三鷹を縦横に走り、ほたるの里に到着。僕の実家は中心部に位置するため、ここまで来ると同じ三鷹市とは思えないほど雰囲気が変わります。
このほたるの里は湧き出るきれいな水を利用した公園。入り口から湿地を抜ける木道を歩きます。
緑深い湿地を抜ければ、豊富な湧き水を引き入れた田んぼが広がります。整備されたものとはいえ、むさしのの原風景に思いを馳せるには充分すぎます。
田植えしたての田んぼでは、鴨がクヮクヮ言いながら虫をついばんでいました。もしも首都が東京で無ければ、このあたりはまだこんな田園地帯のまま残っていたのかもしれません。
田んぼから目を移せば、そこにはわさび田が。伊豆や安曇野が有名なわさびが育つほどの清らかな水が湧いている証です。
実際三鷹は水が豊かな場所で、僕が小さい頃は水道水は地下水で賄われていました。今でも東京の水道水に半分ほど混ぜて使っているそうです。
そんな場所で生まれ育った僕は、蛇口をひねれば美味しい水が出てくるのが当たり前で、学校のあった池袋や、引っ越した先の川崎市の水の味の違いに仰天したものです。
今思えば、なんて贅沢な環境だったのでしょう。水は全ての基になるもの、いいに越したことはありません。でもその恩恵に与れるのは限られた地域だけ。美味しい水で育ったことに改めて感謝です。
傍を流れる野川を上流へ向かい、すぐ近くの野川公園へ。野川沿いに続く国分寺崖線を見ることができます。写真では伝わりにくいですが、その高低差は結構なもの。この壁から清水が湧きます。
国分寺崖線は湧き水の宝庫。武蔵村山に始まり、世田谷区に到るまで、さまざまな場所で湧き水が確認されています。
勢いよく湧く清水。小学校の遠足といえば野川公園で、この水も何度も見ていましたが湧き水だとは考えてもみませんでした。僕の中で湧き水は山にあるもの。こんな身近にポンプで汲み上げない湧き水があったことに驚きです。
岩から湧き出た水はせせらぎを作り、野川へと流れ込みます。近くで見れば見るほど水のきれいさに感動を覚えます。野川公園ではいたるところにこんなきれいな水の湧く場所があります。その水が流れ込む野川も、もちろんきれい。
野川公園を後にし、本物の土手に囲まれた野川沿いを下ります。草の絨毯に覆われた土手に、淡い紫のあじさいがよく映えます。
護岸はコンクリートに変われど、緑の深い土の中を流れる姿はまさに自然そのもの。古き良き小川の情緒を残します。野川はだいぶ下流の方までこの姿を保つ、貴重な川。三面コンクリ張りの河川ばかりの東京の中で、この姿をずっと保って欲しいものです。
奥には天文台のドームが見えています。建設当時はまわりに何も無く、真っ暗で天体観測にもってこいだったそう。今でも見学することができます。
野川を下り、深大寺を目指します。途中には再現された水車小屋が。きっと昔は川沿いにこんな水車がたくさんあり、脱穀などをやっていたんでしょうね。
住宅地である三鷹しか知らない僕ですが、随所にむさしのの面影を残す三鷹が大好きでした。その後引越し、やっぱりむさしのの空気が忘れられず杉並へ戻ってきました。この界隈は今でも本当に住みよい場所です。幹線道路から一本入ればまだ残る自然。極端な都会は僕の肌には合いません。
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