あの航跡に逢いたくて ~海路を紡いで越前へ 3日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

あの航跡に逢いたくて ~海路を紡いで越前へ 3日目 ①~

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行きフォワードサロンから望む朝日に輝く海と船首 旅行記

6時過ぎ、船上で迎える穏やかな朝。やっぱり船は、よく眠れる気がする。昨日は23時前にすとんと寝てしまったので、すっきりとした心持ちで目覚めます。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き船首を望む静かなフォワードサロン
4階に設けられたフォワードサロン。エンジンから遠いため音や振動もなく、静寂の中眺めるこの船の行く手。きっと船長も、同じような景色を見ている。そう思うと、年甲斐もなく高揚してしまう。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き朝日に照らされ輝くファンネル
船首を照らす朝日を眺めていると、まもなく姉妹船のゆうかりとすれ違うとの放送が。船首から長い長い廊下を進み、船尾まで。こうして歩くと、船の大きさを改めて実感。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き朝日に照らされ黄金色に輝くべた凪
それにしても、昨日から今日にかけて驚くほど全く揺れない。朝日に照らされ黄金に輝く凪いだ海が、今回の航海の穏やかさを物語る。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き6:45頃に秋田沖で姉妹船ゆうかりと反航
うっすらと秋田の地が見える左舷から右舷側へと移動すれば、もうすぐそこにゆうかりの姿が。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き秋田沖で姉妹船ゆうかりと反航しお互い汽笛を鳴らしエールを送り合う
お互い時速40㎞/hで接近する姉妹船。あれよあれよという間に船影は大きくなり、ゆうかりのデッキに立っている人の影も見えるほどの距離感に。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き秋田沖で姉妹船同士の再会を終え、再びそれぞれの目指す地へ
北の大地を目指すゆうかりが汽笛一声高らかに、それを受けて大音量で答えるらいらっく。お互いの航海の安全を祈り、姉妹間で交わされるエール。理屈抜きで、航海の持つ情緒というものが胸へと沁みる。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田沖で姉妹船ゆうかりと再会し再びそれぞれの行き先を目指す航海へ
汽笛と煙の余韻を残し、それぞれの針路を行く姉妹船。船旅でしか味わえぬ旅情に身を焦がし、小さくなりゆくその姿をただいつまでも見送るのみ。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き秋田沖航行中にデッキで味わうセイコーマートのおにぎりの朝食
あっという間の出来事だったな。未だ耳に残る汽笛の温もりを噛みしめつつ、爽やかな風の吹くデッキで朝食を。短かった北海道滞在を偲ぶべく、セイコーマートのおにぎりを味わいます。

それにしても、セコマのおにぎりはお米が旨い。具もおいしいし、山わさびはちゃんと辛い。近所にないのが悔やまれるが、だからこそ北海道に行った時の特別感を噛みしめる。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行きデッキから眺める秋田港への入港風景
おいしい朝食の余韻に浸りぼんやりしていると、先ほどまで遠くにかすんで見えた風力発電と防波堤の姿が。どうやら、もう秋田港内へと入ったらしい。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行きデッキから望む秋田港の貯木場に積まれた杉の量に圧倒される
明らかに速力を落とし、ゆっくりと港内を行くらいらっく。岸壁には圧巻の量の杉が積まれ、さすがは秋田だと感心してしまう。秋田、杉が過ぎるぞ。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き大きな船体を器用に回頭させまもなく秋田港に接岸
らいらっくはその大きな体を器用に回し、船尾からゆっくりと岸壁へ。だんだんと近くなりゆく港の風景、それに伴い動きはじめる甲板員。ひとつの船を動かすために、多くの人々が携わっていることが伝わります。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き秋田フェリーターミナルに掲げられた祝就航25周年の文字
ゆっくりと、着実に近付く秋田の地。秋田航路就航25周年を祝うポスター越しに垣間見える、出迎えやこれから乗船する人々の姿。大海原を自由に切り拓く建造物には、人を魅了する力があるのだろう。苫小牧で僕がそうしたように、皆一様に船へと熱い視線を送っている。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き1時間の秋田港滞在を終え新潟港に向け出港
吐き出されてゆく旅客と車をデッキから見送り自室へ。ちょうど清掃の方々が乗り込むところで、手際よく各所をきれいにしてくれる。接岸から離岸まで、あっという間の1時間。貨客の積み下ろしから清掃までをこの短時間で終わらせ、定刻で出港する迅速さに感嘆してしまう。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き眠るでもなくぼんやりと寝床に転がる船上の自由という甘美な贅沢
さらば秋田、半月後に再会しよう!多くのかもめに見送られつつ秋田の地に別れを告げ、再び自室に戻りのんびりごろごろ。眠るわけでもなく、ただ転がっているだけ。そんな甘美な怠惰こそ、船上で与えられた自由そのもの。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き旅の折り返しコインランドリーで洗濯し後半に備える
寝台でだらだら過ごしていると、回していたコインランドリーが出来上がり。旅の荷物を半分に減らしてくれる、フェリーならではのありがたい設備。こうして洗濯物を畳んでいると、ずっとこうして暮らしていたいと良からぬ妄想が。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き湯上りに航跡を眺めつつ味わう冷たいビール
ふと思い立ち、すでに営業を開始している大浴場へ。洋上での湯浴みという至福の非日常にこころまで火照り、甲板へと出て味わう冷たいビール。青く染まる航跡、それを飽くることなく見つめながら噛みしめる爽やかな苦み。この瞬間を味わいたいがために、こうして僕は船に乗る。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行き予定より少し早くランチ営業を開始したレストランタヒチへ
寝床でうつらうつらビールの余韻に揺蕩っていると、レストランがランチ営業を開始したとの放送が。朝昼夜とそれぞれ1時間程度の営業のため、時機を逃さぬよう早速タヒチへと向かいます。

7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田新潟経由敦賀行きレストランタヒチで味わう三元豚ロースカツカレー
予約制のグリルやレストラン、カフェと食の愉しみを提供してくれる新日本海フェリー。レストランも朝昼晩とメニューが変わり、さらに就航地のグルメも提供されているためメニュー選びに悩んでしまう。

新潟のふのりそばも魅力的だし、知床塩ラーメンも旨そうだし。いや、でもやっぱりコレ!と意を決して頼んだのは、三元豚ロースカツカレー。なんだか船のカレーって、無性においしそうに見えるのです。

しっかりと厚みのあるカツをスプーンで割り、ルーとご飯とともにひと口。あ、これにして正解だわ。とんかつはさっくりと揚げられ、カレーは甘さやコクの中にきちんとスパイシーさを感じる味わい。ご飯もふっくら甘く、船上でこれがこのお値段でいいの?と嬉しくなってしまう。

7月中旬新日本海フェリー秋田新潟経由敦賀行きレストランタヒチから眺める甲板越しの海原
バイキング形式が多いフェリーのレストランですが、好きなものを選ばせてくれる新日本海フェリーに心底惚れてしまう。交通機関としての実直さを感じさせる船内もさることながら、旅の愉しみに欠かせない食が充実しているからこそ、何度も乗りたくなってしまう。

甲板越しの海原を眺めながら、おいしいカレーを味わうひととき。あぁ、幸せだな。そう素直に思わせてくれるらいらっくとの豊かな逢瀬に、僕の恋心は一層深まるのでした。

あの航跡に逢いたくて~海路を紡いで越前へ~
7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田沖で姉妹船ゆうかりと再会し再びそれぞれの行き先を目指す航海へ
2024.7 茨城/北海道/福井
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1日目(東京⇒大洗⇒商船三井さんふらわあ)
●2日目(商船三井さんふらわあ⇒苫小牧⇒新日本海フェリー)
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●3日目(新日本海フェリー)
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●4日目(新日本海フェリー⇒敦賀⇒福井⇒東尋坊⇒芦原温泉)
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●5日目(芦原温泉⇒丸岡⇒永平寺⇒福井⇒東京)
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