瑞々しき天上の箱庭へ。~神の降りる地、上高地。2日目 ①~

秘湯中の湯温泉旅館からのアルプスの夜明け

昨日は明けで眠たかったにもかかわらず、今朝は6時前にぱっちりと目が覚めてしまいました。布団の中でもう少し寝ようかとしばし逡巡しましたが、折角気持ち良く目覚めたので、そのまま起きることに。

部屋の障子を開けると、昨晩降っていた雨が上がり、澄み切った晴れ渡る早朝の空が。陽を受けて光り始めた穂高連峰と、手前の黒々とした屏風のような山の対比がこの上なく美しい。この時間に目が覚めたからこその、ありきたりな表現ながら神々しさを感じる眺望にハッとします。

秘湯中の湯温泉旅館で味わう初夏の朝風呂

目も心も奪われる眺めにすっかり目が覚め、すっきりとした頭で早速朝風呂へ。大浴場のドアを開けると、更に気分を目覚めさせる清冽な空気が体を包みます。

ひんやりとした高地の空気からの、肌触りの優しい滑らかなお湯。そう、朝風呂こそ、泊まった者だけが味わえる、一番の贅沢。立ち上る湯けむりに、自然と頬が緩んでゆくのを感じます。

秘湯中の湯温泉旅館源泉投入口に漂う湯の花

夕暮れ時の写真では伝わらなかった湯の花もこの通り。無色透明ながら成分が濃いことを感じさせます。本当にここのお湯は、滑らかで優しくで、でも芯から沁みるような力もあり。たった一晩ですっかり虜になってしまいました。

秘湯中の湯温泉旅館ロビーから眺める鮮やかな朝の景色の移り変わり

お風呂から部屋へと戻る途中、ロビーの窓には息を呑むようなパノラマが広がっていました。

大きな窓から飛び込むアルプスの眺め。それは大きな額に入れられた一幅の絵のような、完成された美しさ。それが絵とも写真とも違うのは、これが自然の造る本物の美しさということ。

陽が昇り始めるこの時間、光と雲が刻一刻と表情を変える姿を、時間も忘れ誰もいないロビーで楽しむ。この光景を見せるために、何かが僕を早起きさせてくれたのかもしれません。

秘湯中の湯温泉旅館朝食作りたて豆腐サバ節の煮物長芋

本当に早起きして良かった。朝からこんなにゆったりとした時間を過ごし、ようやく朝食の時間に。寝ぼけ眼で頂く朝食も旅の楽しみのひとつですが、霞が晴れたようにすっきりとした気持ちで頂く朝食もまた格別。

食卓には焼き魚や長芋、サバ節と山菜の煮物といった美味しいおかずが並びます。奥の鍋は作りたての温かい豆腐。つるんと口に含めば、お腹に優しい温かさが広がります。

秘湯中の湯温泉旅館朝食わさび海苔に朴葉味噌

そして隣には、僕の食欲を決壊させる罪な奴、朴葉味噌が。もうこれだけでいくらご飯が食べられるのだろうか。初めて食べたのは学校に上がる前でしたが、その時の衝撃が忘れられないほどの好物に、満腹なんてどこへやら。

そしてもう一つ僕を困らす罪な奴が。それは左下の、わさび海苔。見ての通りわさび風味の味付け海苔ですが、わさびの爽やかさも味付けも絶妙な旨さ。大王わさび農場が作るこの海苔、運よく帰りに見つけられお土産で買って帰りました。

松本から送迎車で簡単に来ることができる、中の湯温泉。ひとりというのにお値段もお手頃で、ご飯も美味しい。そして何より、景色といい湯。うちからのアクセスも良く、どうしよう、また危ない宿を見つけてしまった・・・。

1泊目から日本アルプスの空気を存分に味わわせてくれた中の湯ともお別れ。お宿の送迎で上高地へ行くこともできますが、僕はのんびり最後の温泉を楽しみ、チェックアウトの時間までゆっくり過ごしました。

アルピコ交通バス上高地行き

国道の中の湯バス停まで送っていただき、大きなトンネルの坑口でしばしバスを待ちます。

右に見えるのは中の湯が運営する売店。実はその隣に、全く違う泉質を持つ中の湯の洞窟風呂、卜伝の湯があるのです。今回は時間の都合上入れませんでしたが、宿泊者は予約制で送迎もしてくれるとのこと。どうしよう、やっぱり再訪する口実ができてしまった。今度は連泊して卜伝の湯にも入らなければ・・・。

そんな野望を抱いているうちに、上高地へのバスが到着。ここ中の湯バス停は、沢渡や新島々からのバスに加え、平湯からのバスも合流するので、待ち時間を気にせず気軽に上高地へと行ける最高の立地。中の湯と上高地のセット、今度は紅葉の秋かなぁ。

目の前に大きな口を開く、釜トンネル。やってきたこの地の交通の王、『アルピコ交通』の軽快な色のバスに乗り込み、闇の中へと吸い込まれてゆきます。

向かうはもちろん、上高地。2年振り2度目の上高地は、一体どのような顔を見せてくれるのだろうか。前回とは打って変わって晴れ渡る信州の空に、天へと昇るかのように僕の期待も膨らむのでした。

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瑞々しき天上の箱庭へ。~神の降りる地、上高地。~

初夏の上高地神々しさすら覚える明神岳と明神橋
2015.5 長野

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