枯色、極彩、湯の香り。~奥日光冬支度4日目②~

初冬の日光湯元温泉源泉で濁る湯ノ湖

3泊を過ごした湯元温泉に別れを告げ、遊歩道を経て下界を目指します。日光湯元に隣接する湯ノ湖。火山活動により造られた堰止湖で、湖水の一部は温泉水の成分により独特な色合いに変化しています。

初冬の日光湯元温泉うっすらと雪の積もる湯ノ湖沿いの木道
まれに人とすれ違うものの、初冬らしい静けさに包まれる湖岸の遊歩道。湯ノ湖の東西両岸に散策路が整備されていますが、ぷーさんに会いたくないため車道に近接する東側を歩きます。

途中、木道にはほんのりとした冬の主張。今回は白銀の世界を味わうことはできませんでしたが、雪が積もっていたらここは歩けなかったはず。あたりを支配するもの寂しさを噛みしめつつ、静かな独り歩きを楽しみます。

初冬の日光湯元温泉モノトーンに包まれる湯ノ湖
笹に覆われる兎島半島を抜けると視界が開け、眼前には静まりかえる湯ノ湖の姿が。この時期、この天気だからこその、枯れた色。すべてがモノトーンに染めあげられた風景に、この世界に自分以外誰もいないような錯覚に襲われてしまいそう。

初冬の湯ノ湖畔巨岩にしがみつく木
時折通り過ぎる車以外、生命の気配すら感じさせないような初冬の湖畔。そんな中でも感じさせる、自然の持つ命の強さ。巨岩にしがみつくように育つ木の根からは、厳しい風雪に耐えてきた苦労が滲みだすかのよう。

初冬の湯ノ湖湯滝の落ち口
湯川を堰き止め湯ノ湖を造り上げた溶岩流。湛えきれなくなった水はその淵を越え、湯滝となって一気に麓へと駆け下ります。落ち口から眺めれば、その高低差は一目瞭然。普段なかなか目にすることのない滝の始まりに、思わず吸い込まれてしまいそうな軽い旋律すら感じます。

溶岩壁を滑り落ちる湯滝
滝に寄り添うように続く階段。葉を落とした木々の間からは、溶岩壁を滑り落ちる湯滝の優美な姿が見え隠れ。大量の水が豪快かつ滑らかに落ちる様子は、ベタだけれどまるでレースのような美しさ。

初冬の湯滝二股に別れ滝つぼへと落ちる
長い長い階段を下りきり、観瀑台から見上げる荘厳な姿。末広がりに白い糸を垂らす様子は、女性的な穏やかさと強さを秘めた美しさを感じさせるよう。刻一刻と変わる水の姿が織りなす繊細美に、時を忘れて見入ります。

絶妙な角度と水量を持つ湯滝
正面からの優美さを満喫し、少し歩いて別角度から。ナメ滝でありながら迫力のある湯滝。この位置から見ると豊富な水量とともにこの絶妙な傾斜がそれを演出していることが分かるよう。

湯滝を滑り終え平穏を取り戻す湯川
50mもの落差を滑り終え、何事もなかったかのように流れ始める穏やかな水。動と静、滝の周辺に漂うこの対比がとても印象的。湯川となって流れる水は、この先広大に広がる戦場ヶ原へと向かいます。

初冬の奥日光小雨に濡れる車道を歩く
湯滝の轟の余韻を耳に残しつつ、更に下界を目指し歩みを進めます。時折舞い落ちる小雨にあたりながら歩く、濡れた車道。辛うじて緑色を添える笹の間を縫うようにのびる道の先には、枯れ木越しに雄大な男体山の姿が。

初冬の奥日光戦場ヶ原付近から眺める雄大な男体山
緩やかな坂道を下りきり、視界が開けたと思えばそこが戦場ヶ原。どこまでも続く広大な湿地に裾を広げる男体山は、中禅寺湖川から望む荒々しい力強さとはまた違った美しさ。

枯色に染まる初冬の戦場ヶ原
かつての湖が湿地化した戦場ヶ原。視界いっぱいに広がる雄大な眺めは、ここが1400mに位置する高地であることすら忘れさせるような静けさに包まれています。

大昔、下毛野国の男体山に宿る二荒神と、上毛野国の赤城山に宿る赤城神が中禅寺湖を巡って争ったという伝説の残る戦場ヶ原。雪が積もる前、全てが枯れてしまったこの時期ならではの荒涼さに、その伝説も頷けるとひとり納得。

初めて訪れた奥日光。春、夏、秋にはない静寂とモノトーンに染まる世界感に、初の戦場ヶ原は僕の心に強い印象を刻むのでした。