阿波から土佐へ初づくし ~四国の未知へいざ行かん 2日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

阿波から土佐へ初づくし ~四国の未知へいざ行かん 2日目 ①~

11月上旬初めての徳島駅前の阿波おどりポスト 旅行記

徳島で迎える爽やかな朝。身支度を整えホテルをチェックアウトし、駅へと向かいます。初めての徳島、いい街だったな。今度はもう少し時間をとって、ゆっくり来よう。そしてやっぱり、本場の阿波おどりを一度は見てみたい。

11月上旬初めての徳島駅JR四国の国鉄型特急キハ185系剣山
そんな再訪の願いを胸へとしまい、朝食を買って改札内へ。これから向かうは名勝地、大歩危。まずは四国の内陸部へと分け入るべく、特急剣山に乗車します。

11月上旬初めてのJR四国特急キハ185系剣山国鉄の残り香を感じさせる味わい深い車内
車内へと一歩足を踏み入れれば、たちまち全身を包み込む国鉄の残り香。あぁ、好きだ。この時代の特別急行には、今の特急にはないある種の質量というものが宿っている。

11月上旬初めてのJR四国特急の旅キハ185系剣山車窓から眺める阿波の田園風景
エンジン音を轟かせ、徳島駅をゆっくりと滑りだすキハ185系。徳島線、そしてJR四国の特急に乗るのはこれが初めて。未知なる鉄路への旅は、いくつになっても童心に返らせる。

11月上旬初めての徳島線キハ185系特急剣山阿波池田行きから望む大正4年生まれの石井駅跨線橋
徳島駅を発ち、近郊の駅に停車してゆく剣山。この区間は、明治時代に徳島鉄道として開通した歴史ある路線。駅の跨線橋は意匠が凝らされ、その足元を見てみると大正四年の刻印が。

11月上旬初めてのJR四国特急キハ185系剣山阿波池田行き車内にはのどかな国鉄の雰囲気が漂う
遠くに見える山並みも、流れる家や畑の雰囲気も。これまで訪れた場所とも異なる表情に、初めての阿波路を噛みしめる。新鮮な車窓を愉しんでいるといつしか勾配はきつくなり、いよいよ徳島平野の終わりを感じさせるように。

11月上旬初めてのJR四国特急キハ185系剣山デッキに漂う国鉄の情緒
ここで失礼、お手洗いへ。そう思いデッキへと出ると、古き良き記憶を呼び起こさんとばかりに襲い来る国鉄の情緒。化粧板の風合い、無骨なくずもの入れ。飾り気はないけれど、質実剛健実用本位の美学がにじみ出る。

11月上旬初めてのJR四国特急キハ185系剣山懐かしさを感じさせるレトロな洗面台
国鉄が最後の特別急行型として開発した、このキハ185系。昭和末期の空気感が車内の随所に封じ込められ、幼き日の鉄道への憧れが溢れるように甦る。

11月上旬初めてのJR四国特急キハ185系剣山阿波池田行き車窓に広がる大河四国三郎吉野川
切なくも温かい感傷を胸に宿しつつ席へと戻ると、車窓には吉野川が寄り添うように。遠くに霞む、この川が刻んできた谷筋。それこそが、僕らがこれから進む道。

11月上旬初めてのJR四国特急キハ185系剣山は吉野川に沿って阿波池田を目指す
日本三大暴れ川のひとつ、四国三郎の異名をもつ吉野川。山裾の平地に比べ広い川幅、そこを満たす豊富な水量。讃岐山脈と四国山地に挟まれた中流域は、昔から洪水に悩まされていたそう。

11月上旬初めてのJR四国2700系特急南風アンパンマン列車
徳島からひたすら西進すること1時間15分、剣山は終点の阿波池田に到着。濃厚な国鉄の残り香に別れを告げ、新鋭の2700系にここで乗り換え。それにしても、アンパンマンの圧が強い。

11月上旬初めてのJR四国2700系特急南風高知行き車窓から眺める大歩危峡
四国の背骨を貫通するように、南北に走る土讃線。阿波池田を出ると勾配とカーブ、トンネルの連続で山を分け入る特急南風。よくぞここに鉄道を通したものだ。そう思わせる険しい車窓に目を丸くしていると、眼下にはこれから向かう大歩危が。

11月上旬初めての徳島土讃線大歩危駅
深い山を、器用にすり抜ける振子車両。久々に味わうその感覚に身を委ねることあっという間の17分、今日最初の目的地の最寄りである大歩危に到着。

11月上旬初めての徳島吉野川に架かる大歩危橋からの眺め
谷の底に佇む駅から急坂を登り、吉野川を渡る大歩危橋へ。橋上からは、圧倒的な山深さを感じさせるこの眺め。少しの平地も許さぬ深い谷、両側に迫る山の圧迫感。その対比が高度感を一層強め、思わず「ひえっ」と声が漏れてしまう。

11月上旬初めての徳島国道から見下ろす大歩危峡
木々の間から川の気配を感じつつ歩いてゆくと、視界は開け見事に切り立つV字の谷が。吉野川が長い年月をかけ、山を岩盤を穿ち創り上げた大歩危。その険しさに、ただただ気圧されるばかり。

11月上旬初めての徳島大歩危峡まんなか
駅から歩くこと20分ちょっと、『大歩危峡まんなか』に到着。ここは食堂やお土産屋、そして遊覧船のりばが併設された施設。この昭和感、いいな。

11月上旬初めての徳島大歩危峡まんなかこれから向かう船のりばを見下ろす
乗船名簿を記入しチケットを買い、遊覧船のりばへ。こうして真上から見下ろしてみると、谷の狭さと流れの急さが手に取るように感じられる。

11月上旬初めての徳島大歩危峡まんなか遊覧船から見上げる要塞のような昭和レトロな建物
時刻表はなく、満席になったら随時運行される遊覧船。出航の時を待ちつつ見上げてみれば、断崖に張り付くようにして建つ昭和の建物。今はもう、こんな感じでは建てられないんだろうな。

11月上旬初めての徳島大歩危峡まんなか遊覧船は出航
要塞感溢れる高度経済成長期の建物に別れを告げ、小さな舟はいざ出航。狭い川幅と急な流れをものともせず、器用に回頭しゆっくりと川下を目指します。

11月上旬初めての徳島大歩危峡まんなか遊覧船から眺める白亜の岩盤
船着き場付近は流れが急ですが、進んでゆくと意外にも水面は穏やか。滔々と流れる吉野川を滑るように静かに走る船上からは、眩い白さを放つ特徴的な岩盤が目と鼻の先に。

11月上旬初めての徳島大歩危峡まんなか遊覧船から見上げる山肌にへばりつくようにして走る国道
かつてこの深い山の中を、古道が走っていたという大歩危。大股で歩くと危ないから、もしくは断崖を意味する「ほき」という古語が名の由来だそう。現在の動脈を担う国道も、辛うじて崖にへばりついている。

11月上旬初めての徳島大歩危峡まんなか遊覧船から見上げる土讃線の線路
その対岸には、これまた崖の中腹を走る土讃線。これだけ険しいV字谷、それでもここを通すしか余地がなかったということなのだろう。

11月上旬初めての徳島大歩危峡まんなか遊覧船のUターン地点にある索道
白く輝く岩盤、その底を滔々と流れる碧い水面。見上げると首が痛くなるほどの谷の迫力を胸いっぱいに吸い込み、遊覧船はここでUターン。見えている索道は、現役のものかそれとも遺構か。鉄道や車道とともに、人々がこの地に挑んできた交通の歴史を感じさせる。

11月上旬初めての徳島大歩危峡まんなか遊覧船水深6~20mにもなるという大歩危峡
ほとんど揺れないほど、穏やかな表情をしている今日の大歩危峡。ですがその下には、6~20mもの水深が隠されているそう。ときおり顔を覗かせる水のうねりに、救命具を付けていても背筋がひゅっとする。

11月上旬初めての徳島大歩危峡まんなか遊覧船で愉しむ水上散策
30分間の水上散策を楽しんだ遊覧船の旅。谷の底でしか感じることのできない自然の創り上げる造形美と、V字に刻まれた峡谷の険しさ。水の持つ力というものに、改めて圧倒されるのでした。

阿波から土佐へ初づくし ~四国の未知へいざ行かん~
11月上旬初の徳島眉山から望む四国山地へ落ちる夕陽
2024.11 徳島/高知
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