このところ、休みの日は雨や強風で自転車に乗れない日が続いています。そんな運動不足を解消すべく、最近はウォーキングをする機会が増えました。
一度歩いてみると、意外に面白いことに気づきます。自転車とはまた違う速度感、そして視点。天気が不安定な休日は、歩く機会が増えそうです。
今回は、押上駅から水道橋まで、建設中のスカイツリーや下町の風景を楽しみながらのさんぽ。様々な東京の顔を綴っていきたいと思います。
押上駅と業平橋駅のすぐ近くに建設中の、東京スカイツリー。完成すれば東京タワーの倍近くの634mになるそう。建設中の姿を見ることができるのも、限られた期間だけ。その姿を見ようと、たくさんの見物客で賑わっていました。
この日の高さは349m。すでに東京タワーを追い抜き、真下から見上げるには首が痛くなるような高さにまでなっています。さらにこれより300m近くも高くなる、なんだか想像つかない高さです。
東京タワーが好きな僕としては、なんだか東京タワーの影が薄れそうで寂しい気もしますが、見に来ているみんなの目を見ると、それは嬉しそうに、楽しそうに、キラキラとしたまなざしで眺めていました。
それは映画の三丁目の夕日の中で、東京タワーの建設を見守る人の表情となんら変わりありません。時代が変わり、色んなものの価値観が変わった今でも、人々の根底にあるものは変わらないのかもしれません。そんな瞬間に立ち会えたことが嬉しい、そう思えました。
業平橋を離れ、浅草方面へと進みます。途中には、船を模った建物が特徴的な公園が。その後ろには立派なスカイツリーが聳えています。生活感あふれる街と、最先端をゆく日本一のタワー。この先このあたり一帯はどのように変化していくのでしょうか。
吾妻橋を渡り、浅草界隈へ。浅草の対岸にあるサントリーの印象的なビルの横にも、スカイツリーの姿が。
小さい頃、この金の○○○(失礼、ご想像にお任せします・・・)の様なビルができたときもかなり驚きましたが、その後ろに新しい東京タワーができるとは、全く想像も付きませんでした。東京は、本当によく姿を変える街です。
銀座線浅草駅出入口。この出入口は、日本、いや東洋初の地下鉄が開通した1927年から建つもの。80年以上経った今でも、浅草をイメージした寺社風のデザインは街に上手に溶け込んでいます。
鉄格子の中央には、地下鉄出入口の文字が。このような細かいところまで装飾を施す、昔の人のセンスには目を見張るものがあります。
その向かいに建つ、神谷バー。昔ながらのバーといった雰囲気で、出口からは、上機嫌な紳士が絶えず放出されています。
皆、有名な電気ブランを飲んできたのでしょうか。いつかは僕も、古き良きバーで、古き良き電気ブランを愉しんでみたいものです。
神谷バーから目と鼻の先にある、雷門。この日は土曜日ということもあり、かなりの混雑。混んでいることは知っていても、やっぱり浅草まで来たら雷門をくぐりたい、そんな衝動に駆られます。
仲見世もこの通りの大混雑。あふれんばかりの人ごみにもまれながら浅草寺にお参り。本堂までたどり着くまでにかなり疲れますが、浅草はこの活気があってこそ。
浅草寺にお参りし、上野を目指します。浅草も中心地を離れれば、こんな静かな路地が。下町で食べるきんつば、きっとおいしいんでしょうね。
大通りに出ると、そこは合羽橋。調理関係の道具街で有名な場所です。食品サンプルや鍋、レストランの椅子まで、なんでも揃います。この通りを一往復すれば、今すぐにでも居酒屋さんを始められそうです。
合羽橋道具街からも、スカイツリーがしっかり見え隠れ。完成時には浅草界隈ならどこからでも見えるようになるのでしょうね。
合羽橋を外れ、再び脇道へ。思いがけないところでレトロなアパートに出会いました。上野下アパート、以前表参道にあったものと同じ、同潤会が建てたものだそう。
表参道とは違い、こちらは築後80年以上経った今でも住宅として現役。長い時間を掛けて、数多くの人々が造り上げたコミュニティー、生活感が色濃く感じられます。
老朽化等色々問題はあるでしょうが、日本のコンクリート集合住宅の草分け的存在として、いつまでもその姿を残して欲しいものです。
台東区役所を過ぎれば、すぐに上野駅に到着。いつ見ても立派な、終着駅たる威厳を感じさせる重厚な駅舎です。
実は、上野駅本屋のコンコースを通るのは今回が初めて。上野は乗り換えでしか使わず、小さい頃動物園に来たときも公園口から出たので、上野駅の内部は見たことがありませんでした。
アトレとしてリニューアルはされていますが、重厚な正面玄関内部の造りは昔の建築そのもの。柔らかいアーチや天井に施された装飾が、その歴史を物語ります。
広く長いコンコースの天井には、昔からの鉄骨屋根が。きれいにリニューアルされていますが、その雰囲気は小さい頃にテレビで見た上野駅そのもの。
帰省ラッシュのニュース映像に映るその場所は、薄暗く人でごった返す、まさにターミナルでした。奥の改札口の更に奥から、はくつる、ゆうづるといった北へと向かう夜行列車が発着していました。現在は北斗星とカシオペアが、その歴史を受け継いでいます。
その昔、蒸気機関車で上京した人々は、このだだっ広いコンコースと昔から変わらない壁画が、最初の東京の風景だったことでしょう。上野駅には、そんなことを想像させる郷愁が漂います。
浅草から上野まで、建築中のスカイツリーと古き良き街並みを辿ってきました。次回は更に下町の風情を感じるために、谷中~本郷へと歩みを進めます。
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