止まぬ感動ヤーヤドー ~やっぱり逢いたい、ここの夏。1日目 ③~

暮れ始める浅虫の海

ホテルの隣は浅虫の海水浴場。開けた窓からは先ほどまで賑やかな声が聞こえてきましたが、ふと気がつくとその声もなくなり、人影の消えたビーチは静寂に包まれつつあります。

火照りが消えゆくような、夏の夕暮れ。だんだんと光が弱まりゆく、なんとなく漂う寂しさもまた味わい深い。

金色に輝く浅虫の海と湯の島
視線を横へとずらせば、夕陽に輝く金色の海。窓からは涼しい海風と波の音が絶えず流れ込み、この黄金の瞬間がいつまでも続けば、と思わせる心地よさ。

浅虫の海に落ちる夕陽
夕陽の織り成す金のグラデーションをただただ眺めていると、その光りももうすぐ終わりを告げる時間に。

今日という一日を照らす、最後の光り。到着した時にはどしゃ降りの雨だったので、こんなにきれいな夕陽を望むことができるなんて、思ってもみませんでした。

浅虫さくら観光ホテル夕食
落ちる夕陽を楽しんでいると、お待ちかねの夕食の時間に。2階のレストランで海を見ながら頂きます。

席に着くと美味しそうな品々が並んでいます。まずは前菜から。ほたてやいかの三升漬けなど、青森を感じさせる味を少しずつ楽しみます。

お造りはまぐろにえび、白身の昆布〆。白身にはおぼろこんぶがまぶされており、魚と昆布との相乗効果で日本酒が欲しくならない訳がありません。

お凌ぎはサーモンとえびの握りずし。お造りが美味しかったので期待して食べてみると、これまたきちんとした美味しさ。大きな観光ホテルできちんと美味しいお料理が出てくると、一気に旅の楽しさが増します。

そして今回僕の一番のお気に入りは、左上のお鍋。薬膳仕立ての茶ぶ茶ぶ鍋と名付けられたこのお鍋は、この周辺の名産である「カワラケツメイ茶」というお茶で魚介をしゃぶしゃぶして食べる、というもの。

まず何より、具として出されているほたてと鯛が新鮮で旨い。ほたてはさっと火を通すことにより甘味が凝縮され、ほどよい弾力が生まれます。

そして鯛。皮付きであるが故の、皮と身の間に詰まった旨味を存分に楽しめます。添えられたぽん酢も繊細な魚介の味を邪魔しないすっきりとした味付け。

そしてほんのりと香る、カワラケツメイ茶の香り。これが魚介の風味を引き立て、野菜や豆腐にも香り付け。

ホテルといえばお肉や寄せ鍋が多い中で、こんなメニューは初めて。郷土色溢れる逸品に、ものすごく青森に来た感を味わえます。こういうものが食べられるホテル、好き。

続いては焼肴、帆立のグラタン。ほたてと野菜が丁度良いミルク感のホワイトソースで和えられ、香ばしく焼き上げられています。

中央の赤いのは鶏肉のトマト煮。程よい酸味と旨味が詰まったトマトソースで煮られた鶏は、しっかりと煮込まれほろりとした食感。和食の中でいいアクセントになります。

サラダは焼小蕪とえびに梅肉ドレッシングが掛かったもの。この小蕪がとても瑞々しく、さっぱりとした梅の酸味と相まってとても夏向き。

浅虫さくら観光ホテル帆立御飯
ここまででも結構お腹いっぱいなのですが、こちらのご飯は卓上で炊き上げる帆立御飯。ほたてや鶏の旨味が薄味のご飯に浸みこみ、これまた美味。丁度良い塩梅で、結局全部食べてしまいました。

浅虫さくら観光ホテル三陸産若布麺
ご飯と一緒に出てきたお椀には、三陸産の若布麺がたっぷりと入っています。薄味のおだしと一緒に若布麺をつるりと食べれば、口の中に磯の香りが広がります。

浅虫さくら観光ホテル杏仁プリン
味もボリュームも大満足の夕食。最後に冷たい杏仁プリンで締めくくりました。

本当に大満足の夕食。食材や味付けもさることながら、きちんと青森を感じさせてくれる品々。いくら美味しくても郷土色を感じられないと、旅としてはつまらないものになってしまいます。

暮れ始める浅虫の海岸線
これは良いホテルに当たった。いっぱいのお腹とこころを抱え、部屋へと戻ります。窓の外は淡い夜の気配に彩られ、早くも対岸には街の灯りが目立ちはじめます。

八鶴純米生貯蔵酒
うつろう空の色をつまみに楽しむ、今宵の友。今夜は八戸酒類が造る八鶴純米生貯蔵酒を。

八鶴はワンカップでいつもお世話になっていますが、今回は生貯蔵酒ということでよりフレッシュで日本酒感のある味わい。それでいてすっと流れてゆくすっきりさは、青森の酒らしさを感じます。

浅虫さくら観光ホテルからの夜景
テレビも点けず、本も開かず。ただただお酒片手に海と空の表情を眺めているうちに、すっかり夜の帳が。陸奥湾沿いには灯りの帯が延び、その一つひとつに人々の暮らしが詰まっています。

きらめく夜景を眺めていると、お目当てのイベントの時間が。こちらのホテルでは夜に津軽三味線の生演奏が開催され、とても楽しみにしていました。

ロビーへ行ってみると、すでに多くの人が集まっています。時間になり演奏が始まると、会場は三味線の迫力に一気に包まれます。

1年振りに聴く、生の津軽三味線。絃とバチの奏でる音が、振動という波になって自分の中まで寄せてくる。

自分の中の知らないなにか、知らないどこかを揺さぶるような、あの感覚。その心の揺れを感じながら聴く音色は、自然と涙を誘うような味がある。

やっぱり僕は津軽三味線が好き。これを聴けただけでも、津軽へ来た甲斐がある。聴けば聴くほど、さらにもっと魅かれてしまうのです。

浅虫さくら観光ホテル夜の露天風呂
ときに激しく、ときに切ない音色を響かせる津軽三味線。生でしか味わえない感動が、津軽での夜を一層濃いものとします。

三味線の火照りも冷めやらぬまま、クールダウンしようと夜の露天へ。夜風を受けながら眺める夜景は、きらきらと宝石を散りばめたかのように輝きます。

夜霧にけむる浅虫の街
今夜は何もしない。沖縄で手に入れた何もしないという楽しさを、ここ東北でも試してみることに。

窓を開け、夜風に吹かれ、波音を聞く。揺れる光を眺めていれば、ただただそれだけで幸せ。美しい景色とお湯があれば、テレビも本もいらないのかもしれない。たまにはこんな旅もいいかもしれない。

気がつけば、浅虫の温泉街を幻想的にけむらせる夜霧が。耳に残る津軽三味線の熱。その余韻に心ゆくまで浸り、青森での最初の夜は更けてゆくのでした。

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止まぬ感動ヤーヤドー~やっぱり逢いたい、ここの夏。~
2016年、ねぷた終了。
2016.7-8 青森/秋田/岩手
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