玄冬湯旅 ~しんしんと、いわての雪はこまやかに。3日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

玄冬湯旅 ~しんしんと、いわての雪はこまやかに。3日目 ①~

2月上旬厳冬期の花巻南温泉峡大沢温泉湯治屋中舘1階一号で迎える雪の朝 旅の宿

大沢温泉で迎える静かな朝。障子を開ければ、今日もしんしんと舞い散る雪。その清純な白さに誘われ大沢の湯へと向かい、豊沢川を渡る清冽な朝の空気のなかその温もりを嚙みしめます。

2月上旬厳冬期の花巻南温泉峡大沢温泉湯治屋食事処やはぎ2泊目朝食
水墨画のような世界にぽつんと、ひとり静かに身を委ねる朝風呂の心地よさ。初めて出逢えた大沢の冬をこころに刻んでいると、あっという間にもう朝食の時間。焼鮭に割り干し大根の炒め煮、昆布やたらことともに、熱々のひとめぼれをしっかりおかわり。

2月上旬厳冬期の花巻南温泉峡大沢温泉湯治屋食事処やはぎの温もり溢れる店内
おいしい和朝食に満たされ、お茶をすすりつつぼんやり眺める木の温もり溢れる店内。明日もこんな朝が来てくれたら。そんな未練を断ち切り、湯治の強い味方やはぎに別れを告げます。

2月上旬厳冬期の花巻南温泉峡降りしきる雪の中佇む大沢温泉湯治屋自炊部本館
荷造りを終え、最後に大沢の湯に抱かれ愛する宿を去ることに。今回も、本当に良い時間を過ごさせてもらった。だからこそ、別れが一層切なくなる。もう一度だけ振り返り、雪に染まる江戸生まれの湯宿の情緒を胸の奥へと収めます。

2月上旬厳冬期の雪舞い散る東北本線花巻駅
山水閣から送迎シャトルバスに乗り、花巻南温泉峡の各宿を経由しつつ約40分。降りしきる雪の中凍えるように佇む花巻駅に到着。

2月上旬厳冬期の花巻駅に入線する701系東北本線盛岡行き普通列車
18年ぶりに、冬に訪れた花巻。思い描いていた以上の雪景色に出逢え、魅惑の湯に溢れるこの魔境への想いは一層強まるばかり。今回もありがとうございました。また必ず、戻ってきます。頬を打つ雪の冷たさに再訪の願いを託し、いつもの701系に乗り込みます。

2月上旬厳冬期の雪降りしきる盛岡駅
モノクロームに染まる車窓に南部の冬を感じること40分、盛岡駅に到着。ここが次なる目的地への玄関口。久々となる温泉宿のハシゴに、思わず心が昂ってしまう。

2月上旬厳冬期の岩手盛岡駅ビルに位置する柳家フェザン店
当初は盛楼閣で冷麺を食べようかと考えていましたが、外に出てみると結構な寒さ。そこで急遽予定を変更し、唯一無二のあの麺と再会するため『柳家』フェザン店にお邪魔することに。

2月上旬厳冬期の盛岡柳家フェザン店キムチ納豆ラーメン
列に並び待つことしばし、観光客より圧倒的に地元の方で賑わう店内へ。すでに充満する魅惑の香りにそわそわしていると、ほどなくしてお待ちかねのキムチ納豆ラーメンが運ばれてきます。

納豆汁から生まれたというこのラーメン。粒つぶは見えませんが、スープの中にしっかりと溶け込んでいる主役の納豆。熱々のスープをひと口啜れば、とろみとともに口中に溢れるその旨味。納豆感はあるものの、特徴的な匂いはそれほど強くは主張しない。

そしてもう一つの主役であるキムチも、酸味や辛味、旨味をしっかりと演出していながら強すぎない。全体的にまろやかでとろんとした濃密スープに、またひと口、もうひと口と止まらなくなってしまう。

続いて、小麦から自社で育てているという麺を。中太の麺はぷりっとなめらかで、噛めばもっちりとした食感と広がる小麦感が堪らない。しゃっきりとしたもやしや旨味を添えるひき肉、甘味が嬉しいコーンと共に啜れば、豊かな旨さに満たされる。

個性があって濃厚だけど、でもどことなく優しい表情を持つ魅惑の一杯。旨い旨いとため息をつきつつ半分ほど食べ、ついに卵の甘美に手を伸ばす。艶やかに光る卵黄を割れば、これがまた至福の味わいに。コクとまろやかさの増したスープをまとう麺を次々と啜り、最後の一滴まで残さず平らげもう大満足。

あぁ、やっぱり最高に旨かった。どうしても冷麺やじゃじゃ麵に行ってしまいがちだか、改めてこうして味わうとその旨さが沁みすぎる。もうこれは、盛岡四大麺だよ。また新たな悩みの種が増えてしまった。そんな納豆好きには堪らぬ魔力にこころ射抜かれ、ほくほく顔でお店を後にします。

2月上旬厳冬期の盛岡駅岩手県北バス松川温泉行き
キムチ納豆の余韻に浸りつつ、駅ビルでこれから二晩のお供を購入。重たくなったリュックを携え、バスロータリーから『岩手県北バス』の松川温泉行きに乗車します。

2月上旬厳冬期の岩手岩手県北バス松川温泉行き車窓からうっすらと見える岩手山
日に3本しかないバスに揺られ、これから過ごす時間に期待を抱きつつ見つめる車窓。分厚い雲の奥には、うっすらとその気配を漂わせる岩手山。

2月上旬厳冬期の岩手岩手県北バス松川温泉行き車窓を染める銀世界
大更を過ぎ、だんだんと増してゆく雪深さ。車窓を染める銀世界に、待ち構える雪見露天に思いを馳せる。3度目となる想い出の地、松川温泉。そこで出逢えるであろう新たな魅力にこころ躍らせ、白銀の眩さに目を細めるのでした。

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