前回の旅行から半年以上。その間休みも取らず頑張った僕は、6月になってようやく旅立てることに。中々ままならない日々を過ごして思うこと、それは僕は「鮪」の生まれ変わりなのではないか、ということ。
いつでも旅ができる状態ならば、別に焦って旅をしなくても大丈夫。でも身動き取れなくなってしまうと、途端に窒息してしまいそう。今回の旅の機会をやっと得た僕は、久し振りに新鮮な酸素を吸ったような気になるのです。やっぱり僕は、回遊魚の生まれ変わりだ。
そんな大事な回遊先へと選んだのは、やっぱり東北。僕の足と心は、どうしても東北へと向いてしまうのです。その出発点となるのは、4月にオープンしたばかりの、バスタ新宿。長らく工事が続いていましたが、こうして機能し始める姿を見ると、何となく感慨に耽ってしまいます。
これまで、駅周辺に散在していた新宿の高速バス乗り場。新宿を良く知っている人ならば問題は無いのでしょうが、その乗り場の散らばり振りは凄いもので、知っていたとしてもバス乗り場までの道のりの遠さに億劫になるほど。
そんな複雑なバス環境を整えるべく生まれたバスタ新宿には、新宿発着の高速バスが全て集結します。目まぐるしく往来するカラフルなバスたち。JR、京王、小田急箱根、リムジン、各地のバス会社・・・。
そんな中にツアーバス上がりのWILLERやさくら観光などが混じっている姿を見ると、今や高速バスは無くてはならない足のひとつであることを強く実感します。バスマニアなら、きっと一日潰せてしまいそう。単なる乗り物好きな僕でも、このワクワク感に心拍数が上がります。
各地の色を思わせるボディーカラーと行先の乱舞、それに自身の旅立ちの予感を重ね、早くも興奮気味の僕。『JRバス東北』仙台・新宿号はそんな僕を乗せ、バスタ新宿を定刻に発車。
今日は土曜日、心配していた都内の渋滞も特になく、バスは快調に走り首都高へと入ります。程なくして、荒川に架かる五色桜大橋を通過。青い空と鮮やかな若い緑に覆われた荒川は、僕の旅の大切なチェックポイント。ここを越えることが、北を目指しているという強い実感を与えてくれるのです。
僕が仙台・新宿号を使う理由。ひとつは手頃な値段と丁度良い到着時刻、そして3列シートで快適という、使い勝手の良さ。
でもそれ以上に、免許を持たない僕にとって、ドライブの疑似体験ができる貴重な機会であるから。鉄道には無い自動車道の距離感、速度感。高い視点から見る高速道路の風景は、バスでしか味わえない贅沢。
仙台まで6時間近くの道のり、一応手元に本は用意はしているのですが、流れる車窓がそれを開くことを許しません。
先ほどの山並みは、那須連山。あぁ、塩原の明賀屋本館や、甲子温泉、二岐温泉、良かったなぁ。
バスは東北へと入り、次に見えてきた大きなこの山は、安達太良山。岳温泉の白い湯も印象深いし、この山の近くで迷子になったのも、今は良い思い出。苦労の末辿り着いた不動湯温泉は再訪を誓ったにもかかわらず、あのようなことになってしまって非常に残念だった・・・。
東北道をひたすら北上するバスはついに宮城へと入り、蔵王の山も見え隠れ。青根の熱い湯と絶品料理や地酒に舌鼓を打ったのが2年前の夏だとは思えない程、つい最近のことのよう。
こうして車窓に表れる名峰の数々。その山懐には、僕のたくさんの思い出が詰まっている。新宿から仙台までの道のりの中に、それほど旅の記憶が詰まっているなんて。こうして改めて気づいてみると、ものすごく幸せで、ものすごく贅沢なことであると、今一度強く噛み締めます。
新宿からあっという間の6時間。バスは土曜日にもかかわらず、5分未満の遅れで仙台に到着。
在来線の長距離特急や夜行列車が無くなり、新幹線と短距離特急ばかりになった今。高速バスは日本の広さを感じさせてくれる数少ない貴重な交通手段なのではないか、そう強く思います。
鉄道好きな僕が、高速バスを求める理由。それは鉄道が失ってしまった風情の一端を、今でもこうして味わわせてくれるからなのかもしれません。
オレンジ色の憎い奴、僕の好きな仙台へとやってきたことを実感させる駅舎を後にし、まずは夕食を。今日は朝ごはんを食べたきりなので、ホテルのチェックイン前に、駅前の『うまい鮨勘名掛丁支店』で久々の三陸の海の幸を楽しむことに。
仙台には数えきれないほどお寿司屋さんがありますが、色々とチャレンジしたい気持ちがある一方で、折角の仙台、外したくないという気持ちもあります。なのでやっぱり寄ってしまう、このお店。安定のうまい鮨勘、やっぱりこの日もコスパ充分、大満足でした!
ここへ来ると飲み気より食い気。お酒もほどほどに、美味しいお寿司をたっぷり満喫。こち平目、そい黒鯛、まこがれい、そして金華うに。美味しいお寿司、ごちそうさまでした!
上機嫌で歩く仙台のアーケード。お寿司をたっぷり堪能しても、まだこの明るさ。ホテルにチェックインし、仙台で過ごす久しぶりの夜を愉しむのでした。
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