GW 列島半分 ぐるり旅 ~願えば海路の日和あり 7日目 ③~

日本三景天橋立ゴールデンウィークの人で賑わう府中駅

海産物の並ぶお土産屋さんを覗きつつ、ケーブルカーとリフトが発着する府中駅に到着。さすがは連休中、多くの人々で賑わいます。

日本三景天橋立新緑の中進むリフト
乗車券は共通のため、ケーブルカーとリフトのどちらに乗ろうかと考えましたが、ここはやっぱりリフトに決定。新緑溢れるこの時期、緑の香りと初夏の風を全身に感じるこの爽快感は、身ひとつで乗るリフトならでは。

日本三景天橋立傘松公園から眺める昇竜観
5月の爽やかな空気を味わうこと6分、傘松駅に到着。周辺にはスカイデッキや眺望を楽しめるレストランなどがあり、思った以上におしゃれな感じでびっくり。

そこからさらに登り、昇龍観で有名な『傘松公園』に到着。鮮やかな緑に彩られた天橋立と宮津湾、阿蘇湾の眺めは、ただただ不思議のひとこと。海にのびるその姿は、人工物ではないかとすら思えてしまう。まさに天が海に架けた橋そのもの。

ここから眺める天橋立は右上がりとなり、龍が天を目指して昇る姿に見えることから昇龍観と呼ばれています。反対側の駅近くの山から見る天橋立は、飛龍観と言うそう。時間があれば、両方の違いを見比べてみるのもいいかもしれません。

日本三景天橋立発祥の地傘松公園で股のぞき
そしてやっぱりここでやりたいのが、股のぞき。子供の頃から天橋立=股のぞきというイメージを持っていたので、グループの観光客に紛れつつ物怖じせず堂々とやってしまいました。ひとりでちょっと恥ずかしいけど、まぁ、旅の恥はなんちゃらと言うし。

ぐいっと腰を曲げどれどれと見てみると、これまた違った雰囲気に。天地が逆になって空と海が入れ替わり、遠近感や奥行きも感じにくくなるので、何だか不思議な見え方をします。

日本三景天橋立下りのリフトから見る絶景
念願の股のぞきも愉しみ、昇龍観を満喫したところで麓へと下ります。帰りもやっぱりリフトで。進むごとに空と海、緑の割合が段々と変化する天橋立は、リフトに乗らなければ見られない絶景です。

日本三景天橋立つるや食堂
松島、宮島、そして遂に来ることができた、天橋立。四半世紀以上を掛けてようやく日本三景を味わえたという悦びに胸がいっぱいになったところで、今度はお腹も満たすことに。府中駅の近くに位置する、『つるや食堂』にお邪魔します。

日本三景天橋立つるや食堂アオリイカとアカモクとバイ貝の丹後お宝丼
賑わう店内で京都の地酒を味わいつつ待つことしばし、お膳が運ばれてきました。今回注文したのは、アオリイカとアカモクとバイ貝の丹後お宝丼。その名の通り、丹後の恵みを凝縮した海鮮丼です。

アオリイカは程よい食感と甘味が特徴で、添えられた湯引きのゲソがまたいいアクセントに。バイ貝もさっと湯引きされ、甘味と旨味、食感がより引き出されています。

それぞれの魚介の旨さを一通り楽しんだところで、今度はネバネバとろとろの海藻、アカモクを掛けてつるりとひと口。口中に広がる海の味わいととろみが、丼を一層美味しくまとめ上げてくれるよう。

一緒に添えられたうどんは、元伊勢籠神社にも奉納されるという貴重な赤米を使ったもの。お米を使っているだけありもちもちとした弾力があり、これまた印象深い味わい。

日本三景天橋立遊覧船で天橋立桟橋へ
地元の恵みを集めたお膳に舌鼓を打ち、お土産を買いつつ桟橋へと歩きます。ちなみにそのお土産とは、宮津市の竹中罐詰が製造するオイルサーディン。いわしの油漬けだというのに全く臭みがなく、一度食べたら忘れられない美味しさなのです。

日本三景天橋立遊覧船は一の宮桟橋を出航
渋い駅舎から桟橋へと向かい、船へと乗り込みます。相変わらず風は強いものの、やはり景色を楽しみたいとデッキへ上ります。程なくして、小気味良いエンジン音と共に一の宮桟橋より出航。

古き良き観光地の佇まいを残す街並みが、だんだんと遠ざかる。まさかこんなところでも出航の切なさを感じるとは。濃厚な時間を過ごした初めての天橋立は、想像以上に僕の心に響いたという証。

日本三景天橋立遊覧船から眺める溝尻の舟屋
強風に目を細めつつも景色に目をやれば、遠くに小さく並ぶ舟屋の影が。舟屋といえば伊根が有名ですが、この阿蘇湾に面した溝尻にも舟屋が並ぶ一角があるのだそう。独特の家並みが放つ漁村の風情は、ここまで確かに伝わるような不思議な力を持っています。

日本三景天橋立エサを求めて遊覧船を追いかけるかもめの群れ
ここにも舟屋があるということも、このとき初めて知ったこと。下調べなしの旅、何だかくせになりそう。調べて見つけて楽しみにし、それを目掛けて行くのも旅ならば、こんな初見だらけの楽しみ方も旅のひとつ。想定していない分、心に直接響くような感覚を味わえます。

日本三景天橋立ちりめん問屋の店頭で焼かれる巨大な黒ちくわ
12分の短い船旅を終え、天橋立桟橋に到着。列車の時間までぷらぷらしようと智恩寺の参道を歩いていると、行き交う人々が手に持つ巨大なちくわが目に留まります。

その出所を辿ってみると、ワインやお土産を売っているちりめん問屋というお店の軒先で焼かれているのを発見。すぐさま列に並び、順番が来るのを待ちわびます。

焼いても焼いても売れてゆく巨大なちくわ。しばらく待ち、ようやく自分の順番が。お金を支払い受け取ってみれば、思った以上の重量感。お昼食べた後だし、食べきれるかな?と一瞬心配になるほど。

この黒ちくわは、宮津の近海で獲れた青魚で作ったこの辺りの名物なのだそう。焼きたてのすり身は多分に空気を含み、ふんわりとした心地よい食感。その周りは焼けた皮が覆い、歯ごたえと程よい魚の香ばしさが味わえます。

これ、とっても旨いけど大失敗!!何が失敗かって?そりゃぁ、ワンカップを買わなかったことに決まってるじゃないか。

少々濃いめの味付けと、それにも負けない魚の旨味。焼きたてならではの香ばしさも纏い、これが酒に合わないわけがない。今度は絶対日本酒片手に、そう強く心に決めるのでした。

文殊様に白砂青松、お伊勢さんのルーツに股のぞき。初めて訪れた天橋立は、僕の知らないことばかりだった。初夏もいいけど、雪の季節にもまた来てみたい。日本三景は日本三景と言われる理由がある。ここを訪れて、今一度そのことを強く実感するのでした。