冬の近畿 食い倒れ旅 ~3日目 ②~

城崎温泉駅

大阪から山深い鉄路を辿ること2時間半余り、いよいよ焦がれ続けた街、城崎温泉に到着。ずっとずっと来たかった。2年前の挫折が、この嬉しさを一層強いものにします。いやぁ、それにしても来てしまった。ついに来てしまった、あの城崎に。

城崎駅前お土産商店街

小さい頃にテレビの旅番組で目にして以来、憧れ続けて来た温泉街、城崎。山間の鄙びた一軒宿も大好物ですが、古くから続く歴史のある温泉街もまた、僕の好きな湯の光景のひとつ。

城崎と言えばあれ、という眺めにたどり着くまで、駅前からのびる商店街をぶらぶらと進みます。両側には日本海の幸を中心に多くの品々を揃えるお土産屋さんがずらり。

特にこの季節、目をひくのは松葉蟹。食べたことが無ければただのずわい蟹に見えていたでしょうが、もはや目は釘付けに。あの旨さが脳裏によみがえります。

城崎の象徴川と柳、温泉街

駅前からのびる通りを進むと、城崎と言えばこれ!という川と柳の美しい温泉街がついにおでまし。川面に映る古き良き建物たちと、風に揺れる柳の枝。決して派手さはないが、だからこその艶を感じさせる、この街並み。これだけでも来て良かった。

城崎温泉の象徴太鼓橋

城崎の街を一層印象強いものとする、いくつも架かる太鼓橋。その上からの眺めは、これまでに幾度となく目にし、僕の心を捉え続けて来たそのものの風景。

小さい頃から最新のビルよりもレンガ造りやレトロな建物が好きだった記憶がある僕。この街を見て来てみたいと思ったのも、そんな志向があったからなのでしょう。

城崎温泉山本屋

そんな古き良き温泉街の真っただ中、今では貴重な木造三階建てが目を引く、『城の崎山本屋』が今夜のお宿。城崎に来たら木造旅館に泊まりたいという願い他に、今夜はあのグルメも味わわせてくれる、楽しみにしていたお宿です。

城崎山本屋和モダンな館内

城崎温泉でも、一番歴史ある旅館であるというこちらのお宿。数年前にリニューアルされ、木造三階建ての良い雰囲気はそのままに、和の中に現代の快適さを感じさせる雰囲気が漂います。そんなロビーと廊下を進んでお部屋へ。

城崎温泉山本屋貴重な木造三階建て客室

お部屋はのんびりとくつろげる和室。こちらもきれいにリニューアルされている中で、障子の時代から変わらない大きな窓や、窓の明かりに浮かぶ陰影が美しい障子など、古くから使われてきた建物の温かみが感じられます。

やっぱり木造旅館はいい。古くから伝わる姿をそのまま残すものも好き。そして、その雰囲気を残しつつ現代の感覚に合わせたものも、工夫が感じられてまた良い。

大切なのは、その建物が持ち合わせた性格や、積み重ねた歴史が尊重されて活かされているかどうか。きっとこのお宿は、この建物を大切に使い続けて来たのでしょう。

城崎山本屋客室から眺める温泉街

部屋は温泉街側の二階。この高さがまた良く、窓の外に広がる温泉街との距離感が適切。下駄のからころと響く音や話し声、川向に建つ木造旅館といった、温泉街の風情が全て詰まった眺め。

復興によりできた城崎温泉の街並み

実はこの風情溢れる城崎の街並みは、大正末期に起きた北但大震災という大地震からの復興として造り上げられたものだそう。

僕はそんなこととは全く知らず、現地へ行って初めて知りました。きれいに護岸の整備された川や、両側に整然と並ぶ温泉街など、いわれてみれば、と気付くような部分があります。

大谿川の両岸をガッチリと固めるのはコンクリでは無く、付近の天然記念物、玄武洞から運ばれた玄武岩。川岸には風流な柳が風に揺れ、それらを囲むように温泉街が建ち並ぶ。川に架かる太鼓橋もまた意匠が凝らされ、昭和初期の美意識、モダンがそこかしこに散りばめられている。

温泉街の復興に掛ける人々の想いや、そして温泉街たるもの風情があってこそ、という当時の人々の力や美意識が伝わってくるような街並み。だからこそ、人々を魅了し続け、今もなお大切に守り続けられているのでしょう。

街並みに目を奪われて以来、憧れ続けて来た城崎。初めての訪問でその生い立ちを知ることとなりましたが、人々の想いが詰まった街には、それに魅了された観光客がたくさん歩いていました。

もちろん、僕もそんな人々のひとり。生の城崎は、写真よりも、映像よりももっといい。温泉に入る前から、初めての城崎に酔いしれるのでした。

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冬の近畿 食い倒れ旅

太鼓橋から眺める夜の城崎温泉街
2014.2 愛知/三重/大阪/兵庫/京都

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