瑞々しき天上の箱庭へ。~神の降りる地、上高地。2日目 ⑧~

白骨温泉かつらの湯丸永旅館鯉のあらい岩魚塩焼き山芋焼き山菜前菜

初夏の爽やかさの中、良く歩いた今日一日。心地よい空腹を感じた頃、丁度夕飯の時間に。信州のお酒大雪渓を注文し、今宵の呑兵衛タイムの始まり始まり♪

まずは好物の鯉のあらいから。ここ最近、旅先で鯉のあらいを食べる機会に恵まれていますが、いつ食べても鯉は本当に美味しいお魚。このように上手く調理すれば、下手な海の魚なんて及ばないほどの臭みの無さと旨味の濃さ。

奥にはこれまた好物の岩魚の塩焼きもあり、ホクホクとした身をつまめば、大雪渓が進まない訳がありません。そばの実なめこやそば豆腐といった小鉢も、お酒の途中の箸休めにピッタリ。

そして手前のお皿は、豆腐の長芋焼き。ふわっと焼かれた長芋の生地の中には、ふるふるの豆腐が入っており、少しだけ甘辛いだしが豆腐と長芋に絡みとっても美味。素朴な一皿だけれども、何だか記憶に残る力のある旨さ。僕好みの味に、一層大雪渓が止まりません。

白骨温泉かつらの湯丸永旅館鯉旨煮そばしし肉陶板焼き馬刺し

こちらにはお通しの馬刺しや、茹でたてのお蕎麦。お鍋はしし肉の陶板焼きで、さっぱりとしたたれで頂きます。このしし肉、一見脂身が多そうですが、食べてみると脂っぽさは無く、赤身の味と適度な歯ごたえを味わえます。

そしてここにも、会心の一撃の一皿が。真ん中の鯉の甘露煮です。適度な甘辛さに煮付けられた鯉。身のほろほろ加減や脂の旨さ、皮のとろっとした食感もさることながら、一番おいしい部分が、中心に詰まった鯉の内臓。

以前にも鯉こくで内臓を食べたことはありましたが、甘露煮にするとそのコクや凝縮された旨味、そしてほんのり、極ほんのり漂うほろ苦さが引き立ち、もう格別の味わいに。身よりも内臓の方が好きという人も多いそうで、僕も一瞬のうちにそちら側に行ってしまいました。

最初は内臓ごと筒切りで?と思いましたが、臭みの無い鯉は絶対内臓ごと食べる方が旨い。この一皿で、鯉に対する印象がより一層飛躍的に高まりました。

白骨温泉かつらの湯丸永旅館サービスの山菜うとぶき

続いてサービスの「うとぶき」のお浸しが運ばれてきました。初めて食べる、うとぶきという山菜。まずはそのままで、そしてお好みでマヨネーズを付けてと言われるまま、その順番通りに食してみます。

何これ!めちゃくちゃ美味しいんですけど!!クセは強くない控えめな山菜ですが、噛むとしっかりとしたしゃきしゃき感の奥から、ほんのりとした苦みと甘味、そして独特の香りが染みだしてきます。そのどれもが強くないけれど、それらがまとまるとすごく美味しくなる、という印象。本当にこのままで美味しい。そしてたまにマヨを挟むと、なお旨い。

白骨温泉かつらの湯丸永旅館絶品鯉こく

昨日に引き続き、このお宿も大当たり。お湯の良さも必須ですが、ご飯が美味しいと旅の楽しさがより大きなものになります。

旨い信濃の味と酒にお腹はもう満足。そこにダメ押しするのが、鯉こくとご飯。ほんのりと鯉の脂が浮いた、すっきりとした中にもコクのある鯉こく。風味付けに山椒が少しだけ振ってあり、これと野沢菜だけでご飯がどれほど食べられてしまうのか。苦しいお腹を気にしつつも、結局美味しくておひつのご飯を残さず平らげてしまいました。

白骨夜のお供に秀峰アルプス正宗純米吟醸中汲み

朝から晩まで、信州の恵みにどっぷりと浸かる、今日一日。長野は何度来ても裏切らない。東北に並び僕の心の拠りどころのひとつ。

そんな信濃での夜も今晩が最後。そんな夜のお供に選んだのは、松電上高地線の沿線にある亀田屋酒造店の、「秀峰アルプス正宗純米吟醸中汲み」。

これまで何度か飲んだアルプス正宗ですが、この中汲みは味も香りもしっかりとしていて、お酒だけでのんびり愉しむのにぴったり。でもそこは信州のお酒、水の良さがすっきり感に表れ、いやな後味の残らないどんどんと飲んでしまう、美味しいお酒。

白骨温泉かつらの湯丸永旅館夜の静寂に包まれる白濁の混浴露天風呂

四方を山に囲まれる中、そこにぽつんとひと塊だけ存在している、白骨温泉。そんな立地を表すかのように、夜の露天は静寂と心地よい涼しさの空気に包まれます。しっとりと感じる夜の風情と、白骨の穏やかな湯。言うこと無し、この上なし。

白骨温泉かつらの湯丸永旅館静かな夜に楽しむ美しき白いにごり湯

涼しい夜風に当たり、のんびり過ごす露天での時間。そして十分夜の空気を味わったところで、今度は内湯へ。そこにあるのは、地の奥から湧き出る湯が造り出した、時を感じさせる独特な造形の湯船。

アルプスを染める朝日に起こされ、地上の楽園と呼ぶに相応しい上高地の新緑に照らされ、そして今こうして白骨の白い湯に包まれる。

旅が好きで年に数度行っていても、こんなに一日圧倒されっぱなし、自分の思い通り、いや、それ以上の充実した日はそうは無い。幸せすぎるほどの幸せに包まれ、信州に包まれた夜は過ぎるのでした。

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瑞々しき天上の箱庭へ。~神の降りる地、上高地。~

初夏の上高地神々しさすら覚える明神岳と明神橋
2015.5 長野

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