GW 列島半分 ぐるり旅 ~願えば海路の日和あり 5日目 ③~

旧国鉄手宮線廃線跡遊歩道始点

日本銀行旧小樽支店で自分の小市民っぷりを思い知り、そこから南方向へ少し移動。ここから始まるのは、国鉄旧手宮線の廃線跡を利用した遊歩道。1985年に廃止されてから30年以上経ても、現役当時の雰囲気を色濃く残します。

国鉄旧手宮線廃線跡残された煉瓦積みの橋台
遊歩道の始点から振り返れば、函館本線方面へとこの先ものびる廃線跡。そこには橋桁こそ撤去されつつも、しっかりと残る煉瓦積みの橋台が。札幌と手宮を結ぶ北海道初の鉄道として敷設された歴史が、何気ない通り沿いにひっそりと残されています。

ゴールデンウィークの晴れ空の下、旧国鉄手宮線廃線跡をのんびり歩く
雑草が生えつつも、レールや枕木、犬釘が残される廃線跡。ゴールデンウィークの晴れ空の下のんびりと歩けば、どこか遠くから汽笛の音が響いてきそう。

国鉄旧手宮線廃線跡バラストの上を歩く久しぶりの感覚
足裏に伝わる枕木と砂利の感触。こうして廃線跡を歩くと普通はスタンド・バイ・ミーあたりを思い出すのでしょうが、僕が思い出すのは1年前までの実生活。

旧国鉄手宮線廃線跡残された踏切警報器と日本銀行旧小樽支店
このバラストを踏む感触、久しぶりだなぁ。何だかもう、遠い昔のようにも感じてしまう。あの異動の後、自分の中で色々変わったなぁ。

そんなことを思いながら足元に感じるごつごつとした感触を懐かしんでいると、大きな道路との交差地点が。残された踏切警報器と日銀旧小樽支店の共演は、今にも貨物列車が走ってきそうなほどの現役感を残しています。

国鉄旧手宮線廃線跡復元された旧色内駅
踏切沿いに道路を渡れば、再び復活する歴史の忘れ形見。先ほど目にした味わい深い家並みの裏手をかすめるようにのびる手宮線。そこにぽつんと佇む駅舎は、昭和37年までここにあった色内駅を復元したものだそう。

旧国鉄手宮線廃線跡旧色内駅向かいに建つ旧郵政省小樽地方貯金局市立小樽文学館
その向かいには、なんとも渋い佇まいの市立小樽文学館が。その雰囲気に只者ではないと感じ調べてみると、昭和27年に郵政省小樽地方貯金局として建てられたものだそう。

シンプルな中にも機能美を感じさせる、朴訥としたその居住まい。鉄筋コンクリート造の良い部分を活かした端正な姿を彩る、廃線跡の木の電信柱。30年ちょっと前までは、この脇を貨物列車が通っていました。

国鉄旧手宮線廃線跡に残る鉄道関連施設と思われる小屋
線路に背を向け建ち並ぶ家々と、ぽつんと取り残された鉄道関連と思われる小屋。

廃線といい、暗渠といい、この取り残された感にしびれてしまう。利用しにくい細長い土地。用済みのそれは、再開発されることもなく忘れ去られる。だからこそ、こうして当時の空気を抱き、生き続けるのです。

旧国鉄手宮線廃線跡に残る小さな踏切跡
石炭を満載した列車がやってくる。そんな姿を容易に想像できるほど、当時の気配を強く漂わせる手宮線跡。ふと横を見れば、左右にのびる小径が。お年寄りや小さな子供、漁師や魚売りまで、様々な人が線路を渡ったことでしょう。

ゴールデンウィークの旧国鉄手宮線廃線跡線路脇の残雪と散り始めの桜
そんな妄想を楽しみつつ歩いていると、線路脇に白い塊を発見。もしや?と思い近寄れば、それはやっぱり冬の忘れもの、残雪。

お互い忘れもの同士であることを喜ぶように、ひっそりと寄り添う廃線跡と残雪。その光景に心奪われていると、はらはらと舞い落ちるものが。視線をゆっくりと上げれば、そこには散り始めの艶やかな桜。儚く吹かれる花びらが、この退廃的空間にひとすじの紅をひくよう。

国鉄旧手宮線廃線跡に咲く一輪のたんぽぽ
時代に取り残されたものにも平等に訪れる、春の息吹。朽ちゆく枕木のすぐそばでは、北国の厳しい冬を越えた黄色いたんぽぽが力強く咲き誇ります。

小樽に残る旧国鉄手宮線廃線を始点から終点までのんびり散歩
交通とは、点と点ではなく線である。移動というものに心惹かれる僕は、そう常々思うのです。点を結ぶ必要があるからこそ、線である交通が生まれる。そのルートを辿れば、結ぶことに尽力した人の想いや、貨客を運び重ねてきたた歴史が見えるから。

この手宮線跡も、もちろん同じ。小樽の観光スポットとして、始点や踏切跡だけを見る人も多いかもしれない。でももしこの記事に、少しでも共感してもらえるなら。そして、旅先での時間が許すならば。ぜひ歩いて、その線を感じてほしい。

国鉄旧手宮線廃線跡のそばに残る古い小樽の気配
実は僕も、こうして手宮線跡を辿るのはこれが初めて。修学旅行で初めて小樽を訪れた際に、バスの車窓から日銀前の踏切跡を見ただけでした。

観光地小樽に取り残された、廃線跡。観光地、そして街としての「表」ではないその場所には、裏側だからこそ見せる素の小樽があるのかもしれない。歩きつつ感じる街並みの変化を味わえるのは、線として辿ってみればこそ。

旧国鉄手宮線廃線跡構内分岐が現れまもなく終点
寿司屋通りの始点から、あちこちに残る当時の気配を探しつつ歩くこと約30分、まもなく終点の手宮駅跡に到着。幅を増した廃線跡は賑わう広い構内を偲ばせ、連なるポイントを渡る貨車の音が聞こえてくるかのよう。

国鉄旧手宮線廃線跡終点旧手宮駅の小樽市総合博物館
そしてたどり着いた、手宮駅跡に建つ小樽市総合博物館。20年前、修学旅行で初めて訪れた小樽で一番最初に立ち寄った思い出の場所。当時は小樽交通記念館といい、その名の通り北海道を駆け抜けた車両が数多く保存されていました。

さて、その思い出の場所へと入ってみるか。そう入口へと向かったところ、なんと今日は休館日。残念、でもまあいいか。下調べして休館と分かっていたら、もしかしたら廃線跡を始点から終点まで歩いていなかったかもしれない。

お目当ての施設に入ることはできなかったけれど、それ以上に小樽の街の表情を垣間見ることのできた小散策。海と陸、ふたつの交通の結節点。石炭や道産の恵みを満載した貨車が通ったレールを踏み、小樽の街の成り立ちを感じたのでした。