2023年ブログ納め 未知なる旅路で酔う酒は | 旅は未知連れ酔わな酒

2023年ブログ納め 未知なる旅路で酔う酒は

2月上旬姫川温泉朝日荘客室から望む大糸線夜汽車の情緒 その他

今年はたくさん、旅できたな。素直にそう思える、旅路に彩られたこの一年。特に今年は、初めて訪れる旅先が多かった。

未知なる地で出逢えた新鮮な感動は、四十を越えてもまだ新しい発見があるということを教えてくれた。そんな旅の記憶を振り返り、今年のブログ更新を終えたいと思います。

2月上旬北陸新幹線W7系はくたか号車窓に広がる雄大な冬山
今年初めての旅先に選んだのは、北アルプスに沿うように続く塩の道。北陸新幹線の長野以北に乗車するのは初めてのこと。2月の車窓は、信濃の銀嶺と雪の眩さに満ち溢れていた。

2月上旬大糸線非電化区間キハ120車窓から眺める姫川の流れと国道148号線の長大なスノーシェッド
眩い白銀の世界に感激し、糸魚川で乗り換えたのは大糸線。これまで松本から穂高までは乗ったことはあるものの、そこから北は未知なる鉄路。

日本屈指のローカル線である、大糸線の非電化区間。よくもこの地に鉄道を通したものだと感嘆してしまう、地形との戦いの跡が感じられる乗車体験だった。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘巨岩に抱かれる独特な天然大岩風呂
そんな未知なる鉄路を繋いで向かった先は、信越国境に位置する姫川温泉。知名度はないけれど、そこで出逢えたお湯は最高のひと言だった。巨大な岩盤に抱かれつつ浸る、濃厚な湯。野趣あふれる内湯の素晴らしさは、忘れ得ぬ湯浴み体験として刻まれた。

3月上旬JR東日本とJR東海の境界駅である塩尻駅
続いて3月に向かったのは、これまた初となる木曽路。僕が生まれ育ち、今も近くに住む中央線。そんな愛着のある路線の、まだ見ぬさらにその先へ。今住む街と繋がる、未知なる地。そう考えるだけで、胸は高鳴るばかり。

3月上旬JR東海313系中央西線普通列車木曾福島行きはまもなく終点に到着
山に挑み、盆地を越え。そんな慣れ親しんだ中央東線とは対称的に、木曽谷にひたすら寄り添い続ける中央西線。知っているつもりだった中央本線の新たな顔を知り、より一層この路線が好きになる。

3月上旬木曾川のほとりの棧温泉客室から木曽川の最後の煌めきを眼に焼き付ける
自分の日常の先に、こんな世界があったなんて。繋がる鉄路への浪漫を感じつつ辿り着いたのは、古くから薬水として知られていたという棧温泉。

どこまでも続く谷を刻む木曽川の流れ、そこに寄り添うように建つ一軒宿。旧中山道の難所である木曽の桟を眺めながら浸かる、きりりと冷たい赤茶の湯。温冷交互浴の良さに、改めて気づかされた。

3月上旬春晴の中山道馬籠宿から妻籠宿へ大妻籠手前の歴史ある石畳
中央本線の旧線と新線、そして新旧の国道が伝う狭い木曽谷。それらの交通の礎ともいえるのが、江戸時代から近代までこの地の交通の主役であった旧中山道。馬籠から妻籠まで、かつての旅人に思いを馳せて歩く道。交通を愛する者として、それは貴重な経験となった。

3月上旬春晴の妻籠宿中山道の上りと下りで異なる表情を愉しむ
庶民は自分の足で歩くしか移動手段のなかった江戸時代。今こうして気軽に旅に出られるけれど、当時は旅は一生に一度の特別なものだったに違いない。一歩一歩踏みしめ辿り着いた宿場には、そんな往時の空気が缶詰のように残されていた。

3月中旬春まだ浅い黄金崎不老ふ死温泉青空の青い海、波打ち際に佇む海辺の露天風呂
木曽路の感動も冷めやらぬまま、続いて訪れた黄金崎不老ふ死温泉。ずっとずっと来てみたいと憧れ続けてきた海辺の露天は、そのロケーションのみならず湯の濃さにも感動しきり。

3月中旬春まだ浅い黄金崎不老ふ死温泉雲間から望むことができた美しい夕日
滞在中、空模様により様々な表情を魅せてくれた日本海。晩冬ならではの鉛色から、網膜を通して胸を灼くほどの鮮烈な青さまで。そんな千変万化の海原に沈む夕陽の美しさを、決して忘れることはないだろう。

11月上旬奥房総亀山湖畔に建つ亀山温泉ホテル日の出の亀山湖を彩る幻想的な朝靄
11月には、ちょっと気軽に旅行でもとお隣の千葉県へ。そんな風に考えていた僕は、バカだった。奥房総の地で出逢った、いい湯いい宿いい景色。

東京からバス一本で行ける場所に、あんな極上の黒湯が隠されていたなんて。灯台下暗しの意味を改めて噛みしめ、旅の濃さは距離ではないということを強く思い知らされた。

6月下旬梅雨明け直後の小浜島のどかな緑と碧い海との鮮烈な対比
数々の未知と出逢った一方で、何度も通う愛着ある地へも訪れることのできた2023年。4年ぶりに戻ってきた八重山の賑わいと鮮烈なあおさに、身もこころもすべてを染められた。

8月上旬夏真っ盛りの弘前ねぷた勇壮なねぷたの上に乗り手を振る人
そしてもうひとつ、4年ぶりに戻ってきてきてくれたものが。それは短い津軽の夏を彩る、祭りの熱気。夜空を焦がす色彩の洪水、響き渡るヤーヤドーの力強い声。八重山のあおさと、津軽の熱。そのふたつが揃ってこそ、僕の夏は完成する。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼湯けむりに包まれつつ明るい時間帯のローマ式千人風呂を愉しむ
未知を追って旅を続け、そこで出逢えた地に焦がれて再び逢いにゆく。旅を重ねていると、ふと前に訪れた地に呼ばれるときがある。10月に訪れた喜至楼は、9年という歳月を感じさせぬ変わらぬ世界観で僕を迎えてくれた。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼本館101号室建具とは思えぬ美しさの鯉の滝登りの彫刻
館内をこれでもかと彩る、古の人々の遊び心。山形県最古の旅館建築には、明治、大正、昭和の美意識とそれを具現化する職人の技が込められていた。

こうして振り返ってみると、今年は本当に旅に恵まれた一年だった。未知なる旅路でその土地を知り、初めての湯や味に触れ酒に酔う。そうして巡り会うことのできた地が、またおいでと誘ってくれる。その繰り返しがあるからこそ、旅することをやめられない。

今日房総旅行記を完結し、今度は初めてひとりで旅した甲斐路が早く書いてくれと待っている。そして来年には、北の大地と乳頭へ。こうして旅を続けることのできる幸せを噛みしめ、今年最後の締めとさせていただきます。

最後になりましたが、今年も遊びに来てくださりありがとうございました。まもなくやってくる2024年が、皆さまにとって良い一年となりますように。

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