玄冬湯旅 ~しんしんと、いわての雪はこまやかに。5日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

玄冬湯旅 ~しんしんと、いわての雪はこまやかに。5日目 ①~

2月上旬厳冬期の岩手八幡平松川温泉松川荘で迎える最後の朝 旅の宿

八幡平の冬にに抱かれ迎える静かな朝。こんなふうに、堆く積もる雪と戯れられるのもあと少し。誰もいない露天へと向かい、ひとり静かに噛みしめる雪見風呂のほの白さ。湯の温もりが、蒸気の音が、そして凛とした朝の冷気が沁みてくる。

2月上旬厳冬期の岩手八幡平松川温泉松川荘2泊目朝食
冬ならではの贅沢を朝から存分に浴び、お腹も空いたところで朝食の時間に。食卓には、今朝もおいしそうな品々が並びます。

焼鮭や根菜とこんにゃくの煮物、甘辛味のふきと糸こんの炒め煮とともに味わう白いご飯。辛子和えや天ぷらとその片鱗を覗かせていた巨大しいたけは、今朝は丸ごとバター焼きで。肉厚ジューシーな身にコクのある味噌を付けて頬張れば、しいたけならではの豊かな味覚で満たされる。

2月上旬厳冬期の岩手八幡平松川温泉松川荘に別れを告げる
おいしいおかずとともにおひつ丸ごと平らげ、いっぱいになったお腹を落ち着け最後の一浴へ。ぼこぼこと豪快に蒸気の湧きたつ、青白きにごり湯。そのなめらかな浴感と硫黄の香を肌にこころに刻みこみ、名残惜しくもチェックアウト。

2月上旬厳冬期の岩手八幡平松川温泉松川荘口バス停で青空を見上げながらバスを待つ
坂道を滑らぬように登り、雪に埋もれたバス停でぼんやり待つ無の時間。風の通る音以外、本当に何も聞こえない。そんな静の世界のなか、雲だけが足早に流れてゆく。

2月上旬厳冬期の岩手八幡平松川温泉松川荘口バス停から岩手県北バス盛岡バスセンター行きに乗車
3度目の松川温泉にして、初めて訪れた松川荘。また新たな魅力をこの地の想い出として胸へと刻み、再訪を誓い乗り込むバス。あぁ、いい宿だった。肌から漂う硫黄の香に、ここで過ごした2泊の余韻を重ねます。

2月上旬厳冬期の岩手八幡平岩手県北バス盛岡バスセンター行き車窓から眺める雪の眩さ
今年もこれが、見納めかな。ときおり覗く晴れ間に照らされ、きらきらと輝く純白の雪。車窓を満たすこの清らかな眩さを、次の冬まで大切にしまっておこう。

2月上旬厳冬期の岩手八幡平岩手県北バス盛岡バスセンター行き車窓から眺める松尾鉱山鉄道機関車
八幡平マウンテンホテルで大型の路線バスに乗り換え、下界目指して走る道。経由する資料館では、廃線となった松尾鉱山鉄道の電気機関車の姿が。

かつて東洋一の硫黄鉱山として名を馳せ、雲上の楽園ともいわれる都市を築いた松尾鉱山。藤七温泉への送迎車からちらりと見た、あの廃墟の姿がこころを捕えて離さない。車がないと難しい場所ではあるが、遠目からでもいいからいつかはじっくり見てみたい。

2月上旬厳冬期の岩手八幡平岩手県北バス盛岡バスセンター行き車窓から眺める雲に隠れた岩手山
いかにこれまで高い場所にいたのか。それを実感させるように、延々と坂を下り続けるバス。白銀に染まる雪原の先には、薄い雲に身を隠しその優美な裾野のみを覗かせる岩手山。

2月上旬厳冬期の岩手盛岡ホットライン肴町
バスに揺られること2時間ちょっと、終点の盛岡バスセンターに到着。途中の盛岡駅で下車せずここまで来たのは、今日のお昼のお目当てがこの近くにあるから。

2月上旬厳冬期の岩手盛岡唯一の全天蓋式アーケードホットライン肴町ながうの渋い佇まい
盛岡で唯一の全天蓋式アーケード商店街である、ホットライン肴町。初めて訪れたときと比べてシャッターの開いてるお店も増え、訪れるごとに賑やかさが増してゆくのがなんとなく嬉しい。

2月上旬厳冬期の岩手盛岡ホットライン肴町に位置するじゃじゃ麺㐂作
今日のお昼は絶対じゃじゃ麺と決めていましたが、いつもお気に入りの白龍に足が向いてしまう。ですが最近訪れる機会の多い盛岡、せっかくなら初めてのお店をと、商店街の真ん中あたりに位置する『じゃじゃ麺㐂作』にお邪魔してみることに。

2月上旬厳冬期の岩手盛岡ホットライン肴町に位置するじゃじゃ麺㐂作白じゃじゃ麺大
こちらのお店は唐辛子を麺に練り込んだ赤じゃじゃ麺というものもあるようですが、初めてなので王道の白じゃじゃ麺を注文。サイズも小からテラまで選べますが、今回は大でお願いします。

少々茹で時間のかかるじゃじゃ麺。窓際のカウンターで商店街を行き交う人の姿をぼんやり眺めることしばし、お待ちかねの丼が運ばれてきます。ラー油やにんにくを加え、逸る気持ちを抑えつつ丹念に混ぜ混ぜ。全体に茶色が行きわたったところで、いざひと口。

うわぁ、これ好きな味。優しい味わいながら、こくや旨味がしっかりと凝縮された肉味噌。それがもちもち感のある麺に絡みつき、じゃじゃ麺でしか味わえない豊かな幸せが口中を満たしてゆく。

水で洗わない、茹で上げたままの麺。その澱粉感と肉味噌の豊潤さが渾然一体となり、ひと口、もうひと口と絶え間なく頬張りたくなる。そんなじゃじゃ麺のもつ魔力に呑み込まれ、あっという間に麺は残すところあと僅か。

おっといけない、全て食べきるところだった。数本の麺と肉味噌を残し、添えられた生卵を割り入れ溶きほぐす。箸とともに丼を渡せば熱々の茹で汁を入れてくれ、〆のちーたんたんのできあがり。

肉味噌やコショーを好みで足し、よく混ぜたところでひと口啜る。うん、ずるいよ。こりゃ旨すぎるよ。肉味噌の優しい風味と深い滋味が行き渡り、それとともに口へと流れ込むふんわりとしたかきたまの優しさ。久しぶりにちーたんたんまでいったけれど、じゃじゃ麺はやっぱりこれで〆るべきだよな。

うまく言い表すことのできない、得も言われぬ独特な旨さ。唯一無二の中毒性を持つじゃじゃ麺の魅惑の味わいに、盛岡でしか食べられぬことが辛くなる。

食べ終わる前から、また食べたい。そう思わせてくれる新たな旨さに出逢い、まだ知らぬお店も積極的に行ってみなければと改めて思わされるのでした。

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玄冬湯旅 ~しんしんと、いわての雪はこまやかに。~
2月上旬厳冬期の花巻南温泉峡降りしきる雪の中佇む大沢温泉湯治屋自炊部本館
2025.2 岩手
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●1日目(東京⇒大沢温泉)
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2日目(大沢温泉滞在)
●3日目(大沢温泉⇒盛岡⇒松川温泉)
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●5日目(松川温泉⇒盛岡⇒東京)
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