冬の近畿 食い倒れ旅 ~2日目 ④~

旧参宮急行電鉄ターミナル近鉄宇治山田駅

二度目の再訪を果たしたお伊勢さんともお別れの時。今回も、立派な駅舎が印象的な宇治山田駅から、近鉄で大阪へと向かいます。

前回、何の予備知識も無く出会ったこの駅舎。参宮急行電鉄のターミナルとして開業して以来、80年以上もの間伊勢神宮の玄関口として働き続ける威厳が、重厚な駅舎全体から滲み出ています。

旧参宮急行電鉄ターミナル近鉄宇治山田駅昭和モダンな内装

外観の重厚さもさることながら、内装の優美さにも目を奪われます。単なる駅としての機能を満足させるだけでは無く、ターミナルとしてその土地の顔となる。

鉄道から降りてきた人は、この眺めがその土地の初めての印象となり、ここから発つ人は、この眺めがその土地の最後の印象となる。

金太郎飴のように画一化された小奇麗な今の駅には絶対に醸し出せない、昭和初期の美意識と旅情が存分に詰まった駅舎。駅は顔である。印象的な駅を目にする度に、僕はそう思うのです。

近鉄特急22600系Ace大阪難波行き宇治山田駅入線

ホームの上屋を支える柱や、架線柱にまで意匠を加えられた宇治山田駅。古き良き鉄道施設の機能美を楽しんでいると、列車の接近を知らせる音が。

滑り込んできたのは、最新型のACE。前日に乗ったACEのデザインを踏襲しつつ、更に丸みを帯びた優しいデザインに。近鉄特急は、昔からのイメージを壊さず守りつつ、現代に合うよう進化を続ける。近鉄特急、やっぱりいいなぁ。

近鉄特急22600系Aceゆりかごシートの並ぶ車内

車内へと入ると、白をベースとした明るい車内に、暖色系の椅子が並びます。シンプルなのに上品さとちょっとした華やかさを感じさせる。関東の鉄道のインテリアとは全く違う印象に、やはり関西私鉄なのだと今一度実感させられます。

関東私鉄慣れしている僕にとって、このインテリアだけでも新鮮そのもの。ただ、それだけでは終わらないのがこの新型ACE。リクライニングさせると、その角度に応じて座面も後ろ側へと傾斜します。

最近ではこの手の座席が増えましたが、このACEの座り心地は、僕にとってはトップクラスの快適さ。フラッグシップでは無い汎用特急にも、快適さを追求する。やはりこのあたりの部分に、近鉄特急が培ってきたイメージの良さの理由があるのかもしれません。

近鉄特急車内で神都麥酒(ビール)

駆け足で楽しんだ三重県ともお別れ。車内の友として、そして最後の三重の酒として選んだのは、売店に売っていた神都麥酒。伊勢志摩産の古代黒米を使用し、実際に昔伊勢で作られていたビールを再現したというこのビール。

これまで感じたことの無い個性の強い香りと味わいに、最初のひと口目はビックリ。ふた口目、三口目と飲み進めると、舌が適応しどんどん美味しく感じられます。ビール好きにはたまらない個性。とても印象的なビールです。

近鉄特急車内で伊勢磯揚げまる天の海老ねぎ天

お昼が伊勢うどんだったので、軽く減った小腹を満たすためにおつまみを用意。二見浦のシーパラダイスを皮切りに、色々な場所で目にした伊勢磯揚げまる天の、海老ねぎ天を購入。

まる天の名の通り、真ん丸でずっしりとくるボリューム満点のお魚てんぷら。噛むとぷりんとした心地よい歯触りと、広がる青ねぎの爽やかな風味。たっぷりと加えられた海老の食感も良く、お酒のおつまみとして申し分の無い旨さ。すっかりお気に入りになりました。

近鉄特急伊勢の山並み冬の車窓

冬の午後の空に横たわる、黒々とした伊勢の山々。海あり、田畑あり、そして山川あり。日本の原風景を凝縮したような、穏やかな自然の溢れる伊勢の土地。この自然と人の織り成す美しさ自体に、きっと神が宿っているのでしょう。

近鉄特急うっすらと積もる雪冬の車窓

前回初めて乗った、近鉄大阪線。紀伊半島の根元を貫く、と考えれば分かることなのですが、道中の山深さに驚いた記憶があります。

そして今回も、その山々の懐へとどんどん進みます。途中には、前回降った雪がうっすら残る場所も。冬枯れの田んぼの雪化粧に、冬の旅情を感じます。

近鉄特急より日本一の高層ビルあべのハルカスを望む

心地よい近鉄特急に揺られる道中。山を下り始め人家が増えてくれば、もうすぐ次の目的地、大阪。遠くには日本一の高さを誇るあべのハルカスが見え隠れ。眼下に広がる長屋の連なる街並みとの対比に、その高さが一層強調されるよう。

近鉄特急は大阪の街を抜け、間もなく難波へと到着。今宵の楽しみは、毒のあるアイツ。冬に食べたいあの魚との対面を目前に、大阪到着を待ちわびるのでした。

冬の近畿 食い倒れ旅

太鼓橋から眺める夜の城崎温泉街
2014.2 愛知/三重/大阪/兵庫/京都

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