夜行急行 ~お伊勢と、夜行と、温泉と。3日目 ③~ | 旅は未知連れ酔わな酒

夜行急行 ~お伊勢と、夜行と、温泉と。3日目 ③~

上越線小出駅 旅の宿

銀色に染まる車窓を楽しみながら到着した、小出駅。天気は生憎の雨ですが、この後は温泉三昧なので、気にしない、気にしない。

南越後観光バス栃尾又温泉行き

上越線到着に合わせているのか、もうバスが待機していました。乗換時間7分という接続の良さ。ここ小出駅から、『南越後観光バス』で栃尾又温泉を目指します。

栃尾又温泉自在館

バスに揺られること約30分で到着。栃尾又温泉には3軒の旅館がある中で、今回選んだのは、『自在館』。一番大きな宿で、専用のお風呂も館内にあります。

自在館木造3階建て旧館

自在館には2つの棟があり、フロントのあるコンクリ造りのほうが本館。そしてこちらの木造3階建て、味のある旧館。僕は旧館で予約しました。

お風呂もそうですが、この旧館に泊まってみたくてこの宿を選びました。なんだか最近は木造旅館ばかりに目がいくようになってしまい、困ったものです。

自在館ロビーのいろりと雪景色

まずはフロントでチェックイン。チェックインは13時頃から、チェックアウトは11時位までと、だいぶのんびりできるようになっています。

ロビーには囲炉裏が切られており、下を流れる湯の沢川の音を聞き、お茶を頂きながらののんびりしたチェックイン。もうこの時点で、宿の方の「のんびりしてもらおう」という気持ちが伝わってきます。本当に時間の流れがゆったりとしている。

栃尾又温泉自在館番傘と秘湯を守る会提灯

横に目を移せば、自在館の番傘と日本秘湯を守る宿の提灯が。この提灯を見ると、なんだか気持ちが高ぶってしまいます。

この宿には、宿専用のお風呂が3つあり、露天風呂は終日、内湯は22時半まで貸し切りとなっています。チェックイン時に希望を聞いてくれるので、そこで予約するといいでしょう。もちろん空いていれば、予約をしなくても入ることができます。

栃尾又温泉自在館大正時代建築旧館の廊下

一通りお風呂や食事、館内の説明を受け、お部屋へと向かいます。本館から渡り廊下を渡り、旧館へ。ご覧の通り、鍵もなく、廊下とは障子やふすまだけで仕切られた昔ながらの造り。でもそれがいい。この建物は大正時代から現役でい続けており、深い味が随所に刻まれています。

栃尾又温泉自在館大正時代建築旧館客室とこたつ

お部屋は一人だったので、角の少し小さめの部屋。小さめと言っても6畳はあり、一人には十分で落ち着けるサイズ。部屋にはファンヒーターとこたつが用意されており、中はポカポカ。これなら旧館でも全く困ることはありません。

この旧館、実はとってもお得で、冬季暖房費を加算しても、1泊10000円でお釣りがきます。食事内容も一番いいもので、旧館好きの僕にとってはまさに一石二鳥。いい宿を選んだものです。

栃尾又温泉自在館貸切風呂うさぎの湯

貴重品をフロントに預け、いざお風呂へ。露天は予約がすでに入っていたので、まずは内湯へ。2つの内湯は、22時半以降は男女別の浴場となるので広さは十分。

自在館の3つのお風呂のお湯は、湯の沢川対岸から湧き出ている自家源泉。自在館に泊まれば、共同浴場と合わせ2つの源泉を楽しむことができます。

お湯はさらっとした、肌の馴染みがいい優しいお湯。ラジウムを含んでいる放射能泉で、源泉温度が低いため適温に加温しています。もちろん掛け流し。この広い浴槽に、自分のためだけにお湯が流されている。ひとりで貸し切るには申し訳ないほどの贅沢です。

栃尾又温泉自在館名物自在館讀本

貸切の時間は40分が基本らしいのですが、この日は平日で空いていたので、1時間取ってくれました。気持ちの良いお風呂をまったり堪能し、部屋へと戻ります。

部屋ではこたつが待っているので、湯冷めの心配もなし。こたつでくつろぎながら、ビール片手に置かれていた自在館讀本に目を通します。これは所謂宿泊の御案内、的なものですが、色々なことが書かれていて、見ていて結構面白い。泊まったら是非一読してみてください。

栃尾又温泉自在館貸切露天風呂うけづの湯

部屋でのんびり休み、今度は露天風呂へ。こちらも今回は1時間使わせてくれるため、のんびりと楽しむことができました。

内湯と同じ源泉が引かれており、こちらも加温掛け流し。3月とはいえまだまだ冷たい空気の中入る露天風呂は格別。まぶしいほどの銀世界に包まれれば、体も心もほぐれてゆきます。湯温も適温で、いつまででも入っていたい、そんなお風呂。

ここのお湯は不思議なもので、全くのぼせないのに体の芯から温まり、上がった後は汗が引かないほどの保温効果。こんなお湯は初めて。

旅先で貸し切り風呂を利用しない僕にとっては、時間を気にしながらというのはどうかな、という不安がありました。

ですが、実際利用してみると、誰にも気兼ねせずこのお湯を楽しめ、想像以上にのんびりすることができました。ましてや誰かと一緒に来ていれば、なおさらでしょう。これもゆっくり寛いでもらうためのいいシステムです。

栃尾又温泉共同浴場したの湯への階段

栃尾又で唯一の露天風呂を楽しんだ後は、その足で共同浴場へ向かいます。この共同浴場は、栃尾又温泉にある3つの旅館が共同で運営しているもの。古くからみんなでこの温泉を大切に守ってきたのですね。

共同浴場は、源泉の真上に建てられた川沿いのしたの湯と、自在館の隣にある近代的な建物のうえの湯に別れており、男女別の交代制になっています。この時はしたの湯が男湯だったので、長い長い階段を下りて目指します。

栃尾又温泉共同浴場したの湯

共同浴場は源泉掛け流しの加温なし。大きな浴槽に、ほぼ体温に近いようなぬるいお湯が満たされています。このぬるいお湯に何時間も入る、長湯といわれる入浴法が栃尾又には伝わっており、みんな思い思いの格好で、ひたすら浸かっています。

熱くも冷たくもないお湯に入るのは初めてのことで、本当に不思議な感覚。体温に近いので、ほとんど温度は感じません。そのため湯あたりすることなく、いつまでも入っていられるので、栃尾又の誇るラドンの効能を十分に受けられるのでしょう。

栃尾又は体への吸収がいいラドンを含んだ温泉ということで、古くから湯治に利用されています。飲泉もでき、ロビーには冷えた源泉も用意されています。体の内側からも外側からも、その効能を受けることができます。

その効果は実際には長期間滞在しないと体感することはできませんが、これだけぬるいお湯であるにもかかわらず、最後にちょっと上がり湯で温まっただけなのにずっと体がポカポカするという不思議な感覚は、きっとこの温泉の効能の高さがもたらすものなのでしょう。

不思議な温泉にゆっくり浸かり、夕食のときを待ちます。

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夜行急行~お伊勢と、夜行と、温泉と。~
国鉄型583系ヘッドマークと特急マーク(くちばし)
2010.3 愛知/三重/大阪/新潟/群馬
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