会津若松定刻発車!発車後しばらくは会津盆地の田んぼと山々を眺めながらの、のんびりした旅となります。もちろん汽車旅にはビール。欠かせません。
喜多方を過ぎると、会津盆地に別れを告げ、盆地を取り囲む山へ挑み始めます。磐越西線は喜多方から先は電化されていないので、ここからがSLの本領発揮です。
ついに阿賀川が姿を現しました。海までまだまだ距離があるにもかかわらず、穏やかな大河として横たわっています。
黒煙越しに景色を見る、これもSLの醍醐味。僕は今年も先頭車両を指定しました。
カーブでSLを見るなら後ろの方がいいのですが、走行中の蒸気の音、迫力ある汽笛を楽しむなら先頭に限ります。
SLに直接引っ張ってもらっているという感覚もなんとも言えずいいものです。
今回のSL乗車の目玉の一つ、車内で地酒を楽しむことに。開けたのは会津の花春酒造、「花春 純米酒」。
とろりと口当たりが良いお酒で、心地よい甘みを感じます。喉を通過するとガツンとアルコールが抜ける、これぞ純米酒!というお酒。
土地の旨い地酒を飲みながらほろ酔い気分で景色とSLを体感する・・・。これは単なる鉄キチには味わえない、大人な鉄道の楽しみ方。
僕には鉄道旅行のポリシーがあり、列車に乗るためだけに旅行をしたくはないのです。
入りたい温泉があり、食べたい名物があり、飲みたい酒がある。そこに行くために鉄道があるのです。
せっかく行くなら、移動も楽しいものにしたい、移動そのものも観光の一部にしたい、だから鉄道を使うのです。
車窓には阿賀川が寄り添っています。磐越西線はその阿賀川を鉄橋で何度も渡ります。美しいアーチ橋も車窓のまたいいアクセント。
磐越西線の歴史は古く、明治時代から現役の煉瓦隧道や鉄橋の数々を通過します。そこをSLが走る姿は、まるでここだけ時が止まったよう。
しばらく山道を駆け抜け、野沢駅で小休止。10分ほど停車します。停車時間を利用して記念撮影や、運転台の見学もできます。
夕方へ向かう西日を受けて、SLは光り輝いています。山間の小さな集落を、SLの吐いた煙と蒸気の音が包みます。
車窓からこんな古きよき集落の姿を目にすることができました。この景色はSLが現役で走っていた頃となにも変わっていないような、そんな風景です。
新潟県に入り、阿賀野川と名を変えた川は、更に大きく広く悠々と流れています。西日を反射する川面がきらきらと揺れています。
そして2度目の長時間停車、津川駅でまた10分ほど停まります。ごらんのような木の電柱、めっきり見なくなりました。
津川駅では給水を行います。SLって、なんか人間味があるんです。
山を登るときの気合を入れるかのような黒煙、停車中には足元から蒸気を噴き出し、息を整えているかのよう。そして山を越えて水を飲む。
たくさんの乗務員に手を掛けられて頑張って走る姿は、今のハイテク電車には無い「人間臭さ」があります。
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