未知なる上総へひとり旅 ~黒湯に誘われ奥房総 1日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

未知なる上総へひとり旅 ~黒湯に誘われ奥房総 1日目 ①~

11月上旬まだ新しさの残るバスターミナル東京八重洲に入線する日東交通高速バスアクシー号亀田病院行き 旅行記

灯台下暗し。この旅で、僕は久々にこの言葉の意味を痛感することとなった。

11月上旬、まだ真新しさを感じさせるバスターミナル東京八重洲。ここから僕は、隣県へと旅に出る。向かうは房総半島中央部、そこには濃い黒湯が湧いているらしい。

初めてのターミナルから、初めての地へ。そんな未知なる旅路を目前に、胸を騒がす高揚感。そんなひとり密かに昂る僕を乗せるバスが、ガラスに隔離されたホームへと静かに入線。『日東交通』と京成バスの共同運行する高速バスアクシー号で、一路奥房総へと旅立ちます。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号車窓に広がる東京の湾岸風景
バスは東京ミッドタウン八重洲の裏から細い道を抜け、京橋入口から首都高へ。免許のない僕にとって、首都高に乗ること自体が観光のようなもの。かつての運河の底を走るこの区間。擁壁や橋に水路だった時代の残り香が感じられ、交通好きの僕は思わずにやけてしまう。

早くもテンション上がりっぱなしの反動か、それとも3時半起きのせいか。せっかく楽しい首都高の車窓も、気づけば暗転し夢の中。眩い青さにふと目が覚めると、目の前には東京タワーすら埋もれてしまうような東京の湾岸風景が。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号車窓から見送る羽田空港第2ターミナル
お台場から東京港トンネルを抜け、川崎方面へと走るバス。年に一度の八重山への旅立ちの地である羽田空港を見送り、あの地上の楽園に思いを馳せずにはいられない。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号車窓を染める秋晴れと東京湾の青
でも今日の旅路は、それに負けず劣らず絶好調に青い。アクアラインのトンネルを抜ければ、眼を細めるほどの眩い世界。

遠くに霞む工業地帯、静かな海原に浮く小さな船。このルートで千葉入りするのは2度目ですが、僕の知っているつもりの東京湾とは全く異なるうつくしさに感動しきり。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号から望む木更津の海苔の養殖場
高速道路を走っているというよりも、ジェットフォイルや着陸直前の飛行機に乗っているような不思議な感覚。そんな胸のすくような青い世界に浮足立つのも束の間、海の色が浅瀬を感じさせ海苔の養殖場が見えたらあっという間に木更津金田インターに到着。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号この先向かう亀山湖から続く小櫃川を渡る
東京湾の横断を終えたバスは、今度は房総半島の横断へと挑みます。眼下には、ゆったりと流れる小櫃川。僕はこれから、この川のもっと上流へと向かってゆく。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号車窓に広がる刈り取りを終えた広大な田んぼ
これまで2度ほど泊りがけで房総を訪れましたが、いずれも海側だったため内陸部へと向かうのは初めてのこと。目に映るものすべてが新鮮で、いつも以上に車窓が楽しい。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号は平地を抜け山へと挑み始める
さすがは米どころ千葉県、車窓の多くを占める刈り取りを終えた田んぼ。そんな長閑な田園風景も奥行きを失くし、いよいよ山越えが近いことを感じさせる様相に。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号車窓一杯に広がる色づきはじめの紅葉
頭では理解していたつもりだけど、房総半島ってこんなに山深いんだ。高さがあるわけでもなく、人家もしっかりある。それなのに、思った以上の山中感。

連続する勾配とカーブに身を委ねていると、巨大な研究施設の集積地であるかずさアークバス停に到着。その入口では、秋の訪れを知らせるように早くも色づきはじめる立派な紅葉が。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号房総半島とは思えぬ山深さ
さらに山深さを増してゆく車窓。木更津と君津の市境を越える県道23号線へと入ると、想像をを遥かに超える深い森へ。この光景だけ見ていると、今自分が千葉県にいるということを忘れてしまいそう。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号は県道23号線の坂を下り切り小櫃の盆地へ
これまで登った分を取り返すべく、森の中を延々と下り続けるバス。すると急に視界が開け、眼前にはぽっかりと広がる盆地が。あまりの突然の出来事に、ただただ唖然とするのみ。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号車窓を染める久留里の盆地の秋景色
山奥に隠された、長閑な田園。突如現れた秋色の盆地に、強く心を染められる。これだから、旅はやめられない。僕は一体、千葉の何を知っているつもりだったのか。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号車窓から望む久留里の立派な金物店
バスは黄金色の田園を抜け、城下町久留里へ。街道沿いには歴史ある建物が増え、古からこの地方の中心地であったことが伝わるよう。城跡もあり、自噴する名水も点在し。今度は時間を取って訪れてみたい。

11月上旬日東交通高速バスアクシー号小櫃川や久留里線に沿って久留里街道をひた走る
小櫃川や久留里線に沿い、久留里街道をひた走るバス。車窓を染める秋色に、どこか知らぬ遠い場所へと来たような錯覚が。

都心を縦横無尽に縫う首都高を抜け、長いトンネルを経て青く輝く東京湾上へ。房総半島に着陸すれば、そこから先は未知なる世界。山あり谷あり、盆地あり。めくるめく車窓にこころ奪われ、早くも房総の奥深さに圧倒されるのでした。

未知なる上総へひとり旅 ~黒湯に誘われ奥房総~
11月上旬奥房総亀山湖畔の宿亀山温泉ホテル客室ベランダから望む朝日と朝靄のかかる亀山湖
2023.10 山形/宮城
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●1日目(東京⇒亀山温泉)
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●2日目(亀山温泉滞在)
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●3日目(亀山温泉⇒鋸山⇒木更津⇒東京)
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