晩秋しみじみ信濃路へ ~紅葉と翡翠に染まる旅 4日目 ⑥~ | 旅は未知連れ酔わな酒

晩秋しみじみ信濃路へ ~紅葉と翡翠に染まる旅 4日目 ⑥~

関東私鉄車輌勢揃いの長野電鉄須坂駅の車庫 旅グルメ

秋晴れの空も西日に染まり、そろそろ須坂の街を発たなければならない時間に。長野行きの電車を待つ間、しばし佇む静かなホーム。遠くには見慣れた関東の車両が並び、大切にされながら第二の人生を過ごす姿にただただ嬉しさを感じてしまう。

西日を受け輝く長野電鉄旧東急8500系
秋の陽を受け、輝きを放ちながら滑り込む東急電車。HiSEやNEX、東急に日比谷線。一度は引退した車両とは思えぬほど、長野電鉄は車両をきれいに保ってくれている。色々と大変な地方私鉄ですが、車両への想いが感じられるからこそ、こうして何度も乗りに来てしまうのかもしれない。

長野駅近くの寺町酒場焚㐂屋
小田急から営団地下鉄、東急と乗り継いできた長電の小さな旅を終え、長野駅に到着。ここで最後の信州の味を愉しむべく、『寺町酒場焚㐂屋』へとお邪魔します。

長野寺町酒場焚㐂屋野沢菜の油炒め
まず初めに注文したのは、野沢菜の油炒め。信州と言えばの野沢菜ですが、こうして炒めれば漬物の旨味が引き立ち、油のコクや甘辛い味付けと相まって地酒が進まない訳がありません。

長野寺町酒場焚㐂屋おたぐり
続いては、長野に来たら食べたいおたぐりを。馬もつはクセがなく、心地よい食感が特徴。信州名物の味噌で煮込まれ、スープを含めば豊かな味わいが広がります。添えられたにんにく唐辛子を溶けば、さらに地酒との相性もアップ。もつ煮は絶対に馬!食べるごとに声を大にして言いたくなります。

長野寺町酒場焚㐂屋ブランド川魚3種盛り合わせ
大きな板に載せられてきたのは、ブランド川魚3種盛り合わせ。安定の信州サーモンは間違いのない旨さ。初めて食べる大王岩魚は、適度な歯ごたえと共に広がるじんわりとした旨味が印象的。これまたお初のゆきますの燻製は、凝縮感と共に広がる香りと味わいが堪りません。

長野寺町酒場焚㐂屋馬肉のユッケ
旨いつまみに地酒が進み、更にと頼んだ馬肉のユッケ。しっとりとした食感の馬肉とたっぷりの薬味、卵を混ぜて頬張れば、自ずとおちょこに手が行ってしまう。生肉の旨さを、今一度しみじみと実感。やっぱり生肉、好きだなぁ。

長野寺町酒場焚㐂屋蜂の子塩炒め
この旅最後の信州グルメ、その大トリはもちろんこの子。昔は直視すらできなかったけれど、一度口にしてみたらもう忘れられないほどの大好物に。

蜂の子は甘露煮も好きですが、こちらのお店はもっと好きな塩炒め。成長具合によって食感や風味が異なり、ちびちび食べつつ飲む信濃の酒の味に、文字通り心酔してしまいます。

夜に輝く長野駅
いやぁ、本当に食べて飲んで大満足!信州の酒の余韻に浸りつつ眺める長野駅は、より一層その輝きを増すかのよう。こんな時間まで愉しんでいても、あっという間に帰れてしまう。碓氷峠を越えていた頃から思えば、考えられないほど長野は近くなりました。

夜の長野駅に停車するE7系あさま号
冬季五輪に向けて開業した長野行新幹線。それが北陸まで繋がり早5年。いつしかこの車両に乗って、百万石のあの街へと行ってみたい。新幹線によって失われる旅情があることも確かですが、働く身としてはやっぱりこの速さはありがたい。

E7系あさま号で飲む秀峰アルプス正宗上高地風穴貯蔵純米酒
夜の闇に染まる車窓をぼんやり見つつ、飲むワンカップ。アルプス正宗の名の通り水のきれいさを感じさせる飲み心地に、もう少しだけ信濃の余韻に浸っていたい。

E7系側面に輝くエンブレム
否が応でも、出身地である東京と向き合うことを強要された2020年。あれだけ今の東京を嫌いだった癖に、東京が、東京がと言われるごとに、自分の中の何かが蝕まれていく。そんな日々を過ごす中で、僕の生まれ故郷はやっぱり東京なんだと思い知らされた。

地元から出ることすらままならない生活の中で、日に日に強まってゆく旅への憧れ。旅は僕にとって、大切な趣味以上の生き甲斐とも言えるもの。それがこんな形で実現困難な日が来るなんて。旅することが当たり前とは決して思ってはいないつもりだったけれど、取り上げられて改めてその大切さと輝きを知った。

そんな状況も少し落ち着き、こうして訪れることのできた信州。秋色に輝く山並みと翡翠に染まるいで湯は、枯れていた僕の心を潤してくれた。

自分の中でかけがえのない地を敢えて3つ挙げるとすれば、東北、八重山、そして信州。それが何故かは分からない。でも共通するのは、そこに立ち、空気を吸うだけで満たされるということ。理屈抜きに、素直に好きと言える場所。そんな土地に出逢えたのも、旅することができたから。

これを書いている今、このときよりももっと状況が悪くなっている。またいつか、自由に旅立てる日が来るのだろうか。きっとあるはずのその日を夢見て、僕の大好きな信州での旅の記録を閉じたいと思います。

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