しさに思わず息を呑んでしまいました。

初夏の雨の上高地初めての河童橋とご対面

そしてついに、あの河童橋との初対面。抜けるような青空と輝く緑、アルプスの真っただ中とは思えないほど緩やかにさらさらと流れる梓川・・・。ではありませんが、雲が垂れ込め川霧が立ち上り、その間に挟まれるように見え隠れする河童橋と残雪を抱く山。

イメージし続けた輝きに溢れる上高地とは全く違いますが、新緑が雨を浴びて嬉しそうに放つこの色彩はまさに絶景のひと言。

初夏の雨の上高地目の前に立ちはだかるアルプス

河童橋の上より上流方向を望みます。前方の視界を阻むかのように聳え立つ山容に、ここが日本アルプスの真っただ中であることを強く思い知らされます。

登山をしない僕にとって、こんな眺めは本当に初めて。白馬八方へスキーへ行った時の眺めも圧巻でしたが、谷間から望む山の大きさに心底圧倒されてしまいます。

初夏の上高地雨で増水する梓川

振り返ればゆったりと流れる梓川。雨で増水していたため、残念ながらさらさらと清らかな水が流れる姿とは程遠い状態でしたが、険しい山の中とは思えないその穏やかな姿に、思い続け描き続けて来た美しい流れが容易に想像できます。

初の上高地雨に濡れる新緑の木々

やはり雨のせいか、大抵の観光客は河童橋の袂止まり。対岸に延びる道まで来ると人通りは少なくなり、雨に濡れるしっとりとした木々の中を静かに歩くことができます。

初夏の上高地雨上がり幻想的な川霧

向かいの賑やかさが嘘のようにひっそりと静まり返る小径。緑のその奥に見える幻想的な川霧が、まるで世界を画しているかのような錯覚に襲われます。

初夏の上高地雨に濡れる羊歯

降り続く雨に打たれ、嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる羊歯の葉たち。この時期ならではの、若さと明るさを感じさせるような柔らかな緑が、雨に濡れて一層輝きを増しています。

初夏の上高地雨の白樺林

ひっそりと静まり返る白樺の林。耳を澄ませば、聞こえるのは鳥の声と雨粒の音だけ。

大正池は見られなかったけれど、梓川は濁っているけれど、山も雲に隠れているけれど・・・。それでもここへ来られて本当に良かった!

初の上高地、諦め半分ガッカリ気味でここまで来ましたが、想像を遥かに超えるスケールと美しさで、僕の長年の憧れを優しく叶えてくれるのでした。

金沢発、飛騨経由、信濃ゆき。~やりたいことを結ぶ旅~
初夏の白川郷この時期ならではの逆さ合掌
2013.6 石川/岐阜/長野
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