懐かしく、そして未知なる瀬戸内へ。~讃備芸予を渡る旅 2日目 ④~ | 旅は未知連れ酔わな酒

懐かしく、そして未知なる瀬戸内へ。~讃備芸予を渡る旅 2日目 ④~

5月中旬の瀬戸内岡山駅に入線する山陽本線113系糸崎行き普通列車懐かしい国鉄型電車 旅の宿

漆黒の烏城の荘厳たる姿を胸に刻み、岡山を離れることに。山陽本線のホームで列車を待っていると、流れ出す接近メロディー。

雪解け間近の北の空に向かい・・・。17年前、生まれて初めて足を踏み入れた中国地方。この地でこのメロディーを耳にしたとき、それはもう遠くまで来たものだと強烈に実感した記憶が甦る。

5月中旬の瀬戸内発上陸となる倉敷駅
いい日旅立ちの世界観に包まれ揺られる、懐かしい国鉄型。113系に乗れる機会は、もうないと思っていた。そんな若干の感傷を帯びつつ走る、西日に染まる山陽本線。本当に最後となるかもしれない113系の力走にこころを染めること18分、今日の宿泊地である倉敷に到着。

5月中旬の瀬戸内倉敷駅前ユニバーサルホテル
初めて訪れる地の歓びを噛みしめつつ、まずは今宵の宿へ。駅前から歩くこと約7分、大通りから一本入ったところにある『倉敷駅前ユニバーサルホテル』にチェックイン。

5月中旬の瀬戸内倉敷駅前ユニバーサルホテルツイン客室
駅前ではないものの、こちらのホテルはかなりの好立地。倉敷といえばの美観地区入口まで徒歩1分、近くにコンビニもあり大浴場やサウナも完備。そして驚くのが、無料の食事。朝食のみならず、希望者には夕食までも無料で提供。それで土曜日1泊3,000円台。本当にこのお値段でいいの?と心配になってしまう。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区入口
まずは部屋で小休止。今宵の宴の舞台の見当をつけて予約を入れ、身軽になったところで初めての街倉敷観光へ。宿から出てすぐ近くの交差点から始まる、美観地区。倉敷といえばの代表的な有名スポット。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区を縦横に走る情緒あふれる細い路地
美観地区へと足を踏み入れると、入口から早くもその世界観に圧倒されてしまう。重厚な古き良き建築が建ち並ぶ表通り。そこから脇へと目をやれば、人々の賑わいからひっそりと隔絶されたかのようにのびる細い路地。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区蔦アイビーに覆われた大正末期建築の喫茶店エル・グレコ
多くの人々の行き交う大きな通りには、豊かな表情をもつ建物に入る様々なお店。和の建築が並ぶ中、絡まる蔦が目を引くこの洋館。大正末期に事務所として建てられ、現在は喫茶店として現役で使われ続けています。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区倉敷川沿いに連なる古き良き建築と穏やかな水面を行く川船
お土産屋さんを覗きつつ歩みを進めてゆくと、突如現れる川。ここ美観地区は、この倉敷川を利用した水運で栄えた街なのだそう。その歴史を今に伝えようと、西日に輝く水面をゆったりと進む川舟の姿が。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区豊かな表情を魅せる漆喰塗りの重厚な町家
漆喰で塗られた白壁、重厚感ある瓦屋根。全体的に調和のとれた街並みですが、町家一つひとつを見てみるとその表情は非常に豊か。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区大正6年に旧倉敷町役場として建てられた倉敷館観光案内所の洋館
安土桃山時代の干拓により新田開発され、その後舟運の集積地として栄えたこの地区。その舞台となった川沿いには、大正6年に建てられたという旧倉敷町役場の瀟洒な洋館が。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区往時の情緒を色濃く残す倉敷川沿いの道
かつてはここにたくさんの物資が積まれ、多くの人々が行き交ったことだろう。幅の広い通り、随所に残る雁木と呼ばれる船着き場。人と水との距離の近さに、往時の賑わいを重ねてみる。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区純和風の町家と倉敷紡績工場跡のレンガ塀が対峙する印象的な通り
水運の主役であった水辺を離れ、脇道に逸れてみることに。すると突如現れる、延々と続く煉瓦塀。白漆喰や木が織り成す純和風の街並みと、それと対峙するかのように立ちはだかる赤レンガ。この得も言われぬ対比に、思わず圧倒されてしまう。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区旧倉敷紡績工場の倉敷アイビースクエア
煉瓦の塀の隙間に設けられた門から中へと入れば、青々とした蔦の絡まる建物が。幕府の代官所跡地に建てられた、旧倉敷紡績の工場。現在は倉敷アイビースクエアとして幅広く活用されています。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区倉敷アイビースクエア紡績工場時代の雰囲気を残す館内通路
明治22年に建てられ、終戦の年まで工場として使われたという赤レンガ造り。建物内へと入れば、今なお色濃く感じられる紡績工場時代の空気感。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区倉敷アイビースクエア通路の窓から望む西日に染まる情景
心地よい薄暗さに包まれる廊下、そこから眺める西日に染まる空。眩くも儚げな色味に照らされ、くっきりと浮かびあがる蔦の葉の影。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区倉敷アイビースクエア赤レンガに青々とした蔦の絡まるうつくしい中庭
英語でIVY、名の由来ともなった旺盛に繁る蔦。この蔦は、夏の暑さから工場内を守るべく現役時代に植えられたものだそう。植物の生命力と時を経た煉瓦の共演が、独特な世界観を造りあげる。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区倉敷アイビースクエア愛美工房の歴史を感じさせる建物
往時の建物を遺しつつ、ホテルや店舗などが入る複合施設に生まれ変わったアイビースクエア。重厚なレンガ造りのまわりには、紡績工場時代に付帯施設として使われていたであろう建物も。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区倉敷アイビースクエア工場の事務所として使われていた多目的ホールメタセコイアの洋館
現在結婚式場となっているこの洋館は、かつては工場の事務所として使われていたもの。ホテルやレストランにも往時の面影が残されているそうで、宿泊すれば近代化の風を感じられることだろう。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区西日に輝く夕刻の街並み
日本の近代化を支えた産業遺産に別れを告げ、再び江戸時代からの風情漂う街並みへ。情緒豊かな川沿いの道から、両側に白壁が迫る小路まで。思っていた以上に、美観地区は奥が深い。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区唯一の酒蔵森田酒造萬年雪白壁の続くなかで印象的な黒壁の建物
この街並みは、一体どこまで続いているのだろう。進むごとに表情を変える古き良き街を歩いてゆくと、白壁の続くなかで目を引く建物が。ここは美観地区で唯一の酒蔵、森田酒造。お店も併設されているため、これはまた時間をとって来なければ。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区統一感はあるがいい意味で雑多、商人が粋を競ったであろう美観地区の豊かな表情
街全体では統一感があるが、いい意味で雑多。僕にとって、これが初めてとなる美観地区の印象。縛られた統率の美ではなく、それぞれ異なる表情を魅せる個の連続。この街並みは、商人たちが粋を競い合って造られたに違いない。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区児島虎次郎記念館大正11年築の旧第一合同銀行倉敷支店
和の建築が並ぶなか、ときおり現れる洋風建築。威風堂々たるこの建物は、大正11年に旧第一合同銀行の倉敷支店として建てられたもの。現在は大原美術館の別館、児島虎次郎記念館として使われています。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区木造3階建てが目を引く林源十郎商店の重厚な建物
本当に、次から次へと豊かな表情が溢れてくる。白漆喰になまこ壁といった倉敷らしい建物の隣には、ひときわ目を引く木造3階建て。この建物は、製薬会社として昭和9年に建てられたものだそう。

5月中旬の瀬戸内倉敷美観地区白漆喰になまこ壁の土蔵造りが両側に迫る圧巻の光景
最近は、敢えて下調べせず旅先へ。ずっと来たいと思いつつ、名ばかりで全貌を知らずに訪れた美観地区。ちょっとこれは、想像以上に奥が深すぎる。縦横に走る小径、多彩な建築。ひとつひとつ見てゆくには、丸一日かかってしまう。

これはまた、都合の良い再訪の口実ができてしまった。傾く西日に夕餉の時間を察し、ひとまず美観地区の探検第一幕を閉じるのでした。

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懐かしく、そして未知なる瀬戸内へ。~讃備芸予を渡る旅~
5月中旬の瀬戸内17年ぶりのしまなみ海道高速バスしまなみライナー車窓から望む完成当時世界最大の斜張橋である多々羅大橋
2025.5 香川/岡山/広島/愛媛
旅行記へ
1日目(東京⇒高松)
●2日目(高松⇒琴平⇒岡山⇒倉敷)
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●3日目(倉敷⇒今治⇒松山)
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●4日目(松山⇒東京)
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