塩原那須甲子自噴泉めぐり ~湯にけむる、名残の冬。3日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

塩原那須甲子自噴泉めぐり ~湯にけむる、名残の冬。3日目 ①~

雪に埋もれた二岐温泉柏屋旅館露天風呂への道 旅の宿

雪に埋もれた二岐温泉で迎える、静かな朝。肌を刺すような冷たい空気の中、雪の回廊を露天風呂目指して進みます。この凛とした、純白の世界。空気も、気温も、景色も、全てが自分を洗い流してくれるかのよう。

晩冬の二岐温泉柏屋旅館湯けむりの露天から眺める雪景色

思い切って浴衣を脱ぎ、ゆっくりと温かい湯の中へ。まだほんのりと残っていた眠気が、湯けむりと共に頭の中から立ち去ってゆきます。

至福。感情を表す言葉は数々ありますが、こんなモノクロームの世界でたった一人、お湯に浸かっている瞬間を表すには、これほど適切な言葉はないでしょう。思い描いていた、素朴な雪見風呂。理想が現実となった今、これを存分に味わわない手はありません。

二岐温泉柏屋旅館朝食

水墨画の世界に身を溶かした後は、お待ちかねの朝ごはん。目を引く大きな塩鮭にぜんまいの炒め煮、手作りの玉子焼きなど、シンプルかつ美味しい朝ごはん。静かな雪景色を見ながら食べる素朴な朝ごはん。この時期の旅先でしか味わえない贅沢です。

初めて訪れた二岐温泉。岩の間から自噴する大地の恵みは、無色透明の姿とは裏腹に、力を感じさせてくれるとても良い温泉でした。

そして河原の露天風呂。温泉と自然の景観が造り上げる、露天風呂の理想形のひとつとも言える環境に、今一度雪の美しさを思い知らされました。

このタイミングでここへ来ることができて、本当に良かった。そして、そう思わせてくれる一夜を過ごさせてくれた柏屋旅館に感謝をし、この地を去ります。

味のある白河駅

帰りも宿の車で新白河駅まで送っていただき、そこから東北本線で一駅の白河駅で下車。次の宿の送迎バスまで、この白河の街をのんびり散歩します。

出迎えてくれたのは、立派な木造の駅舎。大正ロマンを思わせるその姿は、まさに停車場を体現したかのような威厳を漂わせます。

現在は新幹線の停まる新白河駅が玄関口となっていますが、新幹線開通までの長きに渡り、東北本線における白河の玄関口として活躍を続けてきました。

白河小峰城

白河駅のプラットホームに降り立つと、まず眼に入るのがお城の姿。早速そのお城へと向かってみることに。

冬の冷たい雨を落とす空と、白いお城と塀。白河小峰城は戊辰戦争で焼けてしまったお城を、平成の世に再建したお城。特に木造での天守閣復元はここが最初だそうで、使用された木材も戊辰戦争の舞台となった地の杉を使っているそう。

白河小峰城立派な石垣

大震災の影響で石垣が崩れてしまい、残念ながら現在は内部は立ち入り禁止。お堀の外側からその雄姿を眺めます。

特に目を引くのが、延々と続く立派な石垣。無数の石が隙間なく緻密に積まれたその美しさに見入ってしまいます。そんな石垣が、どこまでも、どこまでも、周囲をぐるりと囲んでいます。きっと相当大きなお城だったことでしょう。

古き良き建物が残る白川の街並み

立派なお城を跡にし、城下町の歴史を感じさせる白河の街並みを、当てもなくのんびり歩きます。街の中には、古き良き建物がちらほら。

和洋新旧の共存する白川の街

蔵や洋館など、年代も様式も様々な建物が、街の中に溶け込み点在しています。今日は生憎の雨空ですが、そんな冬の空もまた、街の表情を彩る色彩のひとつ。

白河の商店街

街をぐるっと回り商店街へ。和菓子屋さんや薬屋さん、酒蔵や荒物屋さんなど、色々なお店と建物が並ぶ商店街。

統一感のあるきれいな商店街より、僕はこんな昔ながらの所謂商店街の街並みが好き。お店が扱う品が違うように、お店の外観も違って当たり前。その多様さが、商店街のような気がします。

奥州街道白川の街

ひと口に商店街と言っても、アーケードや闇市風のものまで様々。今歩いているこの道は、奥州街道に沿って古くから栄えてきた中町という商店街。

街道筋らしく、2車線の広い通り沿いに、古くからの歴史ある建物が並んでいます。そしてそれらの大きさもまた立派。奥州街道の白河宿、城下町の風情をほんのりと感じさせてくれます。

白河駅そば大福家

雨脚が強まり、おなかも丁度空いたのでお昼にすることに。白河と言えば麺の街。昨日はラーメンを食べたので今日はお蕎麦にしようと、駅前にある『大福家』にお邪魔することに。

白河駅そば大福家にしんの棒煮

列車の時間までは少し余裕が。そうとくれば、そば屋で昼から一杯ひっかけてやりましょう。おつまみにと注文したのは、にしんの棒煮。会津で良く見るメニューですが、やはり山深い中通地方でも食べられているのでしょうか。間違いない旨さです。

白河駅そば大福家で昼酒

もちろん合わせるのは、福島の地酒。程よい甘辛さと、乾物にされ凝縮されたにしんの旨味をさらりと流してくれ、この組み合わせならばいくらでも飲めてしまいそう。

新鮮な海の幸、山の幸もいいけれど、昔ながらの智恵で美味しく調理された乾物の持つ、歴史の重みを感じさせる旨さもまた、いいものです。

白河駅そば大福家ざるそば

しみじみとした福島の美味をのんびりと味わい、ちょうど一杯を飲み終わったところでざるそばを。黒い田舎そばを勝手にイメージしていましたが、きれいなおそばが運ばれてきました。

見た目通りに喉越しがよく、つるっとしたコシのある美味しいおそば。つゆは一見濃そうに見えますが、すっきりとしていてこのおそばと良く合います。やっぱり東北はおそばが美味しいですね。

東北本線の歴史を感じる白河駅長大ホーム停車場の風情

行き当たりばったり、雨の中の白河散策も、美味しいおそばで〆て終わり。再び送迎バスの待つ新白河へと向かいます。

白い木の上屋と、遠くまで伸びるプラットホーム。そこに佇み雪の残る構内を眺めれば、在りし日の賑わいが聞こえてくるかのよう。

新幹線が開通するまで、毎日毎日、いくつもの列車が往来した東北本線。ここ白河駅は、東北に入って最初の大きな停車場。これから東京へ向かう人、これからみちのくへ帰る人。様々な人々を乗せた長大編成を、黒々としたSLが煙を吐きながら牽引して入線する。

この長いプラットホームの一杯を使って、こんな光景が長きに渡り繰り返されて来たに違いありません。新白河の新幹線ホームには決して醸すことのできない、旅情と郷愁の詰まった風情。久々に、○○本線の「本線」の意味と、それが薄れゆく現実を感じさせる風景に出合いました。

小さなタイムスリップを楽しんだ白河歩きの後は、この旅最後のあの宿へ。つい数年前までどん詰まりだった秘湯へと、期待がどんどん膨らみます。

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塩原那須甲子自噴泉めぐり~湯にけむる、名残の冬。~

二岐温泉柏屋旅館露天風呂からか眺める銀世界
2014.3 栃木/福島

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●1日目(東京⇒塩原温泉)
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●2日目(塩原温泉⇒二岐温泉)
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●3日目(二岐温泉⇒甲子温泉)
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●4日目(甲子温泉⇒那須湯本⇒宇都宮⇒東京)
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