めくるめく感動海遊 ~西行き航路が呼んでいる 6日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

めくるめく感動海遊 ~西行き航路が呼んでいる 6日目 ②~

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる穏やかな瀬戸内海の航海を終え別れを告げる 旅行記

海上にいることを忘れてしまうほどの穏やかな航海を終え、神戸六甲港に無事到着。今回初乗船となった、歴史深い関西九州航路。燦然と輝く太陽マークに再訪の想いを託し、さんふらわあぱーるに別れを告げます。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーるで神戸六甲港に到着後は神戸フェリーバスが運行する連絡バスで六甲アイランドフェリーターミナルから御影駅方面へ
六甲アイランドフェリーターミナルからは、船の到着時刻に合わせて運行する連絡バスに乗車。六甲ライナーのアイランド北口駅までは無料、その先の鉄道駅までは有料で運んでくれます。

10月下旬16年ぶりの神戸昭和4年に高架化された歴史を感じさせる阪神電車御影駅の高架下
バスは阪神御影、JR神戸線住吉、阪急御影と3線の駅に停車しますが、今回は生まれてはじめての乗車を果たすため阪神御影駅バス停で下車。大通りで降ろされ、標識に従い高架に沿って歩きます。

10月下旬16年ぶりの神戸阪神電車御影駅
ずいぶんと歴史を感じさせる高架だな。あまりにも渋い佇まいに目を奪われつつ歩くこと1分足らず、阪神御影駅に到着。駅名標には、普段目にすることのない電車の文字。鉄道や線、電鉄といった表記になじみがあるため、もうこの時点で関東住みの鉄道好きとしてはたまらない。

10月下旬16年ぶりの神戸阪神電車御影駅の歴史を感じさせるホーム
きれいにリニューアルされた改札口からホームへと上ると、これまた年代を感じさせる上屋が。でもここ、高架だからそんなに古くもないのでは?そう思った僕はばかだった。

この区間はなんと昭和4年、96年前に高架化されたそう。いまごろ焦って立体交差化している東京とは違い、この先見性。本当に関西の鉄道は、すごいよな。

10月下旬16年ぶりの神戸生まれてはじめての阪神電車やってきたのはなんと8000系旧塗装車阪神タイガース90周年のヘッドマーク付き
生まれて初めてとなる阪神電車の空気感に目を輝かせていると、なんとやってきたのは僕のなかで阪神といえばの8000系。それも子どものころに本で眺めた赤銅車の旧塗装。タイガース90周年のヘッドマークまで掲げられ、ちょっと僕、運良すぎやしないか?

10月下旬16年ぶりの神戸昭和8年築の三宮阪神ビルの面影が感じられる重厚な階段
四十半ばのおじさんが、年甲斐もなくはしゃいでしまった。カバーのついた照明に関西へとやってきたという実感を噛みしめつつ、たったの6分で神戸の中心駅である神戸三宮に到着。

あきらかに歴史の深さを感じさせる、地下駅から地上へと上がる階段。現在は阪急百貨店として営業しているこのビルは、昭和8年にそごうとして建てられたものだそう。

10月下旬16年ぶりの神戸1927年に建築され1998年に改築された神戸税関の建物
さて、駅ビルの外観でも撮るか。そう思いつつ地上へと出ると、傘が必要な程度の雨が。これからしばらく神戸の街を歩く予定のため、そのままフラワーロードを南下し旧居留地方面へ。

10月下旬16年ぶりの神戸1927年に建築され1998年に改築された神戸税関の荘厳な玄関ホール
阪神高速の高架の先に現れるのは、昭和2年建築の建物に由来する神戸税関。見学するために記帳を済ませ中へと入れば、まず出迎えるのが玄関ホール。

10月下旬16年ぶりの神戸1927年に建築され1998年に改築された神戸税関の荘厳な玄関ホールの空間美
見上げれば、首の痛くなるほどの高さを持つ4層の吹き抜け。重厚感あふれる大理石、細やかな装飾の施された白漆喰。規則正しく並ぶ円柱が天井を支える空間は、まさに荘厳のひと言。

10月下旬16年ぶりの神戸1927年に建築され1998年に改築された神戸税関の荘厳な玄関ホール緻密なタイル 貼りの床
足元へと視線を落とせば、床を彩るモザイクタイル。職人の技が成し得たあまりの緻密な美しさに、言葉もなくしただただ見惚れてしまう。

10月下旬16年ぶりの神戸1927年に建築され1998年に改築された神戸税関昭和2年築2代目庁舎の模型
3代目となる現在の庁舎は平成11年の竣工。昭和2年築の旧館の東部分を残し、西側に新館を増築。外壁も旧館と意匠が統一され、こんな改築の仕方もあるのかと古い建物好きとしてはうれしくなる。

10月下旬16年ぶりの神戸神戸税関税関について学べる広報展示室に置かれたアフリカライオンのはく製
奥へと進んでゆくと、税関に関する様々な展示が。密輸で押収された物品も多く並び、拳銃やお薬関係のほかこんな巨大なアフリカライオンのはく製も。

10月下旬16年ぶりの神戸神戸税関昭和2年築の旧館部分の優美な空間
あれこれ工夫し持ち込もうとする悪い奴の執念もすごいが、それを見つける税関のすごさ。神戸税関の担ってきた文字通りの水際の攻防の歴史に触れ、いよいよ神戸の古き良き建物めぐりへと繰り出すことに。

10月下旬16年ぶりの神戸1927年建築の旧神戸市立生糸検査所KIITO旧館
税関を出ると、威風堂々たる建物がすぐ目の前に。図書館やカフェ、イベントのできるレンタルスペースが入るKIITOは、旧神戸市立生糸検査所として昭和2年に建てられたものだそう。

10月下旬16年ぶりの神戸1930年築の新港貿易会館ビル
その隣には、昭和5年建築の新港貿易会館。外壁を彩る濃淡のアクセント、規則正しく並ぶ窓に緩急をつける円やアーチといった意匠が印象的。

10月下旬16年ぶりの神戸昭和10年建築の旧横浜正金銀行神戸支店ビル神戸市立博物館
旧居留地方面へと歩いてゆくと、端整な表情をした重厚な建物が。現在は神戸市立博物館として使われているこの建物は、昭和10年に旧横浜正金銀行の神戸支店として建てられたものだそう。

10月下旬16年ぶりの神戸明治時代建築の旧居留地時代の唯一無二現存する十五番館
ここ旧居留地は、神戸港開港後に外国人の居住地として整備された場所。現在も当時と変わらぬ区画割りだそうで、ビルの合間には居留地時代の建物として唯一現存するという十五番館が。

10月下旬16年ぶりの神戸チャータードビルと神港ビルヂング
ふたたび国道2号に戻ると、通りに面して建つふたつのビル。右は昭和13年にイギリスの銀行の支店として建てられた、チャータードビル。左はその翌年に建築された、川崎汽船の本社であった神港ビルヂング。

10月下旬16年ぶりの神戸阪神淡路大震災で全壊したビルの外壁を再構築したシップ神戸海岸ビル
先へと進んでゆくと、古いビルの上に高層ビルが乗るような不思議な構造の建物が。阪神淡路大震災で全壊認定を受けた旧海岸ビルの外壁を保存し、改築の際に再構築したのだそう。建て替えられてもなお、こうして大正7年の美意識をいまへと伝えています。

10月下旬16年ぶりの神戸大正11年築の神戸商船三井ビルディング
その向かいには、大正11年に大阪商船神戸支店として建てられた商船三井ビルディング。寄る年波には勝てないようで、再来年には閉館してしまうそう。その後の建物の扱いは未定とのことですが、こうして古きを大切にする街ならきっと何らかの形でその記憶を残してくれることでしょう。

10月下旬16年ぶりの神戸メリケン波止場入口の交差点に建つ大正7年築の旧日本郵船神戸支店神戸メリケンビル
さすがは神戸、歴史を感じさせる建物が多すぎてなかなか進めない。旧居留地にはまだまだ見どころがあるようですが、時間も押してきたので先を急ぐことに。つづいて向かうのは、メリケン波止場。その入口の交差点には、大正7年建築の旧日本郵船神戸支店の重厚な建物が。

10月下旬16年ぶりの神戸メリケン波止場の入口に建つ大正末期建築という旧オール商会ビル
公園側には、シンプルながら控えめに込められた意匠が目を引くビルが。現在は中谷商運という会社の事務所になっているようですが、どうやらこれも大正末期に建てられたものだそう。

10月下旬16年ぶりの神戸メリケン波止場メリケンパークに保存された神戸港震災メモリアルパークの崩壊した岸壁
メリケンパークへと入ると、まず目にするのが旧岸壁の遺構。阪神淡路大震災で崩壊した岸壁の一部を、神戸港震災メモリアルパークとして保存。

16年前、はじめて訪れたときは衝撃だった。中学生のときにテレビで目にした惨状も、やはりブラウン管越しのものでしかなかった。こうして実際に対峙して、はじめて実感として得るものがある。20代半ばの僕は、「この眼で見て感じる」ということの大切さをここで知った。

10月下旬16年ぶりの神戸メリケンパーク神戸海洋博物館の特徴的な建物と神戸ポートタワー
昭和末期に埋め立てられ開園したメリケンパーク。波や帆を思わせる神戸海洋博物館と、鼓型の曲線美に彩られた神戸ポートタワーの共演が印象的。

10月下旬16年ぶりの神戸メリケンパークの突端から雨上がりの海を望む
突端から眺める、鉛色の空の下広がる海原。つい数時間前、僕はさんふらわあぱーるであの海を横切っていった。そう思うだけで、船旅への熱がふたたびよみがえる。

10月下旬16年ぶりの神戸昭和38年竣工と歴史の深い神戸ポートタワー
東京オリンピックの前年、昭和38年に世界初のパイプ構造をもつ建造物として建てられた神戸ポートタワー。彼の震災においても被災せず、築後62年を経てもなおその優美な姿で来訪する人々の目を喜ばせています。

本当は1泊するつもりでしたが、行程の関係上神戸にいられるのは半日だけに。旧居留地からメリケンパークへと、それぞれ外観のみの駆け足探索になってしまった。これはもう、再訪するしかないな。街歩きの折り返し地点ではやくもそんな企みを胸に秘め、さらに先へと急ぐのでした。

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