人生初となる地焼きの旨さに感動し、その余韻に包まれつつ次なる目的地へ。駅周辺の賑やかさに圧倒されながらバスロータリーへと向かい、『遠鉄バス』の舘山寺線に乗車します。
起伏に富んだ車窓を眺めつつ走ること約50分、浜名湖パルパルバス停に到着。今日は連休中日、遊園地は大勢の家族連れで大賑わい。そんななか、僕らは隣接する『かんざんじロープウェイ』へと向かいます。
ロープウェイも、老若男女で大盛況。しばらく待つかなと覚悟しましたが、掲示された時刻表より高頻度のピストン運行。15分ほど並び、いよいよゴンドラに乗り込みます。
窓際の席に腰掛け待つことしばし、ロープウェイはふわりと上昇開始。このかんざんじロープウェイは、日本で唯一の湖上を渡る索道なのだそう。進むにつれ聞こえていた遊園地の歓声も小さくなり、それに反比例するかのように視界を占める湖水の割合が大きくなります。
眼前に広がりゆく浜名湖を楽しむこと4分足らず、大草山駅に到着。屋上の展望台に出てみれば、あまりにもうつくしいこの絶景。きらきらと眩い輝きが、一瞬のうちにこころを染めあげる。
かつては海だったという浜名湖。地図では知っていたつもりでも、実際こうして眺めてみるとこんなに複雑に入り組んでいるとは。長い半島に分断されているように見えている庄内湖も、浜名湖の一部。
爽快な青さに染まる秋空に呼応するかのように、蒼く染まる山並みと湖水。北側には、深い緑のなか静かに水を湛える奥浜名湖と呼ばれる水域が広がります。
西側へと向けば、浜名湖と言って僕のイメージする大きな湖面の広がる姿も。どこまでも広がる湖水を渡る秋の陽のきらめき、陸も湖も青く染めてしまう秋晴れの空。あまりの爽快な光景に、自ずと言葉も忘れ息を呑む。
大草山からの絶景を胸に刻み、遊園地のあるエリアを離れ舘山寺へ。門前通りには、旅館や名物のうなぎ屋さんが。どこからともなく漂ってくる良い香りに、ついさっき味わったばかりというのに早くも地焼きが食べたくなる。
あぁ、うなぎなんて毎日でも食べたいよね。そんな話しをしつつ歩いてゆくと、小さな園地が。湖畔に近づいてみれば、先ほどまでいた大草山との間に広がる内浦が。波もなく穏やかに水を湛える姿に、浜名湖の表情の豊かさを実感。
どことなく昭和の情緒を感じさせる門前町を進み、温泉街や町名の由来である舘山寺へ。このお寺は弘法大師が開いたとされ、1200年以上もの長きに渡りここで歴史を刻んでいるそう。
そのお隣には、これまた歴史を感じさせる愛宕神社が。境内に掲げられた由緒によれば、今から1300年近く前の創建だそう。共にこの地を見守り続けるお寺と神社に、この地を訪れることのできたお礼を伝えます。
参道から煌めく湖水がちらちらと見えていたため、そちらへと行ってみることに。秋の西日に輝く湖水、そこに映える朱塗りの太鼓橋。この志ぶき橋は舘山寺温泉開湯の昭和33年に架橋され、現在は2011年に架け替えられた二代目だそう。
その横には、広い砂浜の続く舘山寺サンビーチ。この近くに宿をとり、日中にはここで湖水を渡る風に吹かれてただただぼんやり。西日に輝く浜名湖の胸のすくような絶景に、そんな妄想が頭をよぎる。
静けさに満ちた内浦や、深い森に抱かれる奥浜名湖。そんなひっそりとした表情を魅せたかと思えば、どこまでも広がる開放感あふれる湖水の姿も。さすがは琵琶湖に次いで日本で2番目、周囲128㎞を誇る浜名湖。その豊かな表情にすっかり惚れ、いつかここを自転車でと久々にサイクリング欲が湧いてくるのでした。
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