ちょっとずつ夏の愉しみ北東北 ~ヤーヤドーに誘われて 2日目 ④~ | 旅は未知連れ酔わな酒

ちょっとずつ夏の愉しみ北東北 ~ヤーヤドーに誘われて 2日目 ④~

8月上旬夏の弘前市役所ねぷた 旅の宿

空もすっかり暗くなり、勢いを増してゆくねぷたの滾り。赤い市章が威容を誇る市役所ねぷたからは、より大きなねぷたが姿を見せるように。

8月上旬夏の弘前×神戸プロモーションで登場したFDAフジドリームエアラインズのねぷた
大きな卍ねぷたの後に続くのは、神戸の観光スポットやFDAの飛行機が象られた組ねぷた。神戸と青森の直行便開設を機に、神戸でも運行されるようになった弘前ねぷた。その縁で、こうして神戸の名所が津軽の夜空を照らしています。

8月上旬夏の弘前迫力ある市役所ねぷたの大型ねぷた
ヤーヤドーの声とともに、次々とやってくるねぷた。夜が深まるにつれ、輝きを増す灯りの洪水。その姿はあまりに幻想的で、それが忘れられずこうして毎年通ってしまう。

8月上旬夏の弘前荒ぶる猪が印象的なねぷた
ビルの3階をも超える高さの大型ねぷた。大きく描かれた荒ぶる猪、それと対峙する人の表情。灯りに照らし出された躍動感に、ただただ目を奪われるばかり。

8月上旬夏の弘前かわいい金魚ねぷたがたくさん
津軽の短い夏の夜を、可憐に舞う金魚ねぷた。涼しい夜風に長いひれを艶やかに揺らし、この祭りの世界観をより一層盛り上げる。

8月上旬夏の弘前夜空を焦がす繊細なねぷたの美しさ
雄々しいものから繊細なものまで、さまざまな表情を魅せるねぷた。着物に散りばめられた緻密な紋様は、はっと息を呑むうつくしさ。

8月上旬夏の弘前鯰と要石の描かれた大型ねぷたの袖絵
その裏には、要石と鯰を鎮める大仏さま。もうこれ以上、ひどい地震が起きませんように。そんなみんなの願いが、この袖絵には込められています。

8月上旬夏の弘前オリンピック仕様のたか丸くん組ねぷた
たか丸くん、今年も津軽の熱い夜をありがとう。パリオリンピックの開催年らしく、かわいいたか丸くんたちも五輪仕様に。

8月上旬夏の弘前見上げると首が痛くなるほどの高さの大型ねぷた
手の届きそうな距離を、ゆったりと過ぎてゆく幾多ものねぷた。隊列の最後を締めくくる一番大きなねぷたは、見上げれば首が痛くなりそうなほどの高さ。この場所では縮められていますが、電線や信号から離れた所ではこれよりもさらに大きな姿に。

8月上旬夏の弘前鮮烈な絵が印象的なねぷたの見送り絵
大きな和紙いっぱいに描かれる、迫力に満ちたねぷた絵。夏の到来の悦びを感じさせる勇壮な鏡絵に、短い夏を儚むような繊細な見送り絵。鮮烈な対比を魅せる表裏には、津軽の人々の夏への想いが込められています。

8月上旬夏の弘前はっとする色使いがうつくしいねぷた
弘前の夜空を焦がす、溢れんばかりの色彩の洪水。目の覚めるような色使いが、見る者のこころを染め上げる。

8月上旬夏の弘前渋い迫力を魅せるねぷたの袖絵
鮮やかな色彩を放つ鏡絵から一転し、渋い迫力を魅せる荘厳な袖絵。ひとつのねぷたで二つの驚き、これがあるから弘前ねぷたは長い運行時間でも最後まで見たくなる。

8月上旬夏の弘前ねぷた祭を彩る太鼓の音
次々と繰り広げられる灯りの洪水を、より深いものへと昇華させるお囃子や掛け声。勇壮で、それでいて若干の憂いを含む独特な旋律。ただ賑やかなだけではない、その情緒に僕は魅かれるのだろう。

8月上旬夏の弘前夜空を勇壮に舞う組ねぷた
扇ねぷたが主流の弘前ねぷたのなかで、ときおり現れる組ねぷた。夜空を舞う躍動感に、思わず目は釘付けに。

8月上旬夏の弘前独特な雰囲気を持つ個性的なねぷた
ひとつひとつ、異なる個性を魅せる幾多ものねぷた。中には雰囲気をまったく異にするものもあり、次はどんなねぷたがやってくるのかと愉しさは深まるばかり。

8月上旬夏の弘前津軽の夜空を焦がす鮮やかな炎
復活を遂げた一昨年より去年、そして去年より今年と、曳き手も観客も増え確実に賑わいを取り戻しつつある弘前ねぷた。こうして再び津軽の熱気に包まれる悦びを、今はただ無心で感じていたい。

8月上旬夏の弘前モノクロームが幻想的な世界観を魅せるねぷたの袖絵
一度は青森ねぶたにも行ってみたい。弘前に連泊できる年はそのチャンスがありながら、どうしてもこの祭りから離れることができない。それは何故だか自分でも分からない。津軽三味線と同じように、理由なき共鳴が僕を捕えて離さない。

8月上旬夏の弘前ねぷた初日ついにやってきてしまった最後の1台
長く続いた津軽の熱い夜も、ついにやってきてしまった最後の一台。毎度のことながら、この瞬間は切なくなる。そして強く誓う、また来年帰ってこようと。

8月上旬夏の弘前ねぷた切なさを抱きつつ最後の一台を見送る
あぁ、夏の夜の夢が去ってゆく。そんな僕の心を映すかのように、儚げに微笑む見送り絵。

8月上旬夏の弘前ねぷた本日終了のねぷたが告げる津軽の熱い夜の終わり
本当に、終わってしまった。本日終了を告げるねぷたに、言いようのない寂しさがこみ上げる。何度味わっても、慣れることのない喪失感。だからこそ、この夏を求めて毎年来てしまう。

8月上旬夏の弘前ねぷた帰るねぷたの後を追いつつホテルへ戻る
運行を終え、それぞれの町へと帰ってゆくねぷた。名残惜しさを噛みしめつつ、その後を追って歩くホテルへの帰り道。今年も本当に、濃く良い夏だった。今はただ、その余韻と感傷に浸っていたい。

8月上旬夏の弘前ねぷたの祭りの火照りを胸へと宿しつつ飲む純米酒弘前城ワンカップ
ホテルに戻り、誰もいない静かな部屋へ。未だ耳に残るヤーヤドーの声、瞼を閉じれば甦る鮮烈な色彩。胸に宿る祭りの残り火をつまみに、ひとりしみじみ味わうワンカップ。

8月上旬夏の弘前ゑびすや履物店で買い一緒に祭りの熱さを浴びた津軽塗の下駄
なんだか、もう夏が終わってしまったようだ。八重山と津軽、ふたつが揃って完成する僕の夏。祭りの後、怒涛のように僕を襲う温かな切なさ。それほど、今年も濃厚な時間を過ごしたという揺るぎない証。

八重山で全力のあおさを胸に宿し、津軽の灯りの熱を刻み。こうして僕は、また来年へと進んでゆける。酒を片手に祭りの感動を反芻し、ゆっくりと記憶から想い出へと変換してゆくのでした。

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