石垣島で迎える鮮やかな朝。窓から流れこむ眩しさに外へと出れば、7時過ぎというのにもうこの絶好調な青空。今日も暑くなりそうだ。灼けすぎた肌を心配しつつ、朝食会場へと向かいます。
今日もおいしそうな品々がずらり。昨日とは献立も変わっていたため、今朝もご飯とおかずスタイルで愉しみます。まずは魚のお味噌汁から。ひと口啜れば、ふわっと広がる濃い魚のだし。それでいて臭みはなく、ホクホクとしたまぐろもまたおいしい。
しゃきしゃきの食感が嬉しいパパイヤチャンプルーに、優しい味付けの豆腐チャンプルー。石垣牛のローストビーフにはしょう油ベースのソースを合わせ、よりご飯を進めてくれる味わいに。
お刺身は、今回初めて食べる琉球スギ。最近近所のスーパーでもよく目にしていたので、どれどれと興味津々で口へ。コリっとした歯ごたえとともに広がる、脂の甘味。沖縄の魚にしてはだいぶ脂のりが良い方ですが、まったくクセはなし。これは旨い。沖縄の魚はなぜこうも臭みがないのだろう。毎度のことながら、不思議になる。
ご飯をおかわりし満腹ではありますが、八重山へと来たら食べたいブルーシールアイスをちょっとだけ。今朝出されていたのは、島パインココナッツ。パインの爽やかな甘酸っぱさにココナッツが香り、ひとさじで口の中にふわっと南国感が吹き渡る。
大満腹大満足で自室に戻り、冷房の効いた部屋でのんびりごろごろ。しょっぱなから灼けすぎたため、今日は海はおあずけ。良き時間になったところで、早めのお昼を食べるため『来夏世』(くなつゆ)へと向かいます。
おととし覗いたときは待ちが多く断念しましたが、今日は時間も早いためか無事にすんなり入店。窓から吹き込む涼しい島風に吹かれつつ待つことしばし、八重山そばの小が運ばれてきます。
まずは澄んだおつゆから。うわぁ、やさしい。これは沁みる旨さだ。豚ベースにふわっとかつおの薫るおだしはものすごく穏やかで、これはもうまさに飲む点滴。お腹に届く前に、すっと体へと浸透してゆく。
続いて丸麺を。ぷりんと弾けつつ、わしわしとした八重山そばならではの食べごたえ。そばを頬張ってはおつゆを啜り、そんなことをしているとあっという間に食べきってしまいそう。
ふと我に返り、慌てて卓上のピィヤーシをひと振り。すると一気に開花する南国感。辛味より、独特の香りが広がる島胡椒。これこそが、八重山そばを八重山そばたらしめているに違いない。
続いて、コーレーグースをちょろっと。泡盛の華やかな風味に、島唐辛子の潔い辛さ。それがやさしいおつゆに溶け込み、それまでとはまったく違う食べ物に。
朝ごはんを食べすぎたから小にしたけれど、やっぱり中でもよかったかな。おつゆの最後の一滴まで平らげ、大満足でお店を後にします。そのまま海方面へと坂を下り、相方さんのリクエストで市街地に程近い桃林寺へ。
このお寺は日本最南端の禅寺で、八重山では最古の寺院だそう。夕飯の後に何度か前を通ったことはありましたが、お参りするのは初めて。こうして毎年愛する島へと帰ってこられることのお礼を伝えます。
お参りを終え、木陰のベンチで休むひととき。爽やかな風に吹かれ眺める、緑豊かな境内。沖縄らしさを感じさせる濃い植生、独特な表情を魅せる赤瓦葺きの鐘楼。当たり前のことだが、同じお寺でもやっぱり僕の知っているものとは違うんだよな。
荘厳さのなかにも南国感漂うお寺を後にし、『ゆらてぃく市場』へ。ここは数々の農畜産物をはじめ、お弁当やお刺身なども売っている滞在者にはうれしいお店。店内あれこれ見て回り、島バナナと島にんにくを買って帰ります。
包丁を借りたり洗うスポンジや洗剤を用意するのが面倒だから手を出さないが・・・。今泊まっている部屋だと、料理もできちゃうんだよな。
そんな危ない妄想をなんとか振り切り、ゆらてぃく市場からユーグレナモールへ。その手前の道路に施された、ミンサー柄の青い舗装。初めてこの島を訪れたとき、あふれる南国感に感動したことが懐かしい。
アーケードに並ぶお土産屋さんで送るものの目星をつけ、ホテルへと戻ることに。その道中、バスの車窓から見つつずっと気になっていた『さよこの店』にお邪魔することに。
ドリンクラウンジでアイスコーヒーをもらい、畳に座ってほっと一息。昨日急激に灼けた分、ちょっとした外出でも肌がヤバい。カップの冷たさで脚や腕を癒しつつ、まだ温かいサーターアンダギーを食べることに。
僕が選んだのは、プレーンとヨモギ。ひと口頬張ると、これまで食べたサーターアンダギーよりもふわっとしっとり。甘味もほどよく、ヨモギの若い香りがまた堪らない。毎年暑さにやられてほとんどサーターアンダギーを食べてきませんでしたが、これはもったいないことをしたかも。
おいしいおやつに満たされ、ちょっとばかりお昼寝。回を重ねるごとに、あれこれ欲張りが減ってゆく。そんないい意味でだらりとした島時間を過ごしていると、もう夕食の時間に。去年訪れておいしかった『もみだれ辛ホルモン獅子楼石垣島店』に、今年もお邪魔します。
冷たいオリオンで乾杯し、まずは自家製もずくキムチを。つるつるぷるぷるとしたもずくに絡む、程よい辛さと旨味のあるヤンニョム。お酒のあてにももちろんだが、白いご飯にもばっちりの旨さ。
そしていよいよ、焼いていくことに。八重山の経産牛ブランドであるやいま牛の頬肉を薄くスライスした、やいま牛5秒焼きツラミ。その名の通り両面をさっと炙って噛みしめれば、適度な歯ごたえとともに広がる濃い肉の旨味。毎度のことながら、ツラミの旨さにはやられっぱなし。
続いて注文したのは、この3皿。今夜はビールよりも白いご飯と心に決めてきたため、ここでジョッキから大ライスにバトンタッチ。
肉厚のハラミは噛むほどに赤身の旨味が染みだし、特製の赤もみだれで和えられた様々な部位のホルモンも魅惑の旨さ。ぱきっとしたあぐーソーセージからは肉汁が溢れ、ご飯がどんどん消えてゆく。
さらに追加したこの2品。やいま牛カルビはしっかりとした肉々しさがあり、辛い赤もみだれに負けない牛の味わい。薄切り上ミノはさくっと歯切れがよく、ほどよい塩加減から染み出る滋味が堪らぬ旨さ。
いやぁ、今年も旨かった。だけどライスの大は、やりすぎたな。ぱつぱつになったお腹を抱え、苦しくも上機嫌で歩く街。時刻はもう19時半。それなのに、まだこんなに明るい。
自分の住む街から、南西へとはるか二千キロ。おととい昨日と夜はホテルで過ごしたため、時間軸の違いを体感するのはこの旅初。毎年のことながら、この差には驚いてしまう。ようやく石垣時間に体内時計が合わさり、愛する島にいるという実感がより深まるのでした。
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