塩原那須甲子自噴泉めぐり ~湯にけむる、名残の冬。4日目 ②~

東野交通バス那須温泉行き

黒磯駅前から、『東野交通』の那須湯本行きバスに乗車し、最後の目的地へと向かいます。目指すはあの真っ白なにごり湯、那須湯本のシンボルとも言える、あのお湯です。

冬の那須温泉神社雪景色と鳥居

バスは延々と那須の高原を登り続け、40分足らずで終点の那須湯本に到着。ここまで来ると真っ白な雪景色。最後の最後で再び、名残の冬を味わえることの嬉しさに包まれます。

雪の那須温泉神社本殿

頬を刺す冷たい空気の中、那須温泉神社にお参りを。那須湯本温泉が発見され建立されたという、1300年以上の歴史を持つ由緒ある神社。音も無く降る雪の中、凛とした空気に姿勢が正されます。

那須湯本雪に埋もれた荒涼とした景色

神社から下を見れば、雪に浮かぶ荒涼とした眺め。鼻をくすぐる硫黄の香りと共に、ここが活きている大地であることを感じさせます。

那須温泉神社から殺生石へ雪道を歩く

早速その場所へ向かおうと歩き出すと、すぐにこんな雪道に。足首の高めのスニーカーを履いていましたが、あと少しで埋もれてしまいそう。それでも、この時期の気温のためか雪は締まり、意外にも難なく歩くことができます。

雪景色の那須湯本殺生石

そして辿りついた、名所殺生石。九尾の狐伝説の残る、古くから人々に畏れられてきた噴煙地。大きな石がごろごろと散らばる山肌からは、いたるところから火山ガスが噴き出ています。

那須湯本噴煙地雪景色の荒涼とした風景

硫黄の香りに包まれながら歩く道。この谷一帯が大きな石とお地蔵さんで埋め尽くされ、雪景色がその荒涼とした景色を一層強いものとしています。人っ子一人いない、殺生石。大げさでは無く、ひとりで歩くのが心細くなるほど。

冬の那須湯本雪景色の鹿の湯

音も色彩も無い場所を抜け、この旅最後の目的地である『鹿の湯』に到着。1300年以上の歴史を持つというこのお湯は、射られた鹿が傷を癒しているところを発見されたという謂れがあります。

この温泉は、以前会社の温泉仲間で立ち寄りました。その時の印象がとても強く、最後にここに立ち寄ることに。明治に建てられたという湯屋には6つの四角い浴槽があり、それぞれ温度が違います。41℃~44℃まで1℃刻み、そして46℃と48℃の強烈に熱い浴槽も。

小ぢんまりとした浴槽一つひとつに真っ白なにごり湯が掛け流され、その硫黄の香りはまさに温泉そのもの。酸性のぴりっと来る浴感も合わせ、絵に描いたような山の湯を楽しむことができます。

中は多くの人で賑わい、湯に浸かっては休むを繰り返し楽しんでいます。ここはざっと入ってすぐに出るのではもったいない。濃い温泉のため長時間は浸かっていられないので、少しずつ繰り返し入浴を楽しみたいものです。

低い温度から少ずつ馴らし、自分の適温を探します。僕は43℃がお気に入り。試しに46℃まで入ってみましたが、とても熱いけれど入れてしまうのが温泉のなせる業。ここや草津、熱塩など、熱くても入りたいと思わせる温泉。本当に不思議なものです。

雪景色の那須湯本温泉

最後の最後まで良いお湯を楽しめたこの旅も、もうすぐ終わり。鹿の湯の心地よい香りを全身に纏わせ、那須湯本の鄙びた温泉街を湯上り散歩。火照った体を冷たい風が心地良く撫でてゆきます。

黒磯駅に飾られたサボの数々

再び那須湯本からバスに乗り、黒磯駅に到着。黒磯は東北本線が直流から交流に切り替わる、昔からの交通の要衝。その名残を、改札に飾られた多くのサボが物語ります。

夜の宇都宮駅

黒磯から東北本線の上り列車に乗車。といっても、ここからは宇都宮線というほうがしっくりくるかもしれません。もうだいぶ日常に近付いてきました。そして宇都宮駅で最後の途中下車。

宇都宮駅ビル内宇都宮餃子小町

宇都宮と言えば、の宇都宮餃子を、駅ビルの中で楽しむことに。ここにはいくつかの餃子のお店が並び、どこへ入ろうかと悩みますが、今回は今まで入ったことの無い『宇味家』に入ってみることに。何度食べても飽きのこないシンプルな美味しさの宇都宮餃子。ビールと焼き餃子、水餃子のベストマッチを楽しみました。

宇都宮線グリーン車でさのまるワンカップ

餃子を楽しみ、宇都宮から湘南新宿ラインに乗車します。後はもう帰るだけ、新宿まで一直線。最後に栃木の旨い酒を楽しみながら、帰路へと就くことにします。

まずはお土産屋さんで目に付いた、佐野市の第一酒造が造るさのまるカップ純米吟醸。去年のゆるキャラグランプリで優勝した、佐野市のゆるキャラであるさのまるくんが描かれています。中身のお酒はすっきりとした飲み口で、餃子の後にこれだけでちびちびやるのにピッタリ。

湘南新宿ライングリーン車で開運おやまくまワンカップ

夜の関東平野を南下する湘南新宿ラインに揺られ、この旅を回想するひととき。続いてのお供にと選んだのは、小山市は西堀酒造の若盛純米吟醸。カップには小山市のゆるキャラ、開運おやまくまが描かれています。こちらは若干黄色味がかった色の通りお米の旨味が感じられる飲みごたえ。

都心から一直線で行ける秘湯。日光国立公園の那須甲子・塩原地域をピンポイントで巡った、今回の旅。最初は忙しくて長期休みが取れないからと、これまで来たかった近場のエリアを結んだ行程でした。

僕にとって、ある意味現実逃避の手段のひとつとしても重要な、一人旅。だからこそ、遠いところへ行きたい、そう考えてしまう癖があります。でも今回、この行程を巡ってみて、灯台下暗しという言葉の意味を痛感させられました。

塩原から始まり、二岐、甲子へ。どれも個性の違う泉質とロケーション。こんなに近くにこんなに良い温泉があったなんて。更にはどれも東京近郊では貴重な自噴泉ばかり。来ようと思えば1泊2日でも来れてしまう。嬉しい発見に、これからの旅の回数が増えてしまいそうな予感が脳裏をよぎります。

春の気配を感じる東京から出かける、片道3時間ちょっとの冬の旅。こんなに冬の名残、いや、冬真っ最中を味わえるなんて。手軽に季節を跨いでしまう。このことを知り、これから行かなければならない場所が増えてしまった。新しく嬉しい悩みに、早くも次の候補地を脳内で検索するのでした。

塩原那須甲子自噴泉めぐり~湯にけむる、名残の冬。~

二岐温泉柏屋旅館露天風呂からか眺める銀世界
2014.3 栃木/福島

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