翌朝4時に目が覚めた僕は早速甲板へと向かいました。夜が明けようとしている中に大島の姿が。
下を見ると、昨晩の東京湾とは違い、ブルーのきれいな海が広がっています。眠い目を覚ましてくれる涼しい風もまた、遠くへ来た証。
そんな情景に浸っていたら空がだんだん明るくなってきました。もうすぐ日の出です。海と空がサーモンピンクのグラデーションに包まれてゆきます。
23時に竹芝を出てから6時間あまり、5時10分に大島岡田港へと到着です。こんなに身近なところで船旅の風情を満喫できるなんて、最高の一言に尽きます。
この先の島へと向かう人を残し、どんどん乗客が下船していきます。みんな眠そう。僕もその波に乗り埠頭の上へ。大島初上陸の瞬間です。
東海汽船の船は、フェリーの様に自動車を積み込まないので、丸いかわいいお尻をしています。甲板が広いのも特徴。
埠頭で愛車を受け取り組み立てて、いよいよ島内1周のサイクリングへと出発です。
初日は「大島一周道路」という周回都道で大島を一周することに。
岡田港から一周道路へと向かう道には、早速の急坂。この先を暗示しているよう。
寝不足でふわぁ~っとしながら坂をえっちらおっちら登っていると、ご覧のようなきれいな朝日が姿をあらわしました。
空気が澄んでいるせいか、心なしか都内の朝日よりきれいに見えます。
岡田港より一周道路を時計回りで走ります。
大島公園の手前に、大きな椿並木が一周道路を覆うように続いている部分があり、「椿トンネル」といわれているそう。椿の時期にはとってもきれいになるんでしょうね。
この先からしばらくの区間、走っていると藪でゴソゴソ動き回る動物を多数発見。
鹿?犬?うりんぼう?なにやら知らない生き物。小さい体に鹿の顔がくっついています。それがとにかくたくさんいます。
気になって帰宅後ネットで調べると、「キョン」という台湾産の小型鹿とのこと。
戦前観光動物園で飼育していたものが、台風で檻が壊され逃げ出して大繁殖し、野生化したもの。
キョンの他にもリスが全島域でたくさん駆けまわっていました。
大島では、ご覧のような「溶岩の石垣」が道路や家に多用されています。
島の石はみんな溶岩なので必然的にそうなるのでしょうが、本州から来た者にとっては、初めて見る光景に驚き。
中には相当古そうなものもあり、島での火山噴火と人がせめぎあいつつ共存してきた歴史が見えてくるようです。
火山島らしいアップダウンがひたすら続く一周道路を走ると、いつしか三原山の中腹へと差し掛かります。
火山性の黒い砂が雨や風で三原山から海へと流れ出します。植生もあまりない荒涼とした風景。
このあたりは民家も全く無く、こんな風景の先にはひたすら広がる海。心細くなるほどです。気分は絶海の孤島であるかのよう。
この先、一周道路は落石のため通行止め。
迂回路を通り一周道路に再び合流したところで北へ進むと、名勝「筆島」へと到着。細~い島、というより岩が荒波の中立っています。
実はこれ、元火山で海蝕のためこんな細い姿に削られてしまいました。よく折れないで残っていますね。
筆島もすごい眺めですが、その横、大島の断崖絶壁も見逃すことはできません。
流れ出た溶岩が海へと落ち込み、それを風雨と海が浸食しこんな切り立った崖になっています。外界からの人を寄せ付けないというような威圧感。まさに火山島そのもの。
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