ちょっとずつ夏の愉しみ北東北 ~ヤーヤドーに誘われて 3日目 ④~ | 旅は未知連れ酔わな酒

ちょっとずつ夏の愉しみ北東北 ~ヤーヤドーに誘われて 3日目 ④~

8月上旬夏の盛岡昭和2年築の旧盛岡貯蓄銀行盛岡信用金庫本店 旅グルメ

盛岡八幡宮へのお参りを終え、全開の夏を全身に浴びつつ中ノ橋へ。重厚な赤レンガ館の見守る交差点を北へ折れると、すぐそばにはこれまた歴史を感じさせる建物が。昭和2年築の旧盛岡貯蓄銀行本館は、今なお盛岡信用金庫本店として現役を続けています。

8月上旬夏の盛岡江戸から明治にかけて建築されたござ九の重厚な建物群
そのまま道なりに進んでゆくと、ゆるい屈曲の先に現れる渋い町家。古くから、この地で商家を営んできたござ九。江戸から明治にかけての建物が敷地内にたくさん並び、盛岡都心でここだけ時が止まったかのような圧倒的な存在感を放ちます。

8月上旬夏の盛岡火の見櫓が特徴的な紺屋町番屋
ビルと古き良き建物が混在するこの一帯。新旧が同居し溶け合う盛岡ならではの街並みを愛でつつ歩いてゆけば、火の見櫓が印象的な紺屋町番屋が。前回この前を通ったときは閉鎖されたままでしたが、現在はカフェや工芸品のお店として再び命が吹き込まれています。

8月上旬夏の盛岡まもなく築100年を迎えようとする岩手医大1号館
紺屋町番屋を左に曲がり、官公庁の並ぶ中央通りの一本裏手の道へ。さんさ踊りの賑やかさが漏れ聞こえてくる公会堂の裏手を過ぎ、岩手医大へ。築98年を誇る白亜のコンクリート造、その威容に圧倒されてしまう。

8月上旬夏の盛岡今宵のさんさ踊りに向け賑やかさを増す大通り
さっこら~ちょいわやっせ~。6年前に初めてじっくり目にし、すっかりこころを奪われてしまったさんさ踊り。今日は踊る姿には出会えなかったけれど、今度は盛岡泊を行程に組み込み必ず見に来なければ。

8月上旬夏の盛岡開運橋から望む頭を隠した岩手山の裾野
休みが取れれば、今日泊まれたんだけどな。これだけ北東北をぐるりと満喫しておきながら、そんな贅沢を言ってはいけない。これから始まる祭りへの高揚感漂う通りに別れを告げ、開運橋へ。行きにはお休みしていた岩手山も、優美な裾野を見せてくれている。

8月上旬夏の盛岡すっかりハマってしまったももどり駅前食堂
ありがとう盛岡、また必ず来るからね。姿を現してくれた岩手山にさんさ踊りへの願いを託し、この旅最後の宴を愉しむべく『ももどり駅前食堂』へ。もうすっかりハマってしまい、盛岡ではここ一択になってしまいそう。

8月上旬夏の盛岡ももどり駅前食堂冷奴
これで3度目となる訪問、そういえば鶏とともに推されている豆腐を食べていないと冷奴をまず注文。岩手県産大豆を使い、お店で自家製という豆腐。見るからにみっちり詰まった木綿は、その表情どおりしっかりとした弾力と密度、そして豆の風味の濃さ。印象的には、島豆腐に近いと思えるほど。

8月上旬夏の盛岡ももどり駅前食堂身欠きニシンとフキの煮物
続いては、前回食べてすっかり心酔してしまった身欠きニシンとフキの煮物を。ほどよい濃さで煮られたにしんは、乾物ならではのほろほろとした凝縮感ある滋味深さ。一方のふきは瑞々しさを残したあっさりとした味付けで、絶妙な味のメリハリに岩手の酒が進まぬ訳がない。

8月上旬夏の盛岡ももどり駅前食堂ミズの辛子酢味噌
時刻は17時を過ぎ、メニューの看板が裏返されおすすめのラインナップがお目見え。うわぁ、どんこのたたきもあるじゃん。そう思いつつ、前回と違うものをとミズの酢味噌を注文。

僕的に山菜の女王だと信じてやまない、ミズ。しゃっきしゃきの食感と心地よいねばり、そして山菜とは思えぬクセのなさはどんな食べ方でも間違いない。今回はじめて酢味噌で食べましたが、さっぱりとしたミズに酢味噌の甘味や酸味、コクが合わさり、これまた呑兵衛殺しのひと皿。

8月上旬夏の盛岡ももどり駅前食堂名物ももどり
あれこれ旨そうな一品料理の数々に、このまま普通に呑んでしまおうかと誘惑される。でもそれはだめだ。ここまできて、このももどりを食べない訳にはいかない。

酒の肴つまみに地酒を進めていると、お待ちかねの名物ももどりが到着。テーブルに置かれる前から、鼻へとアタックしてくる魅惑の香り。鶏の焼けた香ばしさ、そしてふわっと香るスパイシーさ。

立ちのぼる香りに居ても立っても居られず、猫舌をも厭わずがぶりとひと口。皮はバリっというほど香ばしく、柔らかい身からはぶわっと溢れる肉汁の洪水。そこに絶妙な塩加減と香辛料の華やかさが味を引き締め、鶏と酒との往復が止まらない。

8月上旬夏の盛岡ももどり駅前食堂〆に盛岡名物じゃじゃ麺
そして今回も、じゃじゃ麵で〆ることに。ラー油とにんにくを適量加え、手早くかつしっかり念入りに全体を混ぜ混ぜ。茹でたてのうどんに調味料をまとわせるため、熱いうちによく混ぜるのがじゃじゃ麺をおいしく食べるコツ。

はやく食べたい、でもまだだめだ。葛藤の中十分に混ざったところで、待望のひと口。茹でたまま、水洗いしていない熱いうどん。そのぺったりとした澱粉質が、旨い肉味噌を絡め取る。もっちり、まったり、ちょっとばかりのベタベタ感。唯一無二の混然一体となった旨さが、口中を満たす幸福を噛みしめます。

8月上旬夏の盛岡駅そろそろ新幹線で帰らなければならない時間
やっぱり今度は、泊りだな。さんさ踊りのしなやかな踊りとお囃子に染まり、その後は新幹線の時間を気にせず心ゆくまでももどり駅前食堂で。来夏の宿題を胸に宿し、人々で賑わう夕刻の盛岡駅へと吸い込まれます。

8月上旬夏の盛岡駅カバーを開け連結器をむき出しにしてこまち号を待ち構えるH5系はやぶさ号
お土産を買いホームへと向かうと、すでにはやぶさ号が入線。連結カバーを開けこまち号を待ち構える姿に、思ったよりも時間的余裕がなかったとちょっとばかりヒヤリ。

8月上旬夏の東北新幹線盛岡を発車したH5系はやぶさ号車窓を染める夕刻の山並み
いそいそと自席に着き、ほっと一息。程なくして、音もなくホームを滑りだすはやぶさ号。あとはもう、H5系に身を委ねて東京へと帰るのみ。

8月上旬夏の東北新幹線H5系はやぶさ号車窓のお供にあさ開さんさ踊りICHI-GO-CAN
滑らかに増してゆく車窓の速度に呼応するように、遠ざかりゆくこの夏の記憶。それをつなぎ止め想い出へと変換するのが、帰路に残された大切な儀式。数え切れぬほどの太鼓が圧巻のさんさ踊りICHI-GO-CANが、その作業を助けてくれる。

8月上旬夏の東北新幹線H5系はやぶさ号車窓を染める奥羽山脈夏の夕暮れ
20年近く憧れてきた秘湯に出逢い、津軽の煮干し中華そばの旨さに唸り。着実に賑わいを取り戻しつつあるねぷたで津軽の短い夏を存分に浴び、秋田犬や奥羽越えの豊かな車窓を愛で盛岡へ。

8月上旬夏の東北新幹線東京駅に到着したH5系はやぶさ号のエンブレム
今回は、いつもとはまた違った愉しさだった。あのとき出来心で飛行機を検索してみなければ、もしかしたらこんな形の東北旅と出逢うことはできなかったかもしれない。

北東北3県、ちょっとずつやりたいことをいいとこどり。それを叶えてくれた、陸と空を彩る韋駄天たち。それぞれの長所をうまく組み合わせれば、また新たな旅の形が生まれてくる。広がりゆく旅の可能性に手ごたえを感じつつ、2泊3日の濃密な夏は静かに幕を閉じるのでした。

ちょっとずつ夏の愉しみ北東北 ~ヤーヤドーに誘われて~
8月上旬花輪線キハ110車窓を染める夏の豊かな田園の緑
2024.-8 秋田/青森/岩手
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