雪に抱かれ、湯に溶かされ。~春の奥湯沢で過ごす時間 1日目 ①~

春の東京駅赤レンガ駅舎

この前の月に酸ヶ湯に行ったというのに、また旅ですか!

肩の荷が下りてすっかり脱力した僕は、これまでの旅欲求が爆発してしまい、またまた旅行へ行くことに。というより、遠方・長期にこだわらなければ、もっと手軽に旅に出られるはずという、今まで敢えて触れて来なかった禁断の領域に手を出してしまったのです。

そんな欲深い僕を旅へと誘う玄関口、東京駅。今回はこの立派な赤レンガ駅舎にご挨拶してから、関東を脱出することにします。

東京駅赤レンガ駅舎美しい天井のドーム

復原工事が終わってから、この駅舎を外から訪れるのは2回目のこと。その惚れ惚れする美しさに、新鮮な感動が心を震わせます。

やはり東京駅は美しい。東京の玄関、象徴としてここに在り続けてきた威厳が、あちこちを彩る美意識をより深く強いものにしているかのよう。

北陸新幹線が開通し行先は金沢へ

危ない危ない、放っておいたら東京駅に見とれてしまい、新幹線に乗り遅れてしまう。早速ドームが美しい丸の内南口から、改札内へと入ります。

その手前、新幹線の表示板には、金沢の文字が。1ヵ月前、酸ヶ湯へと旅立った時には、まだ長野新幹線だった。名称が北陸新幹線に変わり、行先も金沢へ。こうして文字として目にすると、本当に開通したんだと実感します。

E4系Maxとき16両編成二階建て

先月に続いて今月も。このホームに立てる喜びを噛み締めつつ、入線する新幹線を待ちます。

今回乗車するのは、Maxとき。このちょっとしたアパートが連結してしまったような巨体も、もう少しで見納めかもしれない。僕を幾度となく東北・越後へと運んでくれたこの車両。何度見てもこの巨体が高速で走ること自体が奇跡だと思う。

迫力満点のMax併結を目の当たりにし、久々の乗車に感慨に浸っていると、以前とは違う点にふと気付きます。手前の黄色い帯が、見慣れたE4系の姿。ところが、奥のE4系は初代Maxの引退時と同じ朱鷺色のラインが引かれています。

これはこれでかっこいい。良く似合っている。新旧2つの姿を同時に見ることができ、年甲斐も無く思わず興奮してしまいます。

春の荒川を渡り東京脱出!

Max併結、16両2階建て。上越新幹線の需要は北陸新幹線開通後も衰えず、結構な混雑で東京を出発。シートマップで2階の窓側がもう無いことを確認し、どうにか平屋部分の窓側をゲット。

MaxだけれどMaxっぽくない視座に戸惑いながらも、荒川を渡り無事に東京脱出。これから小一時間で、僕は別世界と飛んでゆくのです。

上越新幹線から眺める上州独特の山並み

Maxは巨体に似合わぬ俊足で次々と駅を通過し、高崎を越えて関東平野の縁へと挑み始めます。車窓には群馬独特のギザギザした山並みがせまり、関東脱出への期待が一層強まります。

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった

そしていよいよ、新幹線は轟音と共に大清水トンネルに突入。長い長いトンネルを抜ければ、そこはもう越後の国。

暗い闇を引き裂きながら進む新幹線がガクンと揺れ、ブレーキを掛けたことが分かります。段々と減速し、いよいよその瞬間が。僕が上越新幹線に乗るときは、この瞬間が一番楽しみ。長い隧道を抜けると違う地方へ。なんとなくとても素敵ではありませんか。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」ベタだけれど、本当に訪れるこの光景。

動脈としての使命を新幹線にバトンタッチした現代でも、大清水トンネルを抜けた瞬間は特別なものがある。僕が初めて冬の上越国境越えをしたのは、この本を読んだずいぶん後のこと。本の中のことが現実に起こった瞬間を、未だ忘れることができない。だから、この瞬間が今でも好きなのでしょう。

だって、雪に逢いに、ここまで来るのだから。

3月半ば、東京ではそろそろ春の気配も感じるその季節。僕は敢えて、名残の冬へとやってきた。これから3日間、ここ越後湯沢で、何もしない、をする。ザ・保養。短いながらも濃厚な心の湯治が、これから始まります。

雪に抱かれ、湯に溶かされ。~春の奥湯沢で過ごす時間~

奥湯沢目の湯貝掛温泉清らかな源泉で眼を洗う
2015.3 新潟

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