想い叶って花山へ ~春へと移ろうみやぎ旅 5日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

想い叶って花山へ ~春へと移ろうみやぎ旅 5日目 ②~

3月下旬仙台仙石線の始発駅あおば通駅 旅行記

善治郎で溺れた至極の口福を惜しみつつ、次なる目的地へと移動することに。これから目指すは、好きな神社の待つあの港町。そこへの足となる仙石線に乗るため、あおば通駅へと向かいます。

3月下旬仙台仙石線始発駅のあおば通駅に停車中の国鉄型205系松島海岸行き普通電車
仙石線の仙台駅は、駅の東側の深い地下。そのため、西口から利用するならこの駅が近くて便利。さらに始発なので座れるのも嬉しいところ。

今年の冬には、新型が投入されることが決まったこの線区。慣れ親しんだ通勤電車の活躍に触れられるのも、もしかしたらこれが最後の機会になるのかもしれない。

3月下旬春の青空に染まる本塩釜駅
高校の時、毎日毎日通学で揺られた山手線や埼京線。今なお宿る当時の空気感にしみじみと感じ入ること30分、電車は本塩釜に到着。久々の訪問に、嬉しさとともに懐かしさを噛みしめます。

3月下旬春の青空に染まる塩竈モダンな蔵の建つ太田屋輿八郎商店
北側に位置する神社参道口を出て、ロータリーに面した大通りを左へ。道沿いには、木造家屋や蔵といった歴史を感じさせる建物が点在。ここが鹽竈神社の門前町として古くから栄えてきた歴史を、今へと伝えています。

3月下旬うららかな塩竈鹽竈神社参道沿いに建つ銘酒浦霞醸造元の塩竈石を使った重厚な蔵
渋い佇まいの味噌蔵の向かいには、これまた目を引く重厚な蔵。地元産の塩竈石で建てられたこの酒蔵は、銘酒浦霞の醸造元。そうか、ここがあの旨い酒のふるさとだったのか。そう考えると、途端にあの味を欲してしまう。

3月下旬うららかな春空の下佇む陸奥国一之宮鹽竈神社
あと数時間後には、お寿司相手に呑めるはず。ひとまずここは我慢と決め、眩い春の陽射しに目を細めてその先へ。うららかな陽気にすっかり汗も滲んだところで、久々の再訪となる鹽竈神社に到着。

3月下旬うららかな塩竈春の陽気のなか見上げる鹽竈神社の急な石段の表参道
創建は定かではないものの、少なくとも平安初期にはその名が残されているという歴史ある神社。陸奥国一之宮、そして東北鎮護として、古くから多くの人々の信仰を集めています。

3月下旬春の塩釜春の陽気のなか汗ばみながら登り詰める鹽竈神社の表坂202段の急な石段
前回ここを訪れたのは2016年のこと。あのとき僕はまだ三十半ば。四十代となった今、目の前に立ちはだかる表坂と対峙し背筋を伸ばす。一歩一歩踏みしめ202段。確かに息切れはするものの、登り詰めたときの爽快感はあの頃よりもはるかに深い。

隋身門
そんな強がりを言いつつも、やはり時の流れを感じずにはいられない。上がった息を必死に落ち着けたところで、荘厳な隋身門をくぐります。

3月下旬春うららの鹽竈神社愛らしい眼をした撫で牛
お参りする前に、まずはあの撫で牛に逢いにゆくことに。曇りなきつぶらな瞳、優しい笑みをこぼすその表情。本当に、この牛さんは愛らしい。

3月下旬春うららの鹽竈神社丸っこい形の愛嬌ある狛犬と荘厳な門
かわいい撫で牛との再会を果たし、いよいよお参りを。やわらかな春の青空に映える、朱塗りの門。その優美さに目を奪われますが、その手前にはこれまた愛嬌のある狛犬が。奉納されて以来280年近くもの間、神社を護り幾多もの参拝者を出迎えています。

3月下旬春空に佇む陸奥国一之宮東北鎮護鹽竈神社
震災の年の8月に初めて訪れて以来、幾度かお参りした鹽竈神社。前回はついこの前のように思えたけれど、気づけば9年近くも経ってしまった。そんなご無沙汰のお詫びと再訪のお礼を、荘厳な社殿に伝えます。

3月下旬春の淡い青空に佇む志波彦神社
武運と海の神様を祀る鹽竈神社を後にし、すぐ隣に鎮座する志波彦神社へ。このお社に祀られる志波彦大神は、農業や殖産、国土開発の神様だそう。昭和期にこの地へと遷座して以来、鹽竈の神様とともに海と陸の両方を見守り続けています。

3月下旬うららかな曽良の下佇む志波彦神社の極彩色の拝殿
鮮やかな朱塗りに金の装飾、白壁といった鹽竈神社に対し、朱と漆黒の対比が印象的な志波彦神社の拝殿。地の神様らしさを感じさせる重厚な佇まいに、9年ぶりの想いを伝えます。

3月下旬春の陽気に包まれた志波彦神社鹽竈神社神苑越しに望む青い海
神苑越しに望む、人々の暮らし息づく塩竈の街。その先には春の海が穏やかに煌めき、それら全てを包み込む広い空のうららかさ。お参りを終えた空っぽの胸に、このあまりの清爽さが流れ込む。

3月下旬春空の鹽竈神社境内に咲く満開の四季桜
ここから眺める海、好きなんだよな。これまでで一番の青さを胸へと灼きつけ、そろそろ港へと向かうことに。その道中、博物館の前には見事な枝ぶりの桜が。まさに満開を迎えたこの四季桜は、秋から春にかけ二度開花するのだそう。

3月下旬うららかな鹽竈神社貴賓館の前に咲き誇る鮮やかな菜の花
東京でも開花の気配すらないこの時期、思いがけずの桜にすっかりこころも春色に。穏やかな陽気も手伝いゆるりとのんびり歩いてゆくと、今度はあたり一面を鮮やかな黄色に染める菜の花が。

3月下旬うららかな鹽竈神社春の青空に映える満開の艶やかな紅梅
めくるめく花の競演にため息をもらしていると、春の青空にくっきりと映える紅梅が。目の覚めるような対比の妙、艶やかな花弁が放つ次の季節を目指す力強さ。春夏秋冬様々な良さはあるけれど、生命力というものを一番強く目の当たりにできるのはこの季節に違いない。

3月下旬うららかな鹽竈神社春空に咲く梅と菜の花、春という概念を凝縮したかのようなうつくしさ。
栗駒山に抱かれた花山から、太平洋の息吹を感じる塩竈へ。宮城県内を移動したこの数時間で、季節が二分の一個分、進んでしまった。

今朝まで残雪の地にいたのが、なんだか幻のように思えてくる。半日で浴びた春へと移ろう活劇に、改めて日本の広さ、厚み、そして四季のもつ豊かさにこころを動かされるのでした。

想い叶って花山へ~春へと移ろうみやぎ旅~
3月下旬残雪の花山温湯温泉佐藤旅館夕暮れ迫る部屋
2025.3 宮城
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1日目(東京⇒仙台)
●2日目(仙台⇒温湯温泉)
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3日目(温湯温泉滞在)
4日目(温湯温泉滞在)
●5日目(温湯温泉⇒仙台⇒塩竈⇒松島⇒仙台⇒東京)
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