めくるめく感動海遊 ~西行き航路が呼んでいる 5日目 ③~ | 旅は未知連れ酔わな酒

めくるめく感動海遊 ~西行き航路が呼んでいる 5日目 ③~

10月下旬大分駅から大分交通関の江車庫前行きバスでさんふらわあの発着する西大分港フェリーターミナル最寄りである王子港町バス停へ 旅行記

トキハ本店や駅ビルのアミュプラザおおいたで船旅の友を選び、そろそろ港へと向かうことに。駅前のロータリーから、『大分交通』の関の江車庫行きバスに乗車します。ちなみに最寄りのバス停を通るバスはすべて大分と別府を結ぶ路線のため、別府からでもダイレクトにアクセスすることができます。

10月下旬西大分港フェリーターミナル
バスに揺られること約15分、王子港町バス停で下車。すでに見えている船を目指して道路を渡れば、さんふらわあの発着する西大分港フェリーターミナルに到着。付近にはコンビニやドラッグストアもあるので、重たい飲み物などはここで買ってもいいかもしれません。

10月下旬初の関西九州航路商船三井さんふらわあ西大分港フェリーターミナルに停泊中のさんふらわあぱーる
あらためて、これから僕を神戸へと運んでくれるさんふらわあぱーるにごあいさつ。大洗苫小牧航路で何度かお世話になっている『商船三井さんふらわあ』ですが、関西九州航路に乗るのはこれが初めて。車両甲板に開けられた大きな窓に、これから行く海の穏やかさが伝わってくる。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーるプロムナードのひとり掛けソファー席
この日は週末土曜日、賑わう待合室でぼんやりと待つひととき。12年ぶりの九州、本当に楽しかったな。そんな船出前ならではの感傷に揺蕩っていると、ついに乗船開始の時刻に。4階から乗船し、まずはパブリックスペースのある5階へ。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる吹き抜けの階段
続々と多くの旅客が乗船するなか、ささっとプロムナードの席を確保。この作業、すっかり板についてきたな。これで今宵の宴もひと安心。吹き抜けの階段をのぼり、自室のある6階へと向かいます。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーるプライベートベッド客室の廊下
2008年に就航したさんふらわあぱーるですが、昨年大規模リニューアルが施されたようで船内は現代的な雰囲気。各部屋のドアも、乗船用のQRコードで開錠する鍵が設置されています。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーるプライベートベッド
今回も、お手頃価格で快適なカプセルタイプのプライベートベッドを予約。寝台内は、同じ船会社のさんふらわあふらのと似通った造りとなっています。

それにしても、乗船したときからずっと「さんふらわあ」って連呼する謎の歌が流れてる。なんだか洗脳されて、いつのまにか歌っていそう・・・。さんふらわあ~さんふらわあ~太陽に守られて~。ほらやっぱり。この短時間ですっかり覚えてしまったよ。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーるプライベートベッドに用意されたタオルや歯ブラシのアメニティ
ここで北海道航路とひとつ違いが。下から2番目の等級なのに、タオルと歯ブラシが用意されている。さすがはフェリー激戦区の関西九州航路。フェリー銀座の瀬戸内海、その片鱗を見た気がしてなんとなく嬉しくなってしまう。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる商船三井さんふらわあのオレンジ一色のファンネル
荷物をおろし短パン島ぞうりに履き替え、まずは出航前のひとっ風呂。多くの人で賑わう展望大浴場へと向かい、船上での湯浴みという至福の非日常を味わいます。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる商船三井さんふらわあのオレンジ一色のファンネルつまみに味わう湯上がりの冷たいビール
たった30分の湯浴みというのに、すっかり毛穴の奥の奥まで硫黄の香りが染みてしまった。そんな別府温泉保養ランドの残り香を名残惜しくも汗とともに流し、デッキで味わう冷たいビール。商船三井ならではの、情熱を感じさせるオレンジ一色のファンネル。これがまた、最高のつまみになる。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる19:30を迎え船は神戸港目指し定刻通りに西大分港を離岸
甲板上に吹く海風に少々肌寒さを感じつつ待つことしばし、ついに訪れたその瞬間。時刻は19時30分、さんふらわあぱーるは神戸港へと向け定刻通りに静かに離岸。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる19:30を迎え船は神戸港目指し定刻通りに西大分港を離岸しその巨体を器用に回頭させる
ゆっくりと、しかし確実に面積を増してゆく夜の海。船はその巨体を器用に回頭させ、だんだんと大分港の灯りが遠ざかってゆく。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる19:30を迎え船は神戸港目指し定刻通りに西大分港を出港し夜空に浮かぶように煌めく別府の街を見ながら速力を上げてゆく
だめだ、泣きそう。漆黒の海原の先には、夜闇に浮かぶ別府の街。ゆっくりと流れてゆくその煌めきが、九州との別れという現実を突きつける。

あぁ、離れてしまった。12年ぶりの九州、本当に濃く深い時間だった。でも今の僕は知っている。自分の住む関東と、航路で繋がっているということを。

よし、また来よう。船出ならではの感傷をこの旅の想い出として胸にしまい込み、気持ちを切り替え船内へと戻ります。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーるプロムナードで最後の九州の味でひとり船上での宴を
そしていよいよ、この旅最後の九州グルメを味わうことに。せっかくの初となる関西九州航路、当初はレストランのバイキングを利用するつもりだった。でも、トキハとアミュプラザがそれを許してくれなかった。おいしそうなお惣菜やお弁当を前にして、船旅の醍醐味には抗えなかった。

ということで、これが今宵の僕のアテ。まずは、トキハの魚屋さんで買った水カレイ煮付けから。ほっくほくの上品な白身、それを彩る絶妙な塩梅の薄味。慣れ親しんだ東日本の魚の煮付けとは明らかに方向性の異なる味付けに、あらためて食文化の奥深さを思い知る。

つづいて、駅ビルのコープで買ったとり天。にんにく風味の下味がしっかりときいており、スーパーのお惣菜でもこのレベルかと大分のとり天力に脱帽。

旨いつまみに大分の酒が進み、お弁当も開けることに。駅ビルに入っていたかば田で買ったこのお弁当、明太子がどんと載ってこれで690円。いいつまみにもなりそうだしと何の気なしに買ったが、これがまた大正解。

主役の明太子は、メーカーならではの間違いない旨さ。しっかりとした辛味のなかに濃い出汁の旨味が込められており、さすが本場九州の味だとため息が漏れてしまう。横のげそ入りのさつま揚げはつまみとして言わずもがな、甘い玉子焼きやきんぴらといった副菜もどれも旨い。

地酒の友としてちびちびつまむのもいいが、ご飯好きとしてはやっぱり明太ご飯が堪らない。そしてうれしいのが、高菜のおいしさ。じゃきじゃきとした食感とともに広がる、しっかりとした発酵の旨味と心地よい辛味。あまりの相性の良さに、コープで追いライスを買ってくればよかったとちょっとばかり後悔。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる旨い九州のつまみに誘われ船の売店で櫻正宗を購入
我ながら、今宵は最強の選択だ。吞兵衛殺しの逸品ぞろいに、思わず船の売店でお酒を追加。そうだよ、商船三井に還元しなきゃね。そんな言い訳をしつつ神戸は灘の櫻正宗、宮水の華特別純米を開けます。

あれ?ちょっと待って、これおいしい。灘の酒は自分にとっては硬い印象があり、これまであまり飲んでこなかった。でもこのお酒、すっきり辛口だけれど嫌味がない。するりと流れてゆき、酸味や甘味もあってこれは旨い。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる九州の味で愉しむ船上でのひとり宴会を一層旨いものにしてくれる夜の船窓
明日は16年ぶりの神戸か。これから行く地に想いを馳せつつ飲む、灘の酒。そんなしみじみとした船上の宴を、夜の煌めく船窓が一層味わい深くする。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる自販機コーナー前で開催された船内イベントライブと似顔絵
愉しい夜だな。穏やかな航海に流れる豊かな時間に揺蕩っていると、すぐ後ろの自販機コーナーの前で始まる船内イベント。この日はライブと1分間似顔絵が開催されていました。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる自販機コーナー前で開催された船内イベントでもらった似顔絵
日本酒片手に歌を聴いていたら、なんと似顔絵を描いてもらえることに。ずいぶん若く柔和に描いてくれたなぁ。こんな表情で日々を送れるように気をつけなきゃと、自戒の念が頭をよぎる。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる船内イベントも終了し安心院ワイン卑弥呼白をゆったり味わう
船内イベントも終わり、多くの人々は自室へ。先ほどまで話し声で賑やかだったプロムナードには、静かな時間が流れるように。そんな夜を彩るべく、安心院ワインの卑弥呼白を開けることに。

辛口ながら、しっかりとした重たさを感じる飲み口。濃い琥珀色をした見た目の通り、ミネラルや酸味旨味余韻をしっかりと感じられるおいしいワイン。

10月下旬初めての関西九州航路商船三井さんふらわあさんふらわあぱーる旨い酒を味わいそろそろ就寝することに
感じるのはどごんどごんという機関の響きと、舵を切るときのちょっとばかりの遠心力のみ。船はすでに別府湾を抜け、伊予灘へと入っているはず。そうか、これがフェリー銀座たる所以か。なんなら、芦ノ湖の海賊船の方が水上にいる感覚がある。

まったくといっていいほど、波の気配すら感じない。そんな穏やかな海原に身を任せ、のんびりワインを噛みしめる。最後の一滴を舌で受け止め、そろそろ時間もいいころに。

さて、今夜はもう寝るか。明朝は7時55分着予定。朝ごはんと身支度する時間を考慮し、いつもより早めに寝床へ。背中に感じるエンジンの規則正しさだけが、いま自分が船上にいるということを教えてくれる。

瀬戸内は、眺めても駆けても穏やかなのか。また新たに知った海の表情に、さらにどっぷりと船旅の魅力に引き込まれるのでした。

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