懐かしく、そして未知なる瀬戸内へ。~讃備芸予を渡る旅 2日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

懐かしく、そして未知なる瀬戸内へ。~讃備芸予を渡る旅 2日目 ①~

5月中旬の高松東横イン高松兵庫町客室から眺める兵庫町商店街アーケード 旅グルメ

初めて迎える高松の朝。今日は色々歩く予定。降っていた雨も止み、天気もどうやらもってくれそう。空模様にひとまず安心し、ちょっとばかり早めにホテルをチェックアウト。

5月中旬の高松駅前に位置するさぬきうどんめりけんや高松駅前店
東横インには無料朝食がついていますが、せっかく香川に来たのだからと朝食はうどんを食べることに。高松にもうどん屋さんは数あれど、意外と朝からやっているお店は多くないみたい。そんななか、駅の目の前で7時から営業している『めりけんや高松駅前店』にお邪魔します。

5月中旬の高松駅の目の前に位置するさぬきうどんめりけんやかけうどんとさぬきのめざめの天ぷら
久々となる本場の讃岐うどん。ぶっかけもいいし、釜揚げや釜玉も捨てがたい。いやいやでもそこは、やっぱりシンプルにかけでいこう。天ぷらも色々と並び目移りするが、とにかくそのインパクトある姿に惚れてしまったさぬきのめざめをお供に選択。

席に着き、まずは澄んだおつゆから。うわぁ、これだよ、これ。穏やかで優しくも、確実に心身の芯へと浸透してゆく沁みるだし。魚感はそれほど主張せず、しかししっかりとした強い旨味と香りが堪らない。

続いて麺を。艶やかなうどんは、その見た目通りなめらかつる肌。つるりとした口当たり、噛めばもっちりとしたほどよい弾力。冷たいうどんの強力なコシもいいが、小麦を感じるかけのこの食感もまた魅力的。

そして待望の、さぬきのめざめを根元から。噛んだ瞬間、じゅわっと溢れるアスパラの瑞々しさ。それは決して水っぽいものではなく、ものすごい甘味と風味がぎゅっと詰まっている。おつゆに浸しつつ食べ進めてゆけば、根元はしゃっきり甘く、穂先は濃い香りと心地よいグラデーション。

うぉっ、こんなアスパラ生まれて初めてだ。さぬきのめざめの豊潤な旨さに目尻を下げ、旨いつゆをまとったもち肌のうどんですかさず追いかける。これを至福と言わずして何と言おうか。優しくも確かなおいしさに、あっという間におつゆ一滴残らず平らげてしまいます。

5月中旬の高松玉藻降雨園高松城跡の独特な表情をもつ石垣
さすがはうどん県。今回も本場の旨さと良心的価格に圧倒され、大満足でお店を後にします。乗車予定の電車まで、時間はまだまだ。前回訪れた際に宿題として残しておいた玉藻公園へと向かうことに。

5月中旬の高松城跡玉藻公園現存する月見櫓
独特な表情をもつ石垣に目を奪われつつ歩いてゆくと、白漆喰に古い木の風合いが締まりを与える重厚な櫓が。この月見櫓は、現存する高松城の貴重な遺構。350年近くの長きに渡り、高松の海の玄関口を見守り続けています。

その脇を固めるのは、水手御門。藩主はお堀に面したこの門から船に乗り、海を渡り参勤交代などに出かけたそう。

5月中旬の高松城跡玉藻公園旭橋と東門大手門
県民ホールの建物下に続く石垣に沿って歩き、東側の大手門から入城することに。お堀に対し斜めに渡される旭橋。この構造は、敵を側面から攻撃しやすくするためなのだそう。

5月中旬の高松城跡玉藻公園現存する高松城の遺構艮櫓
橋上からは、こちらも350年ほど前に建てられたという艮櫓が。全面を漆喰で塗り固められた白亜の優美さは、先ほどの月見櫓とはまた違った印象。

5月中旬の高松城跡玉藻公園桜の馬場から望む本丸の重厚な石垣
大手門から桜の馬場を進んでゆくと、広々とした内堀の先に連なる重厚な石垣が。その中央、一段高くなった部分が天守台。明治期までは天守閣も残されていたそう。

そして特徴的なのが、城に廻らされたこのお堀。日本三大水城のひとつに数えられる高松城。お堀には海水が引き込まれており、かつては直接海と繋がり水軍の運用や籠城時の物資の運搬、脱出などが考慮された造りなのだそう。

5月中旬の高松城跡玉藻公園3年前に復元された桜御門
海の香りを感じつつ、三の丸へ。その入口を護るのは、空襲により焼失してしまったものを3年前に復元したという桜御門。

5月中旬の高松城跡玉藻公園大正6年に建てられた三の丸披雲閣
かつて藩主が生活し政務をを行っていたという三の丸には、松平家高松別邸として大正6年に建てられた披雲閣が。現在は貸館として使用されており、年始とこどもの日以外は一般公開されていないそう。

5月中旬の高松城跡玉藻公園場内に残された江戸時代の井戸
かなりの規模を誇る披雲閣。その内部に興味を惹かれつつ塀に沿って歩いてゆくと、江戸時代のものだという井戸跡が。海城である高松城において、貴重な水源として使われていたことでしょう。

5月中旬の高松城跡玉藻公園お堀に海水を取り入れる水門
お堀に流れ込む川がなく、すべてが海水で満たされているという高松城のお堀。その海水はこの水門から引き込まれ、干満差の軽減や高潮対策など現役で使われ続けています。

5月中旬の高松城跡玉藻公園に隣接することでん高松築港駅
念願叶い、初めて訪れることのできた玉藻公園。ちょっと今日は、駆け足だったかな。まだ本丸にも行けていないので、これは高松を再訪する良き口実ができてしまった。そんな次へと繋がる宿題を今回もこの地に残し、お城に隣接する高松築港から『ことでん』でこんぴらさんを目指すことに。

5月中旬の高松ことでん高松築港駅に入線する元京王5000系1100形ヤドンの電車うどん県×ヤドン号
高松からこんぴらさんへ向かうには、本数も所要時間もことでんが便利。9時発の電車を待っていると、高松城の地久櫓台の影から顔を出すド派手な電車。懐かしさを覚える旧京王帝都5000系。移籍したそのうちの1本が、うどん県のPR団であるポケモンのヤドン電車として運行されています。

5月中旬の高松かつて高松城のお堀だった場所に建つことでん高松築港駅
以前は高松城のお堀だった場所に建つ、高松築港駅。ホームの一部はお堀に直接面しており、本丸に至る唯一の通路である鞘橋の姿も。

5月中旬の高松琴電琴平行きことでん電車車窓から眺める艮櫓
うどん県×ヤドン号は、観光客と多くのポケモンファンを乗せ定刻に発車。駅を出ると急カーブを経てお堀沿いを走り、車窓には先ほど眺めた艮櫓が。7年前、夜闇に浮かぶ白亜の櫓とことでんの共演を眺めたことが懐かしい。

5月中旬の香川ことでん琴平線車窓から眺める香川らしい山容のおむすび山
アーケードを踏切で通過し、中心街を抜け住宅地を経て郊外へ。いつしか車窓はのどかさを増し、豊かな実りの色に染まる小麦畑とこんもりとした姿のおむすび山。

本当に、香川の山は印象深い。17年前、人生初の四国を自転車で駆けたあの想い出の旅。その時も、特徴的な山容に目を丸くしたものだった。あの時に並走したことでんに揺られ、往時の記憶を呼び起こす。旅を重ねる悦びを静かに噛みしめ、讃岐の情景をしかと眼にこころに灼きつけるのでした。

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