あの航跡に逢いたくて ~海路を紡いで越前へ 5日目 ③~ | 旅は未知連れ酔わな酒

あの航跡に逢いたくて ~海路を紡いで越前へ 5日目 ③~

7月中旬の福井永平寺バス停から特急永平寺ライナーで福井駅へ 旅行記

永平寺に宿る凛とした空気に圧倒され、その余韻を胸に灯しつつそろそろ福井駅まで戻ることに。『京福バス』の特急永平寺ライナーに乗車します。

7月中旬の福井駅東口
永平寺からあっという間の30分、福井駅に到着。ちなみにこの路線も、「永平寺・丸岡城・東尋坊2日フリーきっぷ」で乗車可能。昨日から、このきっぷには本当にお世話になりました。

7月中旬の福井大きなお堀と立派な石垣が残る福井城址
東口から西口側へと抜け、昨日ヨーロッパ軒の帰りにちらりと見かけた福井城址へ。本丸跡には県庁や警察が建っていますが、幅の広いお堀や重厚な石垣がその歴史を今へと伝えています。

7月中旬の福井屋根のかけられた珍しい構造の福井城址御廊下橋
お堀沿いを進んでゆくと、屋根のかけられた珍しい構造の橋が。この御廊下橋は、福井藩主が登城する際の専用の橋。明治時代まで遺っていたものが、平成になり復元されました。

7月中旬の福井復元された山里口御門
御廊下橋を渡り、本丸の西側の護りである山里口御門へ。この門の瓦も、丸岡城と同じく福井名産の笏谷石。壁にも石が張られ、石材の風合いが独特なうつくしさを醸しています。

7月中旬の福井狭い桝形を持つ福井城址山里口御門
門をくぐってゆくと、敵の侵入を阻む桝形が。体感的にこれまで訪れたお城の門よりもかなり狭く、護りの堅さが感じられるよう。

7月中旬の福井復元後6年とまだ新しさを感じさせる福井城址山里口御門内部
門の中は展示室となっており、福井城やこの門の復元について解説されています。復元されてから6年。木材はまだ新しさを感じさせますが、この先長い時を経て渋い色味に染まってゆくことでしょう。

7月中旬の福井天守閣跡に残る石垣
山里口御門を抜け本丸に入ると、すぐのところにさらに積まれた石垣が。

7月中旬の福井天守台
石段を登ってゆくと、より一層緻密に積まれた端整な表情をした石垣。ここがかつての天守台だったそう。

7月中旬の福井かつて4重5階の天守が建てられていた天守台
ここには四重五階を誇る白亜の天守が建てられていましたが、350年ほど前の大火で焼失しその後再建されることはなかったそう。

7月中旬の福井昭和23年の福井地震で崩壊した福井城址控天守台跡
その隣には、波打つ形で遺された石垣が。この控天守台は、昭和23年の福井地震で崩壊しこの姿となりました。

7月中旬の福井福井城築城以前からあるとされる福井の地名の由来ともいえる福の井
控天守台の脇には、福井城築城以前からあったという井戸が。水がよく湧き出る井戸は福の井と呼ばれ、それがこの地の名の由来となったそう。

7月中旬の福井復元された福井城外堀
本丸で福井発祥の地に触れ、お城の北側へ。博物館の脇を歩いてゆくと、用水路に沿って整備された水辺が。ここはかつて福井城の外堀があった場所。

7月中旬の福井外堀沿いに復元された舎人門
その一画には、かつてこの地にあったとされる舎人門が。それに合わせ、石垣や土居も往時の姿へと復元されています。

7月中旬の福井養浩館庭園
かつてのお堀端の情緒に触れつつ歩き、『養浩館庭園』へ。ここはかつての福井藩主、越前松平家の別邸だった場所。

7月中旬の福井養浩館庭園苔むしたうつくしい庭
一歩足を踏み入れれば、ここが福井の市街地であることを忘れさせる静けさ。江戸時代から守られ続けた庭園は、深い緑に覆われています。

7月中旬の福井養浩館庭園景色を映す穏やかな池の水面
豊かな木々の間を進むと、ふっと視界が開け現れる大きな池。御屋敷や木々を静かに映す、鏡のように穏やかな水面が印象的。

7月中旬の福井養浩館庭園深い緑に抱かれつつ回遊する庭園
うつくしい池の周りをぐるりと巡る、林泉回遊式の養浩館庭園。進むごとにその表情はがらりと変わり、歩いていてとても心地いい。

7月中旬の福井養浩館庭園池に表情を与える数寄屋造りの御屋敷
緑豊かな庭園に風情を添える、数寄屋造りの大きな御屋敷。元の建物は空襲で焼失してしまいましたが、残された資料をもとに30年ほど前に復元されました。

7月中旬の福井養浩館庭園屋敷の背後を流れる涼やかな小川
屋敷の背後には、さらさらと流れる小川。その涼やかな情景に、梅雨末期の蒸し暑さなど忘れてしまいそう。

7月中旬の福井養浩館庭園さらさらと流れる小川と美しい州浜
小川の流れゆく先に広がる、うつくしい州浜。縁側へと続く飛び石には領地であった越前各地の銘石が用いられ、灰色の洲浜に彩りを与えています。

7月中旬の福井養浩館庭園復元された数寄屋造りの屋敷へ
水辺の情緒をより味わうべく、御屋敷の中へ。ふんだんに使われた木材が、日本家屋の良さというものを教えてくれる。

7月中旬の福井養浩館庭園御屋敷の御湯殿
木の風合いがうつくしい廊下を進んでゆくと、突き当りには御湯殿が。総檜造りの空間は、まさに贅沢そのもの。庭園を愛で、ここで汗を流し。藩政を執り行うお殿様の、しばしの休息が目に浮かぶよう。

7月中旬の福井養浩館庭園御月見ノ間から望む緑に染まる庭園
続いて、反対側に連なる座敷へ。畳に正座し、視座を落として眺める庭園。障子の合間に広がる、時が止まったかのような静の世界。そこを吹き抜ける穏やかな風に、いつしか心は鎮まってゆく。

7月中旬の福井養浩館庭園それぞれ異なる景色を眺めることのできる座敷
限りなく水際に建てられた御屋敷は、その高さも往時のままにこだわり復元されたそう。こうして静かに座っていると、池との一体感や浮遊感といった不思議な感覚が。

7月中旬の福井養浩館庭園屋形船に乗っているかのような情緒を味わえる櫛形ノ御間
一間ごとに趣向が凝らされ、それぞれ異なる庭園美を味わえる座敷。時間が許すなら、ずっとここに座っていたい。庭園は、歩くだけでなく静かに愛でるもの。そんな時間的余裕が、ある意味現代の暮らしにおいて一番贅沢なのかもしれない。

7月中旬の福井養浩館庭園池に浮かぶように建つ御屋敷
外から眺めれば庭園に表情を与え、中へと入れば豊かな情景を切り取って見せてくれる。華美とは異なる、侘びや寂びに隠された贅。日本らしい美意識が、この庭園には込められています。

7月中旬の福井養浩館庭園池に表情を与える数寄屋造り
福井城址から庭園へ、のんびり歩いた福井の街。この国には、まだまだ知らぬ、そして訪れるべき場所がたくさんある。初めての福井に触れ、旅することの悦びを改めて噛みしめるのでした。

あの航跡に逢いたくて~海路を紡いで越前へ~
7月中旬新日本海フェリーらいらっく秋田沖で姉妹船ゆうかりと再会し再びそれぞれの行き先を目指す航海へ
2024.7 茨城/北海道/福井
旅行記へ
1日目(東京⇒大洗⇒商船三井さんふらわあ)
●2日目(商船三井さんふらわあ⇒苫小牧⇒新日本海フェリー)
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●3日目(新日本海フェリー)
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●4日目(新日本海フェリー⇒敦賀⇒福井⇒東尋坊⇒芦原温泉)
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●5日目(芦原温泉⇒丸岡⇒永平寺⇒福井⇒東京)
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