雪どけ、乳白、きぬの夢。~みちのくより遠い関東へ 4日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

雪どけ、乳白、きぬの夢。~みちのくより遠い関東へ 4日目 ①~

4月中旬雪どけの加仁湯で迎える最後の朝 旅の宿

加仁湯で迎える最後の朝。昨晩から降り始めた雨は止んだものの、天気予報はあまりよくない模様。今日は龍王峡を歩いてみるつもりだったので、朝風呂に浸かりつつ予定を考え直すことに。

4月中旬雪どけの加仁湯3泊目朝食
目覚めのひと風呂で体も頭もすっきりと起きたところで、お待ちかねの朝食の時間に。岩魚の一夜干しや平家納豆、海苔にオムレツといった王道のおかずに、今朝も白いご飯がどんどん進みます。

4月中旬雪どけの加仁湯剥製がたくさん並ぶ囲炉裏部屋
食後にもう一度だけ美しき白濁の湯に浸かり、この旅最後の一浴を終えチェックアウト。いつかまた来たいと願いつつ、あっという間の15年。ようやく再訪が叶った想い出の宿は、当時の記憶を裏切ることなく、良い湯良い味で迎えてくれた。

4月中旬雪どけの加仁湯この年最後の雪に別れを告げる
あぁ、良い宿だった。同じ関東、栃木県。されどここは奥鬼怒、なかなか気軽に来られる場所ではない。改めてその遠さを実感し、別れが一層切なくなる。でもきっと、またここへ戻って来られるだろう。そんな再訪の願いを託し、この年最後になるであろう雪景色に別れを告げます。

4月中旬雪どけの奥鬼怒女夫渕温泉跡地
未舗装のスーパー林道を宿の送迎バスで下ること30分足らず、乗り換え地点である女夫渕駐車場に到着。鬼怒川に架かる橋上から下流を見れば、不自然な平場が目につきます。

以前はここに、女夫渕温泉ホテルという宿がありました。地震の影響で閉館してしまったようですが、ずらりと並んだ露天風呂の数々を見て、いつかは泊りに来たいと思ったことを思い出します。

4月中旬雪どけの奥鬼怒女夫渕駐車場の先にかかる橋から鬼怒川を望む
上流側へと振り向けば、荒々しい岩場を流れる鬼怒川の姿。つい先ほどまで露天風呂から眺めていたあの川が、こんな大きな川になるなんて。山の貯える水の豊富さ、そして谷を刻む水の力に改めて驚きます。

4月中旬雪どけの奥鬼怒女夫渕駐車場から日光市営バスで鬼怒川温泉駅へ
山峡の風情を眼に焼きつけたところで、『日光市営バス』に乗車します。来るときは僕一人だった乗客も、帰りは何人かいてちょっとばかり安心。免許を持たない僕にとって、この路線がないと奥鬼怒へ来ることは叶わなくなってしまいます。

4月中旬日光市営バスから望む山桜
バスはいくつものダムを越え、鬼怒川温泉駅目指して延々と走り続けます。川治ダムを越えて標高をぐっと下げ、靄のかかった山には山桜の姿がちらほらと。やっぱり季節が違う。先ほどまでの雪景色が、なんだか幻の様に思えてしまう。

4月中旬日光市営バスと並走するリバティ
新藤原を過ぎ、国道は線路と仲良く並走。ふと横を見てみると、試運転中のリバティがゆっくりとバスを追い抜いてゆきます。あの特急に乗って会津へ向かったのも、もう2か月前か。なんだかんだ言って、今年に入ってからは旅できている。そのことが嬉しくて、思わず笑みが零れそう。

4月中旬日光市営バス車窓から望む鬼怒川
加仁湯からずっと寄り添ってきた鬼怒川も、ここまでくるとこの大きさに。同じ川とは思えぬ姿の違いに川の成長を見ているようで、何となく不思議な気分になります。

4月中旬雨の鬼怒川温泉駅と転車台
延々とバスに揺られること約1時間半、ようやく鬼怒川温泉駅に到着。SL運行のために新設された転車台に、東武のSL復活にかける本気が伝わってくるよう。

4月中旬雨の鬼怒川温泉駅20400型下今市行き
今日はずっと雨予報。龍王峡散策から予定を変更し、日光を目指すことに。入線してきたのは、日比谷線でよく乗っていた20000系のワンマン改造車。僕の大好きだった6050系はこの区間からは姿を消し、時の流れとは言え切なさを覚えてしまう。

これから向かうは、雨の東照宮。久しぶりの対面を控え、心は早くも極彩色に染まるのでした。

雪どけ、乳白、きぬの夢。~みちのくより遠い関東へ~
4月中旬奥鬼怒温泉郷ホテル加仁湯夜の露天風呂
2022.4 栃木
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