盛夏万緑、みちのくへ。~ヤーヤドーに逢いたくて 3日目 ②~

夏の蔦温泉旅館客室から眺める夕空

十和田の山に抱かれた一軒宿で過ごす穏やかな時間。お湯と昼酒という怠惰を噛みしめていると、いつしか空には夜の気配が。楽しい時間とは、本当に速く過ぎるもの。連泊なんて暇じゃないの?とよく聞かれますが、全くそんなことはないのです。
夏の蔦温泉旅館2泊目夕食先付小鉢中丼
空も暮れ始めたところで、お待ちかねの夕食の時間に。今日も魅力的な品々が書かれたお品書きに目が行きます。まずは先付の下北産鮟鱇の友和えを。あんこうの身や皮を肝で和えた青森の郷土料理は、何度食べてもその旨さに地酒が進んでしまう。

小鉢は手作り豆腐蟹餡かけ。ぷるぷると柔らかい食感の豆腐を優しいあんがとろりと包み、お腹の中からホッとさせてくれるような美味しさ。鮪の生姜煮も濃すぎず薄すぎずの味付けで、香る生姜が旨味の中に爽やかさを演出します。

夏の蔦温泉旅館2泊目夕食お造り湾内産平目昆布〆殻付き雲丹
今夜のお造りは、湾内産のこの2品。青森名産のひらめは程よく昆布〆にされ、コリっともちっとした食感の中に旨味がぎゅっと凝縮されています。

そして目を引く、殻付き雲丹。もうこれは、説明不要の絶対的旨さ。まさか山中のいで湯でこれが食べられるなんて。そのおいしさに、うにだけでなく心までとろけてしまいそう。

夏の蔦温泉旅館2泊目焼魚十和田湖産ひめます姿焼き
続いて運ばれてきたのは、十和田湖産ひめます姿焼き。焼き立て熱々のひめますは、ほっくりしっとりとした食感。じんわりと広がる滋味あふれる控えめな旨味は、きれいな水で育った淡水魚ならではの美味しさ。

夏の蔦温泉旅館2泊目県産牛ほほ肉和風煮込み
こちらも熱々で運ばれてた、県産牛ほほ肉和風煮込み。よく煮込まれたほほ肉はほろっと崩れ、それと同時に牛の甘い香りが口中に広がります。ものすごく上品で優しいスープには牛や野菜の旨味が溶け込み、目じりを下げつつ一滴残らず飲み干してしまいます。

夏の蔦温泉旅館2泊目肴鮑磯醤油掛け長芋とろろ
続いては、鮑磯醤油掛け長芋とろろ。柔らかく火を通されたあわびの下にはとろろが敷かれ、上にはしょう油で味付けされた海苔が掛けられています。言われた通り全体をよく混ぜてから頬張れば、貝の適度な食感とともに山海の豊かな風味がとろりと広がります。

夏の蔦温泉旅館2泊目酢の物つがる市じゅんさい
酢の物は、つがる市産のじゅんさい。つるつるしゃっきりとしたじゅんさいの上にはうにが載せられ、さっぱりとした酸味の中に海の香りと甘味を程よく感じさせてくれます。

夏の蔦温泉旅館2泊目海鮮鍋味噌仕立てといくら御飯
そして今夜の〆は、海鮮鍋味噌仕立てといくら御飯。かに爪や大ぶりのほたて、あさりはこの手の海鮮鍋にありがちなパサつき感は全くなく、シンプルに具材としての美味しさが保たれています。

そして何より、それらの具から染み出た美味しいだし。味噌ベースのつゆも丁度よい塩梅で、お味噌汁として飲むのに適した味付け。プチプチとした食感のいくら御飯と合わせれば、やっぱり和食が無いと生きていけないと思わせるような理屈抜きの旨さ。

夏の蔦温泉旅館2泊目甘味りんご水羊羹
本当に美味しかった。昨日も今日も、大満足。そんな蔦温泉旅館での夕餉を締めくくるのは、りんご水羊羹。嫌な水っぽさのない硬めの水羊羹と爽やかなりんごはとても相性がよく、近所で売っていたら買って食べたいと思うほど。

夏の蔦温泉旅館夜のお供に八戸酒類如空家伝手造り純米酒
いやぁ、いい宿に泊まれたなぁ。お目当てだったお湯も部屋もさることながら、こんなにお料理が美味しいなんて。旅立つ前から再訪の予感に震えつつ、満腹のお腹を落ち着けます。

清らかないで湯で温まったところで、今夜のお供を開けることに。八戸酒類の五戸工場が醸す、如空家伝手造り純米酒を選んでみました。すっきり飲みやすくも、甘味や旨味を感じる僕好みのお酒。

夏の蔦温泉旅館灯りに浮かぶ美しい建具の細工
酒とお湯に解けつつ味わう、山のいで湯での至福の夜。温かい灯りに浮かぶ繊細な建具の細工に目を細めれば、この瞬間がいつまでも続けばと思ってしまう。それが叶わぬ願いだと知っているからこそ、今という時間を噛みしめたい。足元湧出の透明なお湯に染められ、いつも何かが詰まっていた心まで空っぽになりゆくのを感じるのでした。

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