2020年ブログ納め 「旅すること」と向き合って | 旅は未知連れ酔わな酒

2020年ブログ納め 「旅すること」と向き合って

6月下旬人のいない竹富島なごみの塔のある赤山公園から集落を見渡す その他

色々とありすぎた2020年も、残すところあと2日。皆さまは今年という一年をどう過ごされたでしょうか。僕も例外なく、不安や不満、不便に不条理と、様々な感情が入り乱れる一年となりました。

そんな混沌とした2020年でしたが、僕にとっては悪いことばかりではありませんでした。それは自分の仕事や生活、そして大切な趣味と今一度向き合う機会を持てたから。そんな自分の心境の変化をメモとして残し、今年のブログ更新を終えたいと思います。

自分の中で、今年一番変化が大きかったのが仕事。業務内容の大きな変化を伴う担当替えの一報を受け取ったのは、旅先である石垣島でのことでした。

思い返せば、自分的に一番辛い時期に新しい人生観を与えてくれたのも石垣島、人生の大きな転換となる本社への異動を迎えたときも石垣島、そして今回の新たな仕事に挑む知らせを受けたのも、石垣島。ちょうど異動と重なる時期に訪れているので当たり前といえば当たり前なのですが、なんだか不思議な縁というか、自分にとっての変化の地であるように思えてしまうのです。

新しい担当になってからはや半年。分からないことへの不安や不慣れなことに対する怖さもありますが、おかげさまで社会人になってから今が一番たくさんのことを吸収できているように感じています。大きな環境の変化が苦手な僕ですが、今年一年を経て、「もう大丈夫だ」と自分に言ってあげられるような気がします。

そんな自分的変化の地である石垣島に今年行けたことは、後から考えれば針の穴を通すほどの幸運でした。緊急事態宣言が解除され、東京の数も落ち着いており、そして石垣市が長期滞在なら来ていいよと言ってくれた。その条件が重なって、あの青さに出会うことができたのです。

今年ほど、「旅する」ということと向き合った一年はありませんでした。これまでも、行きたくてもなかなか行けないという時期は多々ありました。でもそれは、休みが取れないなど、全て自分の問題によるもの。移動すること自体が禁忌になるなど、誰だって考えたことすらないと思います。

このブログを読んでくださっている方なら分かっていただけると思いますが、僕にとって旅とはただの趣味を超えたライフワークかつ生命線のようなもの。それを取り上げられたらどうなってしまうのだろう、そう最初は思っていました。でも不思議と、今年の僕は意外にも大丈夫でした。

以前はある意味、現実逃避という側面を持っていた僕にとっての旅。昔も今も本文中で「東京脱出」ということばを好んで使っていますが、その重みは若い時の方がはるかに大きいものでした。それだけ今が自分的に安定し、そして重ねた旅の数だけ、「次がある」という確信を得てきたからなのかもしれません。

とはいっても、今年全く旅をしなかった訳ではありません。記事にもした2月の青森と6月の八重山、そしてこれから書くつもりである11月の長野。幸運が重なり訪れることのできたこの3つの旅は想い出として刻まれ、また旅立てる日までの大切な糧として自分の中に息づいています。

別に罰則もなければ犯罪でもないので、今でも旅行に行こうと思えば行ける。でもきっと、今行っても楽しくない。旅することが目的ではなく、旅先で楽しむことこそが目的。手段の目的化が嫌な自分にとって、楽しめるタイミングというものがとても重要になってくるのです。

楽しむか楽しめないかは自分の感じ方次第。そんなことは十分理解していますが、今僕が楽しめないという気持ちになっているのは、生まれ故郷の十字架を勝手に背負ってしまっているから。今年ほど、自分の生まれ育ち暮らす街が東京であるという事実と対峙したことはありませんでした。

故郷の隣町であり今も生活圏として訪れる吉祥寺がテレビに晒され、毎日毎日、東京、東京、都民、都民と聞かされ続ける日々。都民は帰省するなとか言われていますが、帰省できる故郷があるだけいいじゃない。僕の居場所は、現時点ではここしかない。僕の田舎をそんなに悪く言わないでよ、というのが僕の正直な本音。さすがにこの流れには、心が折れてきます。

でもそれは、今いる場所が確実に自分の故郷だと思っている証。そうでなければ、東京がどう言われようと気にすることもありません。図らずも、郷土愛というものが自分の中に未だかすかに残っているということに気づかされたのです。

ぎりぎり昭和時代を記憶に残す僕にとって、東京とは整然と混沌の共存する街、それこそ多様性の街でした。それが今となっては、無駄におしゃれで物価が高く、息苦しく暮らしにくい街へと変わってしまいました。各ターミナルごとに感じられたカラーが、東京はこうあって然るべきという理想一色に塗りつぶされてしまったのです。

僕が誇らしく思い大好きだった頃のふるさと東京は、今はもうない。その現実が辛くて、いつしか東京なんて大嫌いと思うようになったのかもしれません。でも人間なんて都合の良いもので、自分が嫌う分にはいいけれど、東京に無関係の人に言われるとやりきれない気持ちになってしまう。そんなとき、やっぱりここが故郷なんだと強く実感せざるを得ないのです。

人にどう見られるかより、今の自分にはそんな気持ちが染みついている。少なくとも今は、東京から来ましたとは胸を張って言えない。そんな思考が薄れてくれた時こそが、次の旅のタイミングだと思っています。

仕事に暮らし、旅に故郷。今までも「あって当然」とは思ってはいないつもりでしたが、改めてそれらと否応なしに向き合うことを強いられた2020年。そこで見つけた新たな見方や感じ方を自分に刻み、来年という新しい一年へと進みたいと思います。

最後になりましたが、今年もブログを読んでいただき本当にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。新たな年が、みんなにとって良い一年となりますように。

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