晩夏、悠かなる道東へ。~釧路に恋して 3日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

晩夏、悠かなる道東へ。~釧路に恋して 3日目 ②~

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号屈斜路摩周湖畔線から眺める硫黄山の爽快な景色 旅行記

霧の摩周湖に別れを告げ、屈斜路摩周湖畔線を進むピリカ号。幾重にも連なるカーブで山を越えてゆくと、天気は一変し爽快な青空が。緑に染まる木々の先には、荒々しい白い肌を露出した山。そうか、あそこがこれから向かう地か。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号車窓から眺める川湯パーク牧場の馬たち
今日も本当は、雨が降るか降らないかの曇天予報。期待していなかった青空に心躍らせていると、バスは山を下り川湯方面へ。爽快な天気のなか、牧場の馬たちも気持ちよさそう。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号2つ目の見学地硫黄山
摩周湖から走ること20分ちょっと、2つ目の見学地である硫黄山に到着。26年前、すぐ近くの川湯温泉に泊ったのになぜか足を延ばさなかった場所。うっすらと残る記憶では、確かちらりと見えた噴煙に満足したんだった。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号荒涼とした硫黄山アトサヌプリ
バスを降りる前から、鼻をつく硫黄の香り。ここ硫黄山では、明治から昭和30年代まで硫黄の採掘がおこなわれていたそう。足元の地面にも、いたるところに黄色く変色した部分が見て取れます。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号硫黄山アトサヌプリから眺めるマクワンチサップとサワンチサップ
右を見れば、もこっとした特徴的な山容をもつふたつの山。このマクワンチサップとサワンチサップ、そして今なお噴煙をあげる硫黄山は、いずれもアトサヌプリカルデラに生まれた溶岩ドームなのだそう。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号噴煙を浴びつつ間近で感じる硫黄山の噴煙地
あまりにも荒涼とした、現実離れした世界感。足元に気を付けつつ荒れた地を進み、噴煙地の近くへ。ここまでくると、全身に感じる山の放つ圧。目の染みるほどの噴煙、鼻を刺す硫黄臭。そして何より、地熱と蒸気で熱さがすごい。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号硫黄山アトサヌプリ足元に湧く源泉
地獄谷に大涌谷、後生掛などこれまでも噴煙地にはいくつか行ってきた。そのなかでも、ここ硫黄山の迫力と熱量には圧倒されるものがある。核心には入れないものの、足元にも蒸気や源泉が噴き出すところが点在している。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号硫黄山アトサヌプリ青空に映える硫黄の結晶の鮮烈な黄色
手の届く場所に、決して触れてはいけないものがある。すぐ近くに覗く地球の内部にゾワゾワとした感覚を噛みしめつつ、ふと見上げる空。そこにあるのは、爽快な青空と硫黄の黄の鮮烈な対比。自然の造り上げた目の覚めるような光景が、網膜を通して胸へと灼きつく。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号立ち入れる場所にももうもうと蒸気をあげる噴煙地が
ボコボコと沸きたつ熱湯、シュウシュウと音を立て絶えず噴き出す熱い蒸気。風向きにより大量の噴煙がこちらへと押し寄せ、熱気と臭気、そして目にくる刺激に自然の力を感じずにはいられない。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号噴煙地を背に爽快かつ雄大な景色を眺める
硫黄フェチの自覚がある僕。温泉でも胸いっぱい吸い込み、帰宅後に洗濯してもしばらく抜けないシャツの匂いにニヤニヤし。そんな僕でも、ここの噴煙はさすがに危ないと本能が言っている。

目と鼻の刺激に時期を悟り、そろろそバスへと踵を返す。すると目に飛び込む、印象的なこの光景。植物も生えぬ荒涼とした地、その先には深い森に蒼く輝く豊かな山並み。地球の設定した生命の境界線が見えるようで、それがうつくしくもあり、畏ろしくもあり。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号硫黄山から屈斜路湖へうつくしいダケカンバの林を眺めながら走る
硫黄山は、アイヌ語でアトサヌプリ。裸の山を意味する通りの世界感に圧倒され、再びバスに乗り込みます。

硫黄山を出ると、昭和の大横綱大鵬の像を見送り川湯の温泉街へ。26年前、初めて浸かった㏗1.7の強酸性泉。当時ぽつぽつとできていたニキビが良くなり、温泉の力というものを生まれて初めて体感した。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号3つめの見学地屈斜路湖砂湯へ
ダケカンバの美林を愛でつつ回想に耽っていると、いつしか道は湖畔沿いに。木々の合間から覗く湖水を眺めていると、次なる見学地である屈斜路湖の砂湯に到着。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号晩夏の爽快な青さに染まる日本最大のカルデラ湖屈斜路湖
全国6位、カルデラ湖としては日本最大の広さを誇る屈斜路湖。先ほどの硫黄山の様子からも分かるように、今なお火山活動が活発なこの一帯。流れ込む温泉により湖水は酸性に傾いているため、魚はあまりいないのだそう。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号屈斜路湖畔砂浜を掘ると温泉が湧く砂湯
ここ砂湯は、その名の通り砂浜を掘るとお湯が湧くという珍しい場所。先人の掘ったであろう大きな湯だまりで、ちょうど良い塩梅の手湯を楽しみます。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号晩夏の青空、湖水の青、外輪山の蒼さ、一面あおの世界
それにしても、本当によく晴れてくれた。四季折々、晴曇雨雪。それぞれ異なるうつくしさがあるけれど、カラッとした残暑のなか浴びるこのあおさは格別だ。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号砂湯から眺める青い屈斜路湖
胸のすくようなとは、このような光景を言うのだろう。肌をじりじりと灼く晩夏の陽射し、それを癒す湖水を渡る爽快な風。カルデラを成す外輪山は蒼く染まり、思わず深呼吸したくなる。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号屈斜路湖から流れ出る釧路川の始まり
再びバスは走り出し、しばらく行くと川を渡る小さな橋が。ここが釧路川のはじまりの場所。アイヌ語で、喉や口を意味するクッチャロ。釧路川の流出口あたりにあったクッチャロというコタンから、屈斜路湖の名が付けられたのだそう。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号車窓に広がる道東の雄大な大自然
次なる目的地に向け、晴れ空のもと軽快に走るピリカ号。移動時間までもが愉しめる、バス旅の良さ。免許を持たぬ身、この景色を見させてくれるだけでも本当にありがたい。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号嬉しいお土産のまりもようかん
ここにきて、さらに嬉しいプレゼント。70年以上の歴史を誇る阿寒湖銘菓、まりもようかんがみんなに配られます。この2個入りは、阿寒バスが特別に作ってもらっているそう。お昼までまだ時間があるため、うつくしい車窓を愛でながら心地よい甘さを味わいます。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号阿寒横断道路でカーブを繰り返し標高を上げてゆく
これまで寄り添ってきた釧路川水系に別れを告げ、分水嶺に挑むバス。カーブを繰り返す阿寒横断道路を進んでゆくと、いつしか車窓は結構な高度感に。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号阿寒横断道路からは空の近さを実感する
それにしても、今日の空はとにかく澄んでいる。標高以上に感じる空の近さに、道東の遅い夏を感じてみる。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号阿寒横断道路双岳台から雄大な雄阿寒岳を望む
バスはさらに標高を上げ、ふっと視界が開けたかと思えばこの眺め。双岳台と呼ばれるこの地点、裾野を広げる雄大な雄阿寒岳が姿を見せてくれています。

8月下旬初めての阿寒バス定期観光バスピリカ号運よく見ることのできたペンケトー
ガイドさんの解説を聴いていると、もう少しで小さな湖が見える双湖台を通過するとのこと。注意深く車窓を見つめていると、深い森にぽつんと抱かれた青い湖。このペンケトーは、アイヌ語で上の湖という意味。下の湖であるパンケトーを経て、阿寒湖へと繋がっています。

霧の立ち込める幽玄の世界から一変し、爽快な青空のもと愉しむバスでのドライブ。あと少しで、ピリカ号は最後の見学地である阿寒湖に到着。千変万化な車窓の連続に、道東の豊かな自然にこころ打たれるのでした。

晩夏、悠かなる道東へ。~釧路に恋して~
8月下旬初めての釧路ライトアップされた幻想的な幣舞橋とその煌めきをゆらゆらと水面に映す釧路川
2024.8 北海道
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●1日目(東京⇒釧路)
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●2日目(釧路・釧路湿原)
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●3日目(釧路⇒阿寒バスピリカ号⇒東京)
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