GW 列島半分 ぐるり旅 ~願えば海路の日和あり 7日目 ④~

WILLERTRAINS京都丹後鉄道天橋立駅より福知山を目指す

様々な初めての感動を与えてくれた天橋立とも、お別れの時間。天橋立駅から再び『京都丹後鉄道』に乗車します。KTR!やっぱり言いたい、KTR。

WILLERTRAINS京都丹後鉄道丹後あおまつ号
今回乗車するのは、特別な車両でありながら乗車券だけで乗れる丹後あおまつ号。行きに乗った通称しろまつと同じく、あの有名デザイナーが手掛けたリニューアル車。

WILLERTRAINS京都丹後鉄道丹後あおまつ号木のぬくもりを感じる車内
車内へと入ると、そこに広がるのは木を多用した空間。鉄道ファンとしては思うところ無きにしも非ずですが、これが特別料金不要で乗れるのはやっぱり大きな魅力のひとつ。その証拠に、車内の一般のお客さんは一人残らずテンション高め。

WILLERTRAINS京都丹後鉄道丹後あおまつ号車内カウンターで買ったプレミアムモルツを旅のお供に
つばめ、ソニック、新幹線のつばめ・・・。あの頃に受けた衝撃と感動を思い出しつつ、窓に向かったカウンター席に座ります。この列車は全車自由席。ソファーやボックス席、2人掛けなど、空いていれば自分の好きなタイプの座席を選べます。

そして観光列車らしく、車内には飲食物やグッズを販売するカウンターも。僕はもちろんそこでプレミアムモルツを購入し、これから味わう初めての宮福線の旅へと備えます。

丹後あおまつ号深い山へと挑むWILLERTRAINS京都丹後鉄道宮福線
冷たい刺激を片手に若狭湾に別れを告げ、あおまつ号は深い山へと挑み始めます。この宮福線は、昭和末期に生まれた路線。僕の幼少期にたくさんできた第3セクターが苦境を乗り越え頑張る姿に、何となく自分のこれまでを重ねてしまう。

WILLERTRAINS京都丹後鉄道丹後あおまつ号車窓から眺める初夏の長閑な田園風景
国鉄末期の財政難で、建設を凍結された路線たち。野岩鉄道に秋田内陸縦貫鉄道、そして今乗るKTR。これらの鉄路に感じる健気さに、乗っているとどうしても胸が熱くなってしまう。そんな気持ちを知ってか、車窓の田園風景は僕を癒そうとしてくれているよう。

WILLERTRAINS京都丹後鉄道丹後あおまつ号車窓から見上げる初夏の青空
何だろう、車両だけが好きなのではない、乗ることだけが好きなのでもない。僕はやっぱり鉄道そのもの、いや、交通そのものに何故か魅かれてしまう。願い続けてきたKTRにこうして乗れるという幸せを噛みしめ、初夏の青空をまぶしく見上げます。

JR山陰本線緑一色の113系
トンネルと橋梁の連続する、直線的な線形。新線らしいその快足振りを味わいつつ、1時間足らずで福知山駅に到着。ここで念願であったKTRともお別れ。次はいつ会えるか分からないけど、それまでなんとか頑張れ!そう心の中でエールを送り、山陰本線のホームへと向かいます。

するとそこに居たのは、僕の心をがっちり掴む113系。緑一色に姿は変えていますが、凹凸の激しい武骨な四角顔は健在。国鉄型の持つ不器用さと力強さに、僕の鉄心は一層熱くなってしまう。

JR山陰本線113系国鉄型らしい昭和な車内
車内へと乗り込めば、鼻をくすぐる独特な国鉄の匂い。一説にはその正体は使用された消毒剤の匂いとも言われますが、こうして現役で走る国鉄型は、まちがいなく現代の消毒剤を使っているはず。それなのに漂う、昭和の香り。

嗅げば一瞬にして童心に返らせてくれる、魅惑の香り。古き良き想い出を反芻しつつ揺られる、コイルばねの強い衝動。この揺れすらも、愛おしい。そして視界を占めるのは、国鉄の目指した必要十分な設備たち。僕はやっぱり昭和生まれ。こう感じることが、年々増えてきました。

JR山陰本線113系感傷に浸りながら眺める京都北部の長閑な景色
最高の乗り心地やおしゃれなインテリアなどいらない。とにかく全国に、きちんと走る車両を。そんな想いで画一化を良しとした旧国鉄。賛否両論ありますが、だからこそ今でもこうして温かい記憶に触れることができるのです。

子供の頃に乗った、中央本線。この車両の兄弟分が紺とクリームの色を纏い、重たそうに力走していた姿が今でも鮮明に思い出される。いつしか車窓は、そんな鉄道の原風景を彷彿とさせるような長閑さが全体を占めるように。

JR西日本播但線切妻のキハ41
豪快な走りを魅せる113系に揺られ、40分足らずで和田山駅に到着。近くにはレンガ造りの機関庫もあり、本当は下車したかったのですが今日は断念。というのも、これから乗る播但線の本数が少ないのです。という訳でこの写真も、終点の寺前で撮影したもの。

JR播但線昭和な雰囲気が濃厚なキハ41車内
改造痕が独特な表情を見せるキハ41。ですが車内を包むのは、やっぱり心地よい国鉄の風味。ボックスシートには枕カバーが掛けられ、現代には無い息遣いが感じられるよう。

というのもこの枕カバー、僕の幼心に強烈な印象を残しているのです。そもそも車移動が主だったため、電車に乗ると言っても通勤型ばかり。なのでボックスシートの普通列車に乗ること自体が、特別なこと。

紺色の直角シートが並ぶ車内。それだけでも新鮮なのに、子供の頃に静岡で乗った車両には白い枕カバーが付いていた。関東では見たことのないその特別感に、そのときの僕は強烈な印象を覚えたのでした。

JR播但線車窓から見上げる竹田城跡
いやぁ、今日は鉄道祭りだ。KTRに国鉄型、一気に小学生まで戻った気分。そんな僕を載せ、列車は竹田駅へと入線。日本のマチュピチュとして一躍有名になった竹田城の石垣が、遥か山頂に見え隠れ。

JR播但線陰陽連絡らしい険しい鉄路
いつかは訪れたいと思っている竹田城の麓を通り、列車は更に山へと分け入ります。鉱山で有名な生野へと差し掛かる頃には、よくもこんな場所に鉄道を通したと感心するほどの険しさに。

低速で急カーブ、急勾配に挑むジーゼルカー。車体が重くエンジンも非力な国鉄型は、唸りつつも懸命に陰陽を隔てる山へと挑みます。そこまでして成し遂げた、全国の無煙化。そのことへの挑戦と鉄道の進化の歴史が、足元の振動から伝わるかのよう。

JR西日本播但線改造された103系
初めて乗る播但線が担ってきたであろう、使命の重さ。厳しい地形を克服したことを感じさせる車窓と線形に思いを馳せ、約50分の気動車の旅は寺前駅で終了。

播但線は寺前駅を境に、電化と非電化に分かれる路線。ここで電車に乗り換え、今宵の宿のある姫路を目指します。そしてここでも、ダメ押しの国鉄型が。改造されてもなお当時の面影を残す103系は、僕の生活に寄り添ってきた車両そのもの。

久々に味わう金属バネの硬い乗り心地に、豪快に唸りを発する抵抗制御の直流モーター。幼少期のお出かけから高校の通学まで、三鷹生まれの僕の足を支えてくれた103系との出会いに、もう僕のこころはとどめを刺されてしまった。

JR姫路駅南口
車内を満たす部活帰りの学生さんに若き日々の記憶を重ね、本日の終着地である姫路駅に到着。ここにこうして降りたつのは、小学校3年生以来。あの象徴との再会を控え、自ずと気持ちは昂ります。

JR姫路駅至近のホテル姫路プラザ
逸る気持ちを抑え、まずはホテルにチェックイン。お城とは反対側の南口から歩くこと3分、今夜の宿である『ホテル姫路プラザ』に到着。

ホテル姫路プラザエコノミーシングル客室内
今回はエコノミーシングルを予約。駅から近いにもかかわらず、GWにしては非常にお手頃な価格。大浴場もあるため、足を伸ばしてのんびりと旅の汗を流せるのも嬉しいところ。

姫路駅の駅前通りの先に聳える白鷺城姫路城
荷物をおろし、早速夕空の姫路の街へ。賑やかなコンコースを抜けて北口へと出れば、駅前からのびる通りの先に聳える白鷺城の輝く姿。お城を象徴として強く印象付けるような町割に、古くから続く人々のお城への敬愛が伝わるよう。

姫路居酒屋若旦那本店
大人になって初めて訪れる姫路。たくさんの酒場が点在する繁華街をうろうろとし、目に留まった『若旦那 本店』に入ってみることに。

店内へと入ると、まず聞こえてきたのが関西の言葉。そういえば、関西でひとりで観光客向けではない居酒屋に入るのはこれが初めて。チキンな東京人の僕は雰囲気に圧倒され、料理の撮影をできなかったことは内緒です。

ということで、今回は文字だけでその美味しさをお伝えしたいと思います。まず注文したのは、このあたりでよく食べられるというひねぽん。播州地鶏の親鳥を炙って刻み、ぽん酢でいただきます。

ひと口噛めば、感じるのは心地よい歯ごたえと香ばしさ。噛めば噛むほど鶏の旨味が染みだし、柔らかい若鳥にはないじんわりとした旨さを味わえます。

続いては伝助穴子の刺身を。そもそも穴子をお刺身で食べられる機会などめったになく、ワクワクしつつ食べてみます。

なんだこれ、すごく旨い!この手の魚にありがちな泥臭さは全くなく、上品かつしっかりと感じる脂の旨味。懸念される骨もあたらず、程よいもっちり感とともに白身の味わいが口中に広がります。

〆には地だこの天ぷらを。からりと揚がった衣の食感の後に広がる、たこの強い旨味。味わいは凝縮感があるにもかかわらず、弾力がありながらも食べやすい柔らかさ。

やっぱり瀬戸内のたこは絶品。それまで真だこは好きではなく、断然水だこ派だった僕。ですが瀬戸内を旅して出会ったたこの旨さに、すっかり真だこのファンになってしまいました。

夜空に輝く白亜の姫路城
旨い肴をつまみに、たっぷりと愉しむ兵庫の地酒。お腹も心も満たされたところで、お店をあとにします。

ほろ酔いでふらふらと歩く、姫路での初めての夜。大通りへとでてふと横を見れば、そこには輝く姫路城。

あぁ、旅って本当に面白い。泊まって呑まなければ分からない良さがある。京都でも大阪でも神戸でもない、城下として栄えた姫路の持つ雰囲気。お酒の余韻とともに、その空気感にどっぷりと浸かるのでした。

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