冬を迎えに。~酸ヶ湯を染める清き白 3日目~ | 旅は未知連れ酔わな酒

冬を迎えに。~酸ヶ湯を染める清き白 3日目~

初冬の酸ヶ湯で迎える青白い朝 旅の宿

初冬の酸ヶ湯で迎える朝。部屋の窓を開ければまだ夜の余韻の残る青白さが広がり、それと共に冬の冷たさが一気に流れ込む。何故だろう、東京の寒さは大嫌いなはずなのに、こうして旅先で味わう寒さはとても好き。

11月とは言えこの雪の量。八甲田の冷気で頭をシャキッとさせ、早速朝風呂へ。広い浴場にはほとんど人はおらず、包む湯けむりによりそこが自分だけの世界だと思われるほどの静寂さ。

木の肌触りが心地よい浴槽には、下から自然湧出する源泉がたっぷりと満たされる。その色は、先ほど目覚めに眺めた朝の青白さのよう。シルキーな肌触りと温もりに抱かれ、温泉巡りはやめられないと今一度その贅沢を噛み締めます。

酸ヶ湯温泉旅館1日目朝食
朝からゆったりとした湯浴みを楽しみ、部屋でぼーっとニュースを見るひととき。普段なら慌ただしく身支度をしている時間に、雪山の中こうしていること自体が堪らない。

そんな旅の休日ならではの贅沢を愉しみ、ようやく朝食の時間。前回泊まったときに僕好みのおかずがたくさんあったので、今回もこの時間を楽しみにしてきました。

会場へと入ると、長いテーブルにずらりと並ぶ美味しそうな品々。その中で悩みつつも選んだのはこのラインナップ。なす味噌や豆腐の卵とじ、天ぷらの煮物などは、いい意味で田舎の温もりを感じるほっとする味付け。

青森らしく漬物類も豊富で、どれを選ぼうかと嬉しい悲鳴。いかの中に漬物を詰め込んだいか寿司は、北国を実感させるしみじみとした味わい。熱々のご飯が止まりません。

青唐辛子の入った南蛮味噌は、味噌のコクや甘味と合わさる青唐独特の爽やかな辛味が格別。その隣のピンクのものは、蓮の茎を梅酢に漬けたもの。しゃきっとした食感と程よい酸味に食が進みます。

そして今回一番のお気に入りは、きのこと海苔を佃煮にした味付きのこのり。それぞれ単体での佃煮は食べたことがありますが、一緒に合わせたのは初めて。きのこの旨味やとろみに海苔が絡まり、ご飯に合わない訳がありません。

酸ヶ湯温泉旅館朝食会場から眺める雪景色
そんな青森の旨いものだらけの朝食を食べつつ眺める雪景色。一晩で相当雪が降ったようで、酸ヶ湯全体が雪に覆われています。

11月下旬でこの雪の量。さすがは日本屈指の豪雪地帯。これから迎える本格的な冬の気配に、この宿が通年営業することの大変さが伝わってくるようです。

初冬の酸ヶ湯温泉旅館湯上がりに昼飯前の冷たいビール
美味しい朝ごはんをたらふく食べ、太鼓腹を落ち着け再び千人風呂へ。あとはもう夕食時まで予定はなし。浸かって、だらけて、気が向けば飲んで。何と贅沢なことでしょう。

酸ヶ湯温泉旅館売店で購入したお昼ご飯
自堕落な午前を存分に楽しみ、お腹も減ったところでお昼を食べることに。今日は酸ヶ湯の売店で見つけた美味しそうな品々で、昼からちびちびやってしまいます。

まずは熱々のおでん。ぶりんぶりんの白こんにゃくと、僕の大好物である根曲がり竹。それらが美味しいだしをしっかりと吸っています。そこに掛かるのは青森らしい生姜味噌。

生姜味噌おでんを食べるのは初めてでしたが、思ったよりも生姜臭さのない食べやすい味。ですがしっかりと生姜が効いており、食べ進むうちに体の中からぽかぽかしてきます。

大きなおにぎりには青森のお米であるつがるロマンが使われているようで、粘りすぎず口でほぐれる感じが好み。中の鮭も昔懐かしい感じの素朴さで、おでんの生姜味噌を付けて食べてもこれまた旨い。

雪明かりの中味わうおでんと握り飯。それに合わせるのは、黒石市の中村亀吉が造る亀吉特別純米辛口酒。辛口といっても味覚的に辛い!という感じはなく、華美な風味を削って日本酒の美味しい部分を残したという雰囲気。ほんのり残る甘味やフルーティーさが後を引きます。

そしてデザートには、大きな焼きまんじゅう。困ったことに最近、こうした甘い和菓子でも日本酒が飲めるようになってきたのです。

中には重めのこしあんがぎっしりと入り、手に持つだけでも分かる食べごたえ。ですが甘味はそれほど強くなく、素朴さを感じる生地とも好相性。青森のお菓子はやっぱり旨い。甘さと共に心に温かさが広がります。

酸ヶ湯温泉旅館自炊部中庭に積もる雪
亀吉を、本当にちびり、ちびりと飲む秘湯での午後。せっかくの酸ヶ湯も酔ってしまっては味わえないので、ほんのりいい気分をじんわりじんわりと保ちます。

楽しい時とは、あっという間に過ぎるもの。気付けばあたりも真っ暗になり、二晩目の夕食の時間が。昨日よりも更に厚みを増した積雪を眺めつつ、会場へと向かいます。

酸ヶ湯温泉旅館自炊部2日目夕食
テーブルには、昨日とは全く雰囲気を変えた品々が。小鉢には、鱈のたらこ和えや鮭の飯寿司といった北の海の恵みたち。これだけで地酒がどんどん進みます。

なので今夜も地酒三種飲み比べを注文。スモークサーモンのサラダや焼き魚、クリームチーズとかぼちゃの真薯などをつまみに、旨い酒を味わいます。

酸ヶ湯温泉旅館自炊部夕食たっぷりきのこのせんべい汁
自炊部の夕食は、ご飯とおつゆはセルフサービス。ということでお鍋へ向かってみると、そこにはたっぷりときのこの入った美味しそうなおつゆが。

傍らに置かれた南部せんべいを入れたお椀に注げば、だしをたっぷり吸った美味しいせんべい汁の出来上がり。きのこの旨味とつるんとした食感が美味しく、お腹一杯にもかかわらずご飯をおかわりしてしまいます。

昨日とはまた違った美味しさを味わえた夕食。連泊する者にとってはとてもありがたい。良心的なお値段もさることながら、こんな工夫がされているからこそまた連泊で来たくなる。酸ヶ湯やっぱり、好きだなぁ。

美味しいご飯で満腹になり、あとはもうお湯とお酒しかすることのない時間。お昼に開けた亀吉の続きを味わい、することのないという悦びを噛み締めるのでした。

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冬を迎えに。
~酸ヶ湯を染める清き白~

2017.11 青森
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●1・2日目(東京⇒青森⇒酸ヶ湯)
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