連泊のススメ ~夏油への道~

東京駅レンガ駅舎を模したポスト

荘厳な姿に生まれ変わった東京駅を心に焼き付け、丸の内中央口より入場。改札内には、東京駅の新しいシンボルとも言えるドームを冠したポストが。

東京駅グランスタ内はせがわ酒店日本酒バー

大好きな東京駅の素晴らしい姿と、8泊9日という未体験の湯治旅への期待で、すでに気分は絶好調。浮足立つ気持ちでふらふらと向かったのは、いつも立ち寄る『はせがわ酒店』。

ここで車中のお供を買いましたが、新幹線の時間まではまだまだ。そこで、ずっと気になっていた、併設の日本酒バーでちょっと景気付けすることに。

東京駅グランスタ内はせがわ酒店日本酒バーで八海山越後で候

日本酒バーを謳うだけあり、津々浦々の日本酒が色々と取り揃えられ、どれにしようかと嬉しい悩みに頭を抱えてしまいそう。そんな中で選んだのは、新潟の銘酒、八海山の越後で候。

しぼりたて原酒ということで、10月~3月の限定発売だそう。原酒だけあり、度数は19度と高め。しぼりたての名の通りフレッシュ感がガツンと来る感じが堪らなく、景気付けのつもりがおかわりしてしまいました。

東京駅グランスタ内はせがわ酒店日本酒バーおつまみ三種盛り

こちらはお酒だけでなくおつまみの種類も豊富。どれものんべえにはたまらないラインナップなのですが、さすがに新幹線に乗車する前に出来上がってしまうのももったいないので、その中から一つだけチョイス。

といっても、欲張りな僕は3種盛りを注文。牡蠣の燻製やタンスモークをかじりながら飲む日本酒は、まさに夢見心地。これからの日々を思い描き、ひとり妄想と酒に酔うのでした。

どうしよう、まずいところを知ってしまった。これからは新幹線の時間に余裕を持たせ、ここに立ち寄ってしまいそう。

東京駅E3系やまびこ号

ここ数年、東北・上越新幹線に乗ること自体珍しくなくなってしまった僕の旅行中毒。人間とは贅沢なもので、慣れてしまうと旅立ちの新鮮味が薄れてしまいがち。

まさに最近がその状態でしたが、今回のいつもとちょっと違った出発前の時間の過ごし方により、今回の旅立ちは久々にワクワクするものとなりました。

東北新幹線やまびこ号車内でTOKYOSTATION純米吟醸

今回は、温泉に的を絞った湯治旅。今宵の宿のある北上駅を目指し、やまびこ号に乗車します。

今回のお供に選んだのは、はせがわ酒店グランスタ店でしか手に入らない限定ラベル、TOKYOSTATION純米吟醸。埼玉は越生の麻原酒造のお酒。日本酒の風味をしっかり楽しめる飲みごたえながら、飽きのこない飲みやすさで僕好みのお酒。

仙台駅弁東北まるごと弁当

時刻はちょうどお昼時。仕事上がりでそのまま出発したため、お腹はもうペコペコ。ということで、早速駅弁を開けます。

今回も東京駅構内にある駅弁屋さん、祭で購入。いろいろ並ぶ中、やはりこれから向かう地、そしてこれまでの想いでの地へと思いを馳せたいと思い、東北まるごと弁当を購入。仙台のこばやしが調製するお弁当です。

仙台駅弁東北まるごと弁当中身

箱を外すと大きな六角形の容器が登場。それぞれのマスが東北六県それぞれに割り当てられ、各県の味がぎっしりと詰まっています。

右上から時計回りでご紹介。岩手は秋刀魚の竜田揚げや県産若鶏の照り焼き、山形は芋煮。宮城は牛タンシチューや笹かま、中央のご飯も宮城のひとめぼれだそう。

続いて福島は県産大根と会津味噌の田楽。秋田はとんぶりやいぶりがっこ、野菜マリネにふきの旨煮。最後は青森、帆立のニンニク味噌焼きに姫竹の子の薄煮、焼きりんご煮。

他にも書ききれないほど色々入っており、それぞれの美味しさを書き残そうと思うと大変なラインナップ。なので、今回はそれぞれのお味については割愛しますが、どれもみんな美味しいことだけは間違いありません。

これまでこの手のお弁当が好きで買ってきましたが、この郷土色豊かなバリエーションはかなりのもの。日本酒片手に各県をはしごすれば、それぞれどの県にも行きたくなってしまう。これから岩手に向かうというのに、他の県にも思いを馳せてしまう欲張りな僕なのでした。

秋色が流れる東北新幹線車窓

車窓には段々と田んぼの占める割合が増え、青い秋空に浮かぶ白い雲と相まって、長閑な雰囲気に包まれます。先月通った時はまだ稲刈り前だったこのあたりの田んぼも、稲刈りが終わりすでに秋模様。

秋空と山並み東北新幹線車窓

列車は東北地方へと突入し、遠くに見える山々の頂も、色とりどりの紅葉を纏い始めているのが見て取れます。去年見た、福島の安達太良の紅葉は素晴らしかった。今年はどんな眺めと出会えるのだろうか。そのことを思うだけで、僕の心も赤く、黄色く染まってゆきます。

東北新幹線稲刈り後の田んぼ秋の車窓

いつも乗るはやてよりも停車駅の多いやまびこ号。ひとつずつ目的地へと近付く楽しみを味わいつつ、まったりとした午後の車内でのんびり過ごします。

雲をたくさん抱く秋の空は刻一刻と表情を変え、見ていて飽きることはありません。雲の隙間から降り注ぐ光のレースもそのひとつ。秋色を纏った少し寂しげな田んぼを優しく照らします。

秘湯への入口北上駅

東京を出発して約3時間、北上駅に到着。この度最初の目的地まではあと少し。路線バスの時間まで、駅前のお土産屋さんやスーパーで必要なものを揃えます。

岩手県交通旧塗装夏油温泉行き

北上駅からは『岩手県交通』のバスに乗車し、一路夏油温泉を目指します。この路線バスは1日2往復、本当に本数の少ない路線。時刻はしっかりと調べ、絶対に遅れないように行動しなければなりません。

夏油温泉行きバス秋の車窓

バスは北上市街を抜けて山へと舵を切ります。山の日暮れは早いもの。時刻はまだ15時台半ばというのに、既に秋の空には夕暮れの気配が漂い始めています。

夏油温泉行きバス秋色の山並みが広がる車窓

バスはグングンと登り、高度を上げていきます。ここまで来ると、暮れ始めの弱い光でも山々が色付きはじめていることがはっきりと分かるように。これから向かう夏油温泉は更に上。どのような景色が待っているのかと、逸る気持ちにバスの速度がもどかしく思えるほど。

紅葉に彩られる岩手の山

エンジンを唸らすバスに揺られ、更に山道を登ります。ここまで来ると、周りの山々も自分より低いかと思うほどの高度に。木々の色付きも濃さを増してゆきます。

夏油川を包む紅葉

駅から1時間、夏油温泉バス停に到着。うぅん、ちょっと寒いぞ。その気温に、ここがすでに深い秋であることを思い知らされます。

ひんやりとした空気に触れ、すぐにでも宿にチェックインしてお湯に浸かりたかったのですが、夏油川を包む紅葉した木々が美しかったので思わず1枚。

でもやっぱり、カメラやPCのモニターではあの色彩は再現しきれないのですね。肉眼で見た感動をお伝えできないことが残念で仕方ありません。

さあ、これから8泊9日、延々とお湯を愉しむ魅惑の日々が始まります。その内容は、自分としては濃厚で思い出深いものでしたが、変化に乏しいのでいつもとはちょっと違ったスタイルで書ければと思います。

その濃くてゆるいのが、連泊の魅力そのもの。「何もしないを楽しむ」ユルさを少しでもお伝えできればと思います。