社会人として2回目を迎えた今年のゴールデンウイーク。昨年の壮大な旅に味を占めてしまい、今年もまた大海原へと旅立つことに。そんな旅の出発点はここ、バスタ新宿。この日は連休3日目。ごった返す旅客の奏でる混沌が、旅立ちの歓びを一層掻き立てるよう。
今回も、まず目指すのは名古屋。ということで安くて快適な『JAMJAMライナー』に乗車。独立3列シートでスペースも広く、トイレ付なので安心。
途中横浜、東岡崎と経由しつつバスに揺られること7時間、6時半に名古屋に到着。あいにくの雨ですが、1年ぶりに眺める大名古屋ビルヂングにワクワクが止まりません。声に出して読みたい、そして字面で見たい日本語、大名古屋ビルヂング。
何故か無性に好きな大名古屋ビルヂングという言葉を呟きつつ(かなり怪しい奴・・・)、朝ごはんを食べるためにJRの駅のコンコースへ。その中でしばらく時間をつぶし、7時過ぎに『驛釜きしめん』へと入ります。
名古屋名物のきしめんですが、駅周辺で朝から食べられるのはホームの立ち食いかここだけ。朝に着く夜行バスの利用者にはありがたいお店です。
席に着き待つことしばし、注文した朝限定のミニ麺定食が運ばれてきます。これはプラス100円できしめんをレギュラーサイズに変更したもの。ご飯に海苔、漬物までついて600円。なんともお得なセットです。
1年ぶりのきしめん。まずはつゆをひと口。その見た目通り、しょう油は結構濃い目。これまで関東と関西の本当に中間、中京とは言い得て妙というきしめんが多かったのですが、ここはどちらかといえば関東寄りの雰囲気。しょう油の風味が立っています。
麺は小麦と塩のみで打ったという無添加のものだそう。啜ってみると、ひらひらとした、それでいてもっちりとした独特の食感。あぁ、やっぱきしめんなんだよなぁ。うどんとは似て非なる魅惑の食感に、改めてきしめんの旨さを噛みしめます。
弾力あるもちもちとした麺。この存在感には、これくらいのつゆがいいのかもしれない。風味よい花かつおを纏わせれば、鰹節好きには堪らない味わいが口に鼻にと広がります。
1年ぶりに味わう名古屋の味覚に舌鼓を打ち、名鉄電車に乗り込みます。鉄道好きな僕ですが、名鉄に乗るのはこれが2回目。前回は神宮前から名鉄名古屋という短区間だったので、本格的に乗るのは今回がある意味初めて。
休日の名鉄名古屋駅は混雑していたため、電車の写真は敢え無く断念。来たのは名鉄らしい名鉄電車、スカーレットを纏った真っ赤な電車。そうだよ、これだよ!関東にも関西にもない、独特の雰囲気。塗装もさることながら車号の字体も妖艶で、出発時には車内で鐘の音が聞こえたり・・・。もう初めての経験だらけで、大人気もなく大興奮。
初の犬山線急行に鼻息荒く揺られること30分ちょっと、この旅最初の目的地である犬山遊園駅に到着。ここから木曽川沿いを歩いて犬山城を目指します。ちなみに今回は、名鉄の『犬山城下町きっぷ』を利用。往復券と入城券がセットとなっており、行って帰ってくるだけでもお得になるきっぷです。
改札を出ると、遠くには何となく見覚えのある立派なトラス橋が。ここへ来るまですっかり忘れていましたが、あれ?もしかして?と近寄ってみると、やっぱりかの有名な犬山橋でした。
かつてパノラマカーが、パノラマDXが、そしてパノラマスーパーが路面電車のようにゆっくり渡った、鉄道道路併用橋の犬山橋。現在は鉄道専用橋になっていますが、架橋から90年以上経た今もなお現役で名鉄の電車を通し続けています。
子供の頃から本で慣れ親しんだ犬山橋の優美さに別れを告げ、木曽川沿いを歩きます。あいにくの天気ですが、煙る大河の姿は悠久の時の流れを思わせ、雨ならではの美しさに包まれています。
木曽川沿いをのんびり歩いていると、突如山の上に聳える犬山城の姿が。川から直接立ち上がる山に構える天守閣。お城マニアではない僕にでもここを選んだ理由が分かる、守りを具現化したような光景に思わず息を呑みます。
いよいよ始まった僕のゴールデンウイーク。初めての国宝との対面を控え、逸る気持ちを抑えつつ一歩ずつ山へと進むのでした。
コメント