盛楼閣で久々の盛岡を噛みしめ、駅周辺で夜のお供を仕入れたところで今宵の宿へ。西口のロータリーより、八幡平・安比エリア宿泊者限定の無料シャトルバスに乗り込みます。
バスは東北道から一般道へと入り、いよいよ山を目指して登ります。車窓には、黄金に輝く田園と、それを見守るかのように佇む岩手山。またここへこうして来ることができた。窓から零れる岩手の秋に、その感慨も胸から溢れてしまいそう。
長閑な車窓に見とれること1時間、八幡平さくら公園に到着。バスはこの先安比方面へと向かいますが、僕らはここで下車し宿の送迎車に乗り換えます。
その名の通り、公園の周りにはたくさんの桜の木々が。春の花舞う季節もきれいだろうが、このしみじみとした桜紅葉もまた美しい。曇天の下滲む秋色に、この季節特有の感傷というものを感じずにはいられない。
ぐっと標高も上がりちょっとした肌寒さを感じつつ待つことしばし、宿の送迎車が到着。これから向かうは、豪雪により冬季休業する山上の宿。この小さなワゴン車でさらにさらに上を目指します。
通常なら八幡平からアスピーテラインを走るそうですが、宿の方のご厚意で紅葉の美しい樹海ラインを進むことに。途中松川渓谷の見事な紅葉に圧倒されつついくつものヘアピンを曲がり、気づけば錦秋の山並みを見下ろすほどまでの標高に。
宿の方曰く、宿の周辺は紅葉もすっかり終わり冬の気配が訪れているそう。これから僕は、ひとつ先の季節を迎えに行く。そう思うだけで、一層胸は高鳴るばかり。
日本は南北にも長ければ、天地方向にも厚みがある。だからこそ、同じ時期でも場所が違えば季節も違う。今年最後の営業を続ける宿へは、もう間もなく。あの湯との再会を目前に、今年最後の木々の輝きに目を細めるのでした。
※この記事に登場する無料シャトルバスと宿の送迎車は廃止となりました。公共交通機関利用では、盛岡駅から『岩手県北自動車』の路線バスで行くことができます。
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