八重山の熱に灼かれつつ歩くこと30分ちょっと、コンドイビーチに到着。ちょっとこれ、今年もあおすぎやしないか。視界を埋め尽くす鮮烈な夏模様に、感嘆の声すら吹き飛んでしまう。
赤道に近いことを感じさせる陽射しに照らされ、目が痛くなるほどの白さに輝く砂浜。その太陽の力強さを受けとめ、無限のあおの層を魅せる海と空。この瞬間だけで、この一年間が報われる。
煌めく波の打ち寄せる、白砂の浜。その中から一点、好みの視座を見つけてシートで場所取り。シャツを脱ぎ捨て足を投げ出せば、寝かしつけていたはずの南国属性が一瞬にして目覚めてゆく。
脳天からつま先まで、容赦なくじりじりと照らす八重山の漲る太陽。そのあまりの質量に目を細めて天を仰げば、言葉にできぬほどの夏の色。
今年は半袖短パンになるのが遅くて、下地も全くできてないんだよな。そんなむき出しの肌に早くも危険を察知し、急いで飛び込む遠浅の海。心地よい波の揺らぎに抱かれたところで、プシュッと乾杯冷たいオリオン。
あぁ、今年も夏休みが来たな。喉へと流れる沖縄の爽快さを噛みしめつつ、ぼーっと眺める鮮烈な世界。真っ白な砂浜、夏の青空。ありえないほどの明度と彩度をした碧い海、その先には遠く横たわる蒼い石垣島。
2日目から、これ以上ないほどの全力の夏。ビール片手にそんな贅沢な休日を彩るのは、僕の大好きしまじりストアのおにぎり。いつもはじゅーしーを買っていましたが、今日はポークたまごのみそ。ほどよい塩気のスパムにやさしい玉子、コクのあるみそがご飯と海苔にばっちりの旨さ。
今年初となるしまじりストアの安定の味にお腹も心も満たされ、大満足で揺蕩う午後。海と浜辺の往復を愉しんでいるといつしか潮も引きはじめ、沖に姿を現す白い砂州。
先に偵察に行ってきた相方さんがもう渡れるというので、交代で行ってみることに。そういえば、PEN君とともに八重山を訪れるのは今夏が初。絶対にこけるわけにはいかない。そんな緊張感のもと、カメラを掲げてゆっくりと海原へと踏み出します。
一番深いところでもひざぐらいまでですが、足元に凹凸や海藻が繁茂している場所があるため要注意。慎重に歩いてゆくと、ある一点を過ぎるとあきらかに海の色が変化。
その涼やかな色味に視線を落とせば、浜辺とは一線を画す透明度の海。海面の揺らめきにより、刻一刻と表情を変える水紋の輝き。自然の織り成すあまりの繊細なうつくしさに、辛うじてこびりついていた現実感などはるか彼方へと消え去ってゆく。
どこか他人事のように、夢見心地で上陸する白い砂の島。これを地上の楽園といわずして、一体何というのだろう。
遮るもののない、沖合に生まれたばかりの島。吹き渡る強い海風に、たただただ立ち尽くして身を委ねるのみ。
聞こえるのは、耳を駆け抜けてゆく風と波の音だけ。その清涼な音色を浴びつつ遠くを見れば、小浜に西表、嘉弥真の島々を浮かべるみんさー色の海。
いつもは雲を頂きがちな石垣島も、今日はその姿を惜しげもなくくっきりと。これまで何度も訪れたけれど、底知れぬこのあおさはもしかしたら過去イチかもしれない。
風に吹かれて佇めば、夢と現の境界すら溶けだしてしまう。信じられぬほどの鮮烈な総天然色に、日々のあれこれなど一瞬にして漂白されてゆく。しつこいようだか、35歳でこのあおさと出逢えなかったら。僕は、自分の人生の中に今ほど豊かな色味を見いだせていただろうか。
ベタだけれど、いとも簡単に人生観が変わってしまったあの旅。それ以来重ねてきたこのあおさとの逢瀬にまた新たな一頁を刻み込み、そろそろビーチへと戻ることに。
それにしても、今日は本当に鮮やかすぎた。空も青、海も碧く、島影も蒼。梅雨も明け最上級の漲るあおさに、ちょっとばかりはしゃぎすぎたと後悔。名残惜しくも、今日のところはコンドイビーチに別れを告げることに。
初日からやっちまった感を肌に宿しつつ、気怠く歩く海帰り。強烈な日射に絆されそうにはなるけれど、木陰に佇めば涼しい風が全身を撫でてゆく。
随所随所で涼を取り、意を決して再び炎天下へ。夏模様の借景となる白い雲すらない眩い青空、その強烈さにこころまでもが灼けてくる。
旅の序盤から全力疾走を始めてしまった、僕の夏休み。いつもは自転車で元気に駆け巡っている観光客も、今日は駐輪場の東屋やカフェで休む姿が。そんな陽気だからか、なごみの塔にも珍しく人影もなし。
大汗を掻きつつ、さんぴん茶を飲み干したどり着いた竹富港。外のベンチに腰掛け、とりあえずの小休止。陽射しの遮られた風の涼やかな空間、そこから目を細めて眺める眩しさとの鮮烈な対比。
冷房の効いたターミナル内の待合室で待つことしばし、そろそろ船の時間に。去年危うく満員で乗れないという経験をしたため、遠くに船が見えたところで桟橋へ。帰りも『安永観光』のうみかじに乗り、石垣島へと戻ります。
今夜もいけないアレを決行しようと、ホテルへは直帰せずバスで平得方面へと向かうことに。バスまでの時間、ターミナル内の『七人本舗』でマリヤシェイクを購入。今回も、もちろん泡盛味。下にた~っぷりと泡盛の原液が隠されているため、よくよく混ぜていただきます。
ずずっと吸い込めば、まずガツンとくる泡盛のアルコール感。その麹の風味と軽やかなミルク感が相性抜群で、この味を知ってしまうと泡盛なしのシェイクなんて飲む気がしなくなるほどの中毒性。買うときに確認がありますが、子供やドライバーは飲めないので要注意です。
離島ターミナルから4系統のバスに乗り、建て替わったばかりのサンエーやなじみのマックスバリュをはしごしお買い物。再びバスでホテルに戻り、まずはドリンクラウンジのオリオンサザンスターで喉を潤します。
まだ明るいけれど、そろそろ始めちゃおうか。そう広げる、平得での戦利品。スーパーとは思えないもっちもち新鮮な石垣産の生かつお、ふるりと口どけのよいさっぱりとしたジーマーミー豆腐。天ぷらや八重山焼きそばも泡盛とよく合い、ときおり頬張るじゅーしーの優しいおいしさが日焼け疲れに沁みてくる。
八重山の泡盛をちびりと含みつつ、ぼんやり眺める夕刻の空。外は湿気もないし涼しくなってきたからと、エアコンを消して網戸に。呼吸するかのように揺れるカーテン、今日一日の海での記憶を宿す洗濯物。こんなのもう、住む練習だよ。
昨日に引き続き、手を染めてしまった禁断の時間。いつかはと願ってしまう島での暮らしを、こんな形で齧ってしまったら。きっと今年は、危険な旅になる気がする。だってそれは、2日目にしてもうすでに八重山に満たされてしまっているのだから。
ゆるゆると泡盛の酔いに揺蕩い、ぼんやり眺める灼けた足。今年の八重山は、いろいろな意味で強烈だな。しょっぱなから全力で浴びた愛する島の夏に、早くもそんな予感にこころを震わすのでした。
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